MATADOR 後編 | 羽生結弦選手が素敵すぎて困っている人のブログ。Yuzuru hanyu

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フィギュアスケート、大好きです。
各選手の全力を、拝見する度胸が熱くなります。
妄想などちりばめられていますので、そういうの苦手な方はゴメンなさい・・・。
お借りした画像の主さま、ありがとうございます。



前編から







黙り込む

重い時間




とん


肩に
何かが当たった





とん




アーモンド・・・?




顔を上げると

頬を膨らまし


座った目で


ナッツを投げて来る









「バカ!

おたんこなす

ぼくねんじん

とんちんかん」





潤みだす瞳



「おっちょこちょいの

すっとこどっこい」





もう

投げるナッツは残っていなかった





「帰る」



立ち上がり

ふらつく



「危ない!

酔ってるだろ」



腕をつかみ
支える



意外と逞しい感触に
どきりとする


「酔ってまーせーん!」


明らかに
酔っ払いじゃないか・・・




「あーゆうこと

ゆー人とはお酒飲ーみーまーせーん!」





っふ・・・。



なんだか

とっても可愛くって

可愛くって





「今!

笑ったでしょ!

怒ったよ!

おーこーりーまーしーた!」





「ゴメン

ホント

ゴメン」



ああ
可愛い




「笑いながら

謝られても

許しませーん!」




腕を組んで
ソッポを向く




「ゴメンって

ほら

このとおり」




深々と頭を下げると




プンプンだった態度が
和らいでいく




「もー

しょうがないなー

マスター

もう一杯」





「もうやめとけって

結構酔ってるよ

勘定する」





マネークリップから札を出しているうちに


彼は外へ行ってしまう







「待って

危ないって」






駐車場へ行くまでに

彼はふわふわと歩く




「あー

涼しい

気持ちいい」




なんとか助手席に座らせ

車を出す




ミラーに映る彼



ピンク色で
微笑んで


可愛いな・・・





「あ!

コーラ!

コーラ飲みたい

今すぐに」




酔ってる彼は

ワガママで

自分勝手で

とても




可愛かった





コンビニで
ペットボトルのコーラを買う




「蓋

開けて~」





苦笑しながら

開けて渡す




「ありがとう


ん~美味しい!」






再び
走り出す


彼の
細い指

上下する喉仏




「危ない!」



前の車が
急ブレーキを踏む

すんでのところで
接触は免れた




よかった・・・。






「ヨカッタじゃないよ~

も~」



彼は

コーラを

ほとんど

服にかけてしまっていた




「ゴメン!」

ティシュを渡したが



彼は

腹を抱えて笑っている





「冷たい~

気持ち悪い~」




どうしよう




「どっかで

洗う?」




「洗う?

川で洗濯に?」




まだ笑っている



笑い上戸か・・・









シティホテルの駐車場



彼はまだ

「べたべただ~」

と笑う




笑ってくれてて

ほっとするけど




部屋のキーを受け取り



ドアを開け
中に入ると

どきん

どきん


心臓が






衣擦れの音

ジッパーを下げる音





テレビをつけて背を向けて
いるけれど

意識は





シャワーの音が聞こえる





部屋にバトラーを呼んで

クリーニングを頼む

「明日の朝までに」

「かしこまりました」








白いガウンを纏って

彼が出てくる




「あ~

気持ち良かった~」





どうするか迷ったが






「俺も

使ってこようかな」





何か期待している訳ではない


心臓


鎮まれ!







髪を拭いて

出てくると

彼は横になってテレビを見ていた



「何か飲む?」




返事がなかった

まわりこんで見て見ると





彼は

小さな寝息をたてていた



長いまつ毛

つるつるした鼻梁

ピンク色のほっぺ

ふっくらとした唇







なんだか

ほっとして





ツインのベッドに

横たわった















夢を

見ていた





















彼の

体温

におい


滑らかな肌


よくしなる背中

かすかな声


あぁ


このままずっと

夢を見ていたい













・・・ねぇ?

朝だよ・・・






鈴を振るような







・・・だれ・・・・?


はっとして起きる






彼はもう

身支度を終えていた




「電話したらさ

クリーニング出来てるからって

持ってきてもらっちゃった」





慌てて

着替える




彼は

窓の外を見ていた





帰る車の中

「頭とか痛くないの?」


と聞くと


「うーん

ちょっとぼーっとしてるかもだけど

大丈夫」





普段から健康に気をつけているからか



俺なんて
二日酔いなんて

しょっちゅうなのに





苦笑する





「じゃあ

また」




「うん

昨日

楽しかったね・・・?」


「うん・・・?」






彼の瞳が
妖しく光った気が





いや


気のせいだ











自宅に戻り

ネクタイを外す




何気なく

鏡を見ると









えっ



鎖骨の上に

赤い跡が





これって・・・







妖しい
瞳の煌めき







また

彼の迷宮に
深く入り来む




嫌なわけではない

深く

深く・・・・

















彼の視点


                              by   penut


眠っていた


深く

深く


眠っていた




あまりにも

パッチリと目が覚め

自分でも驚く



時計を見た



夜中の2時半だ




すぅすぅという

寝息に気づき
隣をみる



長く前髪を垂らし


幸せそうに
眠る人



あぁ
そうだった


ゆうべからの

成り行きを思い出す






ここまで運んでくれたんだ




疲れたよね?


ごめんね?





紅く色づいた

前髪を


優しく掻き上げ


額に

そっとキスをする



ねぇ…




ねぇ…


寝息は

さらに
心地よさそうに



んもう…



淋しいよ?



ぐったりと

泥のように眠る
その人の

躰に
覆い被さって

その

体温を感じた




ねぇ…


起きて…?




んんっ…



眉間に皺を寄せ

軽く呻いただけで

起きる気配がない



淋しさとともに

ふと擡げた
意地悪な気持ち



バスローブを

はだけて




赤く
紅をさしたような


その唇を


押し付けた