先日、とある喫茶店へ。
初めて入る個人経営のお店だ。
個人経営だからか、このご時世には珍しく喫煙可能な店で換気の為か寒いぐらいのエアコンが入っていたが、用事のある場所に一番近く、そこまで時間も無かった為、渋々入店。
お昼過ぎという時間帯もあってか、おそらくご近所にお住まいであろうマダムの方々がちらほら。
僕らが座った窓際のテーブルから一つ離れた席には、いかにも亭主関白そうな雰囲気でタバコを吹かしている熟年夫婦。
何気ない日常の風景。
平和だ。
新型ウィルスが蔓延する世の中だからか、日常に敏感になった気がする。
空腹では無かった為、コーヒーのみを注文。
と、その時。
ん?
んん?
むむむ!
下っ腹に違和感?
いや、違和感ではない。
痛みだ。
違和感から痛みに変わるスピードは控えめに言って音速を超えていた。
数秒前は何とも無かったのに?
すぐにトイレに直行。
人間の心理的に、普段であればどんなに我慢の限界でも平静を装ってしまうが、そうしてはいれないほどの痛みが。
トイレに飛び込んだものの、便痛では無いことに直ぐに気付く。
便器に座る事も無く、ただただ洗面台に蹲るだけだ。
鏡に写った自分は冷や汗で汗だくだ。
だが、ここに居ても誰も助けてはくれない。
兎に角仲間の元へ行かないと。
こんな時に限ってトイレから一番遠い窓際を選んだ事を後悔しながら、半ば蹲りながら席へ。
席へ着いてからは、顔も上げられないほどの痛みに襲われ、ただただ激痛に耐える事しか出来ない。
今思えば痛みを感じるとのたうち回ると言うが、あれは嘘だ。
自分の知らない世界の激痛を感じると人は動く事すら出来ない。
仲間は心配そうに声を掛けてくれるが、遥か遠くから聞こえる。
直ぐに近くの病院を探してくれ!
そうして貰っている最中でも、さらに超えた激痛に襲われる。
もう救急車を呼んでくれ!
生まれて初めて言った言葉だ。
時間的に午後の診察にはまだ時間がある為、仲間には緊急外来を受け付けている病院を探して貰う。
早く。
絞り出した声は聞こえているのかも分からない。
それほど意識も朦朧としていた。
呼吸も激しくなり、いよいよ手足も痺れてきた。
かつてない程の激痛は掛け値なしの恐怖だ。
店の人も異変に気付き、店の前にタクシーを呼ぶと言ってくれた。
10分くらいで来るって。
10分?
10分?!
この痛みをあと10分も耐えろと?
心の中ではそう叫んでいたが、どうしようもない事も分かっていた。
その間も仲間は緊急外来を受け付けている病院を探し続けている。
何軒か電話をした後、どうやら見つけてくれたみたいだ。
10分と聞いていたが、ものの4〜5分でタクシーが店の前に泊まるのが見えた。
この時の体内時計は狂っていただろうから正確な時間は分からない。
店側が具合が悪いのを伝えてくれていたのか、大型のタクシーなのは有り難かった。
ゆったりとしたシートに飛び込み、少しでも痛みの和らげるポジションを探す。
横になるのが楽なのかと思いそうしてみたが、むしろ痛みは増した。
蹲る姿勢がまだマシだ。
幸運な事に、病院は5分もしない内に到着した。
この時間は間違ってはいないと思う。
数分前に電話していた為、外には看護師の方が居たようだが自分の目では確認出来ない。
受け付けに行くには数段の階段があった。
いつもの3倍時間をかけて登る。
何とか登りきり、一刻も早く診察をして貰いたいが・・・
ここで、新型ウィルスの猛威を改めて実感した。
もしかしたら感染しているかもしれない自分をすぐには病院に入れる事が出来ないのだ。
今思えば当然だが、その時はそんな事まで考えが及ばず、なんでこんな外で待たされないといけないんだ!と思っていた。
外に置かれたパイプ椅子に座らされ簡単な問診が始まった。
様子を見ていた看護師の方は一度姿を消し防護服を纏って初めて近くに来てくれた。
熱を測られたが、冷や汗をかいている事もあり36度にも届かない。
手足の痺れがある事を伝えると、鼻からゆっくり吸って呼吸して下さい。
言われた通りに呼吸をすると、痺れは和らいだ。
流石プロだ。
新型ウィルスの感染症状に該当するものが無かった為、ようやく院内へ。
歩く事もままならなかったからか、車椅子が用意された。
座り心地は悪くないが、激痛は続いていた為動いていなくてもハンモックの上に居るようだった。
動き始めたと思ったら、何故か後ろ向きに動き出した。
目を微かに開けて見ると、そう感じていたのは自分だけで普通に前に進んだだけだった。
それ程意識が朦朧としていた。
診察室の前に到着し、暫し待たされた。
すると・・・
あれだけの激痛が嘘のように引いていくのが分かった。
ん?
今から診察なんですけど〜
決して数十分も待たされた訳ではないが、みるみる内に痛みは嘘のように消えていった。
それからは、自分で立ち上がり診察室へ。
問診もはっきりと自分で答えた。
すると直ぐに横のベッドに座るように指示され、背中を出して前屈みになってと指示される。
ドクターはよくある症状なのか慣れた手つきで背中を叩き始める。
するとある箇所を叩かれた瞬間激痛が。
それを伝えると直ぐに原因が判明する。
ドクターが一言。
尿管結石だね。
はっ?
に、尿管結石?
あの地獄の苦しみからは想像もしていなかった事を言われ、自分でも拍子抜けしてしまった。
と、同時にようやく安堵した。
その後レントゲンを撮り、もう膀胱に落ちてるみたいだから、沢山水分を取れば尿と一緒にその内出ちゃうから。
尿管結石は原因不明らしく、急に襲われるがよほどの大きさでなければ治療薬は無くただただ尿で流しだすのみだ。
こうして地獄のような激痛に襲われた時間が過ぎると今では笑い話だ。
母親に伝えた時も、散々激痛に襲われ苦しんだ事を話した時は心配そうな声だったが、尿管結石と伝えると笑い声が返ってきた。
改めて人間のデリケートさと、そして何より新型ウィルスの脅威を感じた。
今回尿管結石だったから良いものの、もし一刻を争う違う病気だったら、すぐに診察が出来ないという事で助からないという事もあるだろう。
いや、現にそういう方々も既に居ると思う。
医療従事者の方々は、急患が来たら直ぐに助けたいけど助けられないというジレンマの中、日々戦ってくれているという現実を知り、本当に関係者には頭が下がる。
予期せぬ出来事がいつ自分に降り掛かるか分からない。
色々な事を考えさせられた出来事で、改めて1日1日を大切にしたいと思う。
そんなある日のお話。


終わり。
※このお話はノンフィクションです。



『yayAのやんややんやらじお』 

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コメントありがとうございます!
美羽さん
今はすこぶる元気です^o^
急に来る痛みには注意です。

ゆうさん
刺されたら流血騒ぎで事件です。
あなたへの子守唄僕も聞きたかったですね。笑
方言良いと思いますよ^o^
セミの声にも負けずキバっていきましょう!

さのっちさん
僕も盲腸かと思いました。
ノンフィクションはノンフィクションです^o^