甘利前経済再生担当大臣の違法献金疑惑、大臣の椅子にしがみついて、国会での混乱を長引かせると思ったら、あっけなく辞任で少々拍子抜けしたが、この問題、大臣の辞任で幕が引けるような類の話ではないはずである。専門家も指摘しているとおり、週刊文春の取材のとおりであれば、あっせん利得処罰法や政治資金規正法違反の可能性が高いようであり、そうなれば議員辞職の可能性さえ出てくる。
違法性を立証し、立件するのは検察であるが、国会の論戦の中でこの件について追求して、何が問題なのかを国民の目に明らかにする役割を担うのは野党である。このところ鳴かず飛ばずと言ってもいいぐらいの状況の民主党をはじめ各党にとって、ここは浮上するチャンスというより、存在感を見せつけ、その役割を認識してもらえるかどうかの正念場といったところだろう。
さて、その民主党、1月30日に党大会を開催し、活動方針等が承認された。党大会で気勢を上げて、その勢いに乗って国会論戦でも獅子奮迅と行きたいのだろうが、そう簡単には、というのが実情のように思われる。
まず、野党再編。岡田代表は、「新党結成も選択肢として排除されていないが、大切なことは理念・政策が共有されて、本気で政権を担う政治勢力ができるのかどうかだ」と述べたそうな。一見御説ごもっともだが、裏を返せば、民主党を解党し、維新の党と新党結成という決断も党内調整もできておらず、党内の右派と左派の間で、まだ右往左往しているということなのではないか。そんな状態で「一強打破」も何もないように思うが。
次に政策。党内に「共生社会創造本部」なる組織を設置して、政策の立案や取りまとめを行ったようだ。ここでは個別の政策に立ち入ることはしないが、その名称といい、政策の中身といい、自らあるべき方向性をしっかり描いて立案したものでも、有権者の声をしっかり聞いて咀嚼した上で取りまとめたものでもなく、単に自民との向こうを張っているだけのように見えるのは、気のせいだろうか。つまり、政策に軸がないか、軸が複数あって絡んでこんがらがっているのではないかと思うのだが、そんなことでは自民党の向こうを張るというより、虚勢を張っているにすぎなくなってしまう。(脱藩官僚等、党内の有能な議員は少なくないのであるから、少数精鋭でスパスパと決めてしまえば、綺麗に体系立ててまとまった政策ができて、いいように思うが。)
そして、野党共闘。言い出したのは共産党。「国民連合政府構想」とはキャッチーで、共産党色が薄く、他の野党も乗りやすい名前を考え出したものだ。しかし、民主党は安保法制の審議や採決の際、あれだけ院内外で騒ぎ、市民団体の活動に便乗までしていたのに、肝心要の民主党発の行動は起こさず、共産党に先を越されてしまった。近年着実に現実路線、柔軟路線に転換してきている共産党、ジワジワと支持を集め、議席数も着実に伸びている。民主党にとってはそれが脅威だからなのか、腐っても野党第一党のプライドが許さないのか、その両方なのか、この構想には二の足を踏み続けている、まるでダンスの練習でもしているかのように。
以前にも「政党の離合集散、細胞分裂は周期的にやってくる政党の本能か?」において指摘したように、今の民主党の姿はかつての社会党の姿と重なって見える。野党第一党の地位に胡座をかき、党内で右往左往して方向性を決められず、しまいには何をしたいのか分からない党になった、まさにその姿である。
野党第一党を自任し、「一強打破」を目指すのであれば、民主党は野党のヒビ割れを自ら作り出している場合ではあるまい。事実、一昨年の衆院選の結果を見ると、もし野党共闘が成立していれば十分自公に勝つことができた選挙区は少なくないようである。
夏の参院選に向けて、共産党がどうのと言っている場合ではあるまいし、そんな余裕はないのではないか。「国民連合政府構想」に乗っかって、構想も共産党も乗っ取るぐらいの気概がなければ、維新の党との新党構想も絵に描いた餅に終わってしまうのではないか。
ポスターで、「民主党は嫌いだけど、民主主義は守りたい。」と書いて自虐に見せながら、実は民主党にこだわり、民主党を守りたい民主党の方々よ、民主主義を守るためには、まず、民主党を捨てるところから始めるべきではないのか。