絞りのFって何の記号? | 汗っかきカメラマン東奔西走

絞りのFって何の記号?

絞りについて、前回・前々回とお話してきました。
その中で「F」という記号が沢山出てきました。
このFって何でしょ?

Fは絞りの度合いを表す記号です。

特に絞り開放の時、つまりレンズの明るさを示す時に
大文字の「F」を使い
実際に撮った時に設定した絞りを
小文字の「f」で示す場合もあります。

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ではこのFという記号の数字が
なんで2.8とか5.6の様にわかりにくい数字なのでしょう。

実はこの数字は一定の法則で出てくる数字です。
法則と言っても算数レベルですから
一回理解しちゃえば、なんてことはないのですが。


絞りというのは
「光を通す穴のこと」・・でしたね。

これを大きくしたり、小さくしたりする事で
この穴を通過する瞬間の
光の量を多くしたり少なくしたりします。

水道の蛇口と一緒ですね。


ちょっと算数になりますが
丸い穴の面積ってどうやって出したか覚えてますか?


円の面積=半径X半径X3.14

でしたよね。

半径は直径の半分ですから半径をr,直径をdとすると
r=1/2dになります。

3.14は円周率ですから記号は「π」にすると
円の面積Aは
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になります。


実は絞りの「F」や[f]はこのdの事です。
でも実際のdの長さをmmとかで表しているのではありません。

どのくらい瞳を絞っているかの比率です。

ちょっとピンと来ないと思います。


昔の絞りは、今のカメラの様に細かい設定が出来なかったので
リングを回してクリックで止まる部分に表記があり
その表記は

1.4→2→2.8→4→5.6→8→11→16→22・・・

と1.4倍づつの数字が並んでいました。

F1.8とかはF2より
ちょっと明るいくらいの感じです。


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絞りを円のまま説明すると難しいので
乱暴に絞りが計算しやすい「正方形」だったとして説明します。


正方形の絞りなら面積Aは
A=axaです。

基準になるAという面積の絞りがあったとします。

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このAの面積を半分にしたい場合
つまり1/2Aにしたい場合、
aの長さを前の何分の1にすればよいでしょう。

aを前の1/2にしてしまうと
Aは前の1/4になってしまいますね。

答えは1/√2です。
√2って1.414・・ですね。

なので

a=1/1.1414

になります


今度は更にAを半分にします。
つまり元の1/4にすると考えると

a=√A

a=1/√4=1/2

また更にAを半分にします。
もとの面積の1/8です。

するとaは

a=1/√8=1/2.828・・となります。


もうお解りでしょうか?
絞りFという数字はこの1辺の長さaの比率を表しています。

しかも分数の分母部分=逆数ですね。


写真では逆数ってよく使います。
シャッター速度でも「500」ってあれば
1/500秒ですね。・・余談。


つまりFという数字は
絞りの面積を元の何分の1で使っているかを表しています。

レンズを通さないで
(つまりは大きな筒を裸眼のまま覗いたようなとき)
光が通るときの穴の面積が「F1」。

その光を半分(1/2)にする様な穴の時が=f1.4
そのまた半分(1/4)がf2
そのまた半分(1/8)がf2.8
そのまた半分(1/16)がf4
そのまた半分(1/32)がf5.6・・

とこうなっているんです。


最近のカメラはもっと細かく設定できるので
f4とf5.6の間に
f4.5やf5があったりします。

昔より細かく明るさが調整出来るように
中間ステップが多くなってるためです。


絞りを積極的に使うのは
主に明るさのコントロールよりも
また別機会に説明する「ボケ味」とか
「被写界深度」などの効果を期待する方が大きいので

「絞りを開けて面積を大きくするか
絞って面積を小さくするか」

「どっちに回したら大きくなって、
どっちに回したら小さくなるか?」

「どのボタンで変更できるのか?」

という事を覚えておく程度で充分かなーと思います。