M. アルベニス | 川口成彦 Naruhiko Kawaguchi

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川口成彦の音楽の日々を綴っていきます。また、ピアノやフォルテピアノ、チェンバロに関する記事やスペイン音楽に関する記事もお楽しみください!!

 3月30日のリサイタルまで3週間を切りました!とてもワクワクしています^^日本で初めて行うフォルテピアノでの本格的なリサイタル、思い切って200席を超えるホールを選んだので残席まだまだあります!!ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンが活躍した時代のスペインのピアノ音楽たちをどうぞお楽しみください♪(まだご存知ない方は2月に更新した「演奏会案内」をご覧くださいませ。)

 さて本日「ゴヤの生きたスペイン」よりご紹介する作曲家は M. アルベニスです!「アルベニス」と聞いて、「知ってる知ってる!」とお思いの方もいるかもしれません。しかし彼はあのピアノ音楽史上の最高傑作(とメシアンやドビュッシーが絶賛した)『イベリア』の作曲者ではありません。スペイン音楽史において重要なアルベニスさんはなんと3人もいます。1人目は近代スペイン音楽の金字塔ともいうべき『イベリア』を作曲したイサーク・アルベニス(1860-1909)。2人目はマドリッド音楽院の設立当初から用いられた『ピアノ教則本』の著者であり作曲家のペドロ・アルベニス(1795-1855)。そして3人目がこのマテオ・アルベニス(1755-1831)です。ちなみにペドロ・アルベニスはマテオ・アルベニスの息子さんです。

 マテオ・アルベニス Mateo (Antonio) Pérez de Albéniz はスペイン北部のリオハ地方のログローニョで1755年11月21日に生まれ、バスク地方のサン・セバスティアンで1831年6月23日に亡くなりました。ログローニョ、サン・セバスティアンでオルガニストや楽長をやった他、1800年から1829年までバスク地方のギプスコアのサンタ・マリア・デル・コロ教会でも同じような地位であったと分かっています。彼は当時宗教音楽の作曲家として主にスペイン北部で有名でした。
 また、1802年に出版された"Instrucción metódica, especulativa y práctica para enseñar a cantar y tañer la música moderna y antigua"という彼の論文はとても有名です。日本語訳すると 「歌唱法および現代と昔の音楽の演奏法の教授のための体系的、思索的そして実践的な知識」 という感じになるでしょうか。論文のタイトルからも教育に関する内容であろうと察することが出来ると思いますが、彼はスペインでハイドンやモーツァルトの音楽を教育の場でも重要視したことを先駆けて行った人物です。スペインの音楽教育の歴史は詳しくは知りませんが、おそろくマテオ・アルベニスの時代まではD. スカルラッティやソレールをはじめとする自国の作曲家を中心として音楽教育が完結していまうことが多かったのかもしれませんね。これは少ない情報からの予測でしかありませんが…。
 彼の生涯に関する情報はほとんど見当たりません。スペイン北部において宗教音楽に貢献したこと、そして重要な論文を記したこと、この2つが彼の音楽家としての生涯の語るべきことだと思われます。そして付け足すならば、今日唯一彼の作品として親しまれているただ1曲の鍵盤楽器のためのソナタを作曲したことでしょう。

 この度の演奏会でも演奏する「ソナタニ長調」はサパテアードという靴底で床を打ちながら踊られるスペインの舞曲調になっています。1790年頃に書かれたこの単一楽章のソナタは、とても快活な楽しい曲です。マテオ・アルベニスはこの作品によって広く知られるようになっています。この作品はギターのためにも編曲されており、ギタリストの愛すべきレパートリーともなっているでしょう。またスペインが取り上げられた紀行番組を見ていたりすると、このソナタ流れてきて「良い選曲だな」とニヤリとすることもあったりしました。youtubeで見つけたカスタネット協奏曲版も実に面白いです。この作品はスペインの古典派時代の代表すべきものと言えるでしょう。

http://www.youtube.com/watch?v=BgGOruqfM9Q

 演奏会当日は前回ご紹介しましたロペスのファンダンゴから続けてアルベニスのこのソナタを演奏したいと思います。お楽しみに!!


 マテオの息子、ペドロ・アルベニスも非常に重要な人物なので詳しく記したいですが、彼についてはまたの機会に。いつしかロマン派のスペイン音楽に焦点を当てた演奏会も行いたいと考えているので、その時はペドロ・アルベニスのピアノ曲は欠かさず取り上げるつもりです。さて次回はマテオ・フェレールという作曲家をご紹介します。アルベニスと同様にニ長調で快活なソナタを残した人物です。それではまた♪