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🍜 ⑫気になる旧道の路地とタワーマンション
かつての板橋宿は平尾宿、仲宿、上宿の3つに別れていた
板橋駅に近い平尾宿の一部はだだっ広い国道17号線に上書きされ、駅から近いというロケーションというのもあって、今は多くのマンションに侵食されている
一方、仲宿は旧道の風情といったものには乏しいけれど現在も商店街として賑わっていた
仲宿を抜けて縁切り榎を過ぎ石神井川を越えると上宿に入るが、かつては商店街として賑わいを見せていた上宿は、駅から離れているからなのか、寂れた雰囲気が漂い平尾宿と同じようにマンションによる侵食、そして更地が目についた
環七のすぐ先にある、前回の記事で紹介した「牛豚鳥・肉のウチヤマ」のあたりも過去のストリートビューを見ると、日本中のどこにでもありそうな商店街風景であったが……
白✕黄のクレハロンテントが目立つ「大黒屋」というディスカウントショップの並びには、町並みという概念を根底から破壊する巨大なマンションが聳えていた
前回の記事の最後に掲載した写真が、これと同じ場所を、2009年のストリートビューからキャプチャしたものだが
それがこちらの画像である。この時点ではまだごく普通の商店街の風景が残っており、ちょっと寂れた感は否めないけれどのんびりとした風景が続いている
ところが現在の姿を撮影した写真からは、何とも言えない不自然な印象を受けるが首都圏に住んでいると、これが当たり前に見えて来るから恐ろしい
そしてタワーマンションの向かい側を見ると、いかにも昭和中期な雰囲気の看板建築が残っているといったチグハグなことになっている
おもしろいのは、こんな古風な看板建築なのに入居しているテナントが、首都圏ではどこにでも見られるインド系の料理屋と「ガンガンいこうぜ!!」という、謎の屋号のラーメン屋であることだろう
こちらの「ガンガンいこうぜ!!」に関しては、ラーメン好きとしては、メチャクチャ気になるので、調べてみたら店自体が屋号よりぶっ飛んでいて驚愕した
まずこの「ガンガンいこうぜ!!」というラーメン屋は、すでにラーメン屋ではなく、現オーナーの息子が経営していたラーメン屋の看板が残っているだけで、実態は五島列島の食材に特化した居酒屋なのだそうだ
板橋のトピックに特化しているサイトの記事を見ると五島列島の豚を使った料理がヤバそうで、メチャクチャ食べてみたくなる
そして、その居酒屋はいつも営業しているわけではなく五島列島で民泊を経営しているオーナー夫婦が上京したときだけ営業している超不定期営業だったのだ
ネットで見つけた情報にによると、オーナー夫婦に替わって常駐する店長が見つかり、これからは普通の営業スタイルになるということであったが、それ以上のことはわからなかった
「ガンガンいこうぜ!!」の少し先、この派手なドラッグストアの向かい側で、旧中山道から一目見れば旧道だろうと見当がつく曲がりくねった細い路地が分岐していた
この路地は、以前の散策のときも気になっていたのだが今見ても、やはり気になるので、ちょっと様子を見てみることした
まず気になったのが角地にあるこの日は定休日だったようだが旧中山道に面した「うめだでんき」という表と裏の印象がまったく異なるトンガリ物件の看板建築だろう
街道沿いは平凡な電気屋なのに、裏から見ると全面ガラスブロックの明かり取りがついているので、おそらく元は床屋だったものと思われる
その向かい側には老舗っぽい佇まいの「和菓子司 喜屋」という、なんとなくやってくれそうな和菓子屋と、真っ黒なクレハロンテントが印象的な中華料理屋があった
さらにその並びには、軒先クレハロンテントがビリビリに破れた廃業した元居酒屋のような物件があった
どうやらこの路地は「曙商店会」という旧中山道とは、また別の商店街組織になっていて、この先もしばらく続いているようただったが、今回は旧中山道というテーマがあるので、スルーして先にすすむことにしたが……
帰宅後に調べてみると、この路地が旧道だろうという僕の直感は間違いではなかったようで、この先、本蓮沼のメインストリートを横切ってTOPCONというカメラメーカーがあった小豆沢方面に繋がっていることがわかった
なので、今回はスルーしてしまったが、いずれ散策しなければなるまい
ということで旧中山道に戻ると、戻った瞬間に先ほどから視界に入っていた邪魔っけな……
タワーマンションの真ん前に差し掛かった。それにしても巨大な建造物である
占有している面積はかなりのもので、かつてはこの場所にも古い町並みがあったわけで、そこで営まれていた人びとの刻んだ歴史を踏みにじられたような気がして嫌な気分になる
果たしてこの場所には、どのような町並みがあったのか確認するため過去のビューを見てみたが
いちばん古い2009年の段階で、このブロックの4ぶんの3の土地が地上げされ広大な更地が広がっている風景しか見ることができなかった
こんなものは再開発ではなく暴力と破壊と言わざるを得ず、こんな破壊行為がいまだに首都圏では横行しているのだから、この国の将来は真っ暗である
タワーマンションから少し本蓮沼本方面にゆくと前回の散策では閉まっていて、現役なのか廃業しているのか判断がつきかねた変形片流れの小さな主屋に、やけに横に長い看板建築があった
この日はしっかり営業していて、ズラリと鉢が並んでいた。現在は普通の花屋兼園芸用品の店だが店構えや扱っている品目に「種苗・農薬」という文字があるので、滝野川編で紹介した以前は種苗のメッカだった種苗商の末裔かもしれない
ここまで来ると中山道の旧道の部分は、そろそろおしまいで地下鉄都営三田線の本蓮沼駅の手前で国道17号線と合流してしまう
ということで、とくに盛り上がりを見せないまま、いよいよ今回のシリーズもクライマックスに向かう
続く
†PIAS†
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