よく調整されたグランドピアノとは | ペトロフピアノ&チェコを愛する店主ブログ
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ペトロフピアノとチェコ共和国の魅力を発信する専門店ピアノプレップ店主のblog。
ピアノ、音楽、カフェ、雑貨、文化...。港区白金台から自由気ままに綴ります。

ピアノユーザーの皆様は良く調整されたグランドピアノの見分け方をご存知ですか?久々に調律師目線による豆知識を伝授します。
 
今回はこちら、アクションと鍵盤のプレップアップ(精密調整)を終えたばかりの中欧チェコ共和国の名器ペトロフ小型グランドピアノP159Boraを用いてご説明を...。

そろ~と鍵盤をゆっくり押し下げると底に達する1mmほど手前で何かトクンと引っ掛かって抜ける感触がありませんか?
それがアフタータッチ(ナッハドロック)というグランドピアノ特有の反応。動画のように良く調整されていると鍵盤底付近からでもピアニッシモの発音が可能。高速のトリルなどデリケートな表現も容易になります。もし機会あれば皆様も試してください。
 
このアフタータッチを「整調」作業によって88鍵すべて徹底して揃えるよう店主はスタインウェイ・ディーラー勤務時代に学び、実践してきました。もちろんアフタータッチは白鍵も黒鍵も同じ感触であるのが理想的。音を合わせる「調律」だけではなく全ての鍵盤を均一なトクンに揃えるのも調律師の仕事です。
 
 

ペトロフユーザーでもあった巨匠A.B.ミケランジェリ。ラヴェルのピアノ協奏曲リハーサルの動画でアフタータッチを確認する場面あり(1:53~)

その後の調律師とのやりとりも貴重な映像です。

 

アフタータッチ調整は鍵盤の高さ、深さ、アクションの調整等、調律師が積み重ねた作業の言わば総決算。このような数々の過程を経て、ようやくピアノが工業製品から表現豊かな楽器へと生まれ変わる訳です。
 
その楽器に至るまでの工程、「プレップアップ」の風景をどうぞご覧ください。今回は店主と元同僚の技術者に作業を委託、弊社の求める出荷基準で丹念に整備してもらいました。
 
ベッディングスクリュー、バランスキーピン前後の調整後、鍵盤高さをチェック。
 
アクション&鍵盤をいったん作業机に。
 
すべて取り外して鍵盤筬を掃除、新品には工場の小さな木屑が混入しています。
 
バランス・フロントキーピンすべて綺麗に磨きます。
 
最初にチェックした鍵盤高さ、パンチング紙で微調整。
 
鍵盤後部のキャプスタンスクリューを磨くことで滑らかな弾き心地に。
 
結果このようにピカピカになりました!
 
鍵盤の高さを再度チェック。
 
フロントキーピンの角度も微調整。
 
再び本体に収めてからハンマー弦合わせ。
 
ハンマーの位置が確定したら再び作業台の上で「サポート合わせ」。鏡を用いて小ジャック、キャプスタンスクリューの位置もチェック。地道に揃えていきます。
 
続いてジャック前後&上下の調整。トリル、連打の弾き易さに関わる作業です。
 
そしてハンマー接近調整、この距離が遠すぎると冒頭動画のようなピアニッシモは表現できません。遠すぎず近すぎず、最適な距離に88音すべて揃えていきます。これもまた地道な作業..💦
 
 
ハンマー接近に続いてドロップ調整、2mmで揃えていきます。
 
白鍵10mmの深さに調整してから適切な打弦距離(ハンマーストローク)に調整。距離はアフタータッチの感触をもとに設定します。
 
そして白鍵のアフタータッチをもとに黒鍵の深さを設定。
 
アフタータッチは日本の業界用語では「働き」とも呼ばれます。ここで均一の「トクン」となるよう「働き」をチェック、均一に揃わなければアクションや鍵盤の調整が上手くいっていない可能性があります。その場合これまでの作業を再確認します。
 
バックチェックの位置、角度を調整。
 
ハンマーストップ、スプリング調整を実施、これも弾き心地に関わる作業です。
 
新品のためA=443Hzで調律を実施!
 
整調、調律、あと残すのは「整音」作業。
ソフトペダルの整音を行った後、88個のハンマーの弾力性をピッカー針で調整していきます。これは新品であっても不可欠な作業。
 
そして毛羽立っていたハンマーフェルト表面を細かいヤスリで整形、針の痕跡もあわせて処理します。
 
横からみてシンメトリー(左右対称)となるように。スタインウェイで実践していた方法を応用することで、従来のペトロフピアノより遥かに高いパフォーマンスを得られます。
 
最後に「3弦合わせ」、ハンマー先端が3弦と同時に当たるよう調整することで発音がくっきりと、ピアニッシモにも輪郭が宿ります。コンサートピアノ同様に時間をかけて整備するのがピアノプレップのスタイルです。
 
こうして3日間にわたるプレップアップ作業がようやく完了。各工程に厳しいチェックを入れながらもお手伝い頂いた技術者に感謝!
 
日本の皆様にきちんと整備されたペトロフピアノをより多くお届けするためにはプレップアップできる人材の育成が今後の課題ですね。
 
PETROF P159Bora Walnut High Polish
Discacciati Piano Bench 810 Hydrautic


しっとり円やかな音質と滑らかなタッチ...
歌曲を奏でると歌うようなペトロフの音色、演奏するのが楽しくなるピアノは「楽器」である何よりの証^^
 
先日プレップアップした同モデルと2台展示。
嬉しいことに早くも試弾のご予約を頂いています。中欧の老舗メーカーPETROFグランドピアノ、2台の性格の違いをどうぞお試しください!

 

 

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