とても久しぶりに演奏会の感想を残します。
最高に好きなマエストロ、マリス・ヤンソンスが亡くなり、また自分のライフスタイルの変化もあり演奏会へ行く機会はこのブログを書いていた頃に比べ随分減りました。
年に10回くらいかな?
ブログもずっとそのままになっていましたが、ヤンソンスの演奏会で心打たれた日々以来、本当に奇跡的にこれだけは記念に記録しておきたいと思ってしまうほどの、大変素晴らしい演奏会に出会ったので記載することにしました。
指揮者マレク・ヤノフスキさんの来日です。
(自分のtwitter(@h_neuhaus)等で記載した内容と同じです)
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ドイツ・オーストリア音楽指揮者の巨匠マレク・ヤノフスキさんの4-5月来日公演(NHK交響楽団)、3プログラム全てが期待を遥かに上回る超名演だった。
個人的には、現在5月にしてすでに今年の、いやここ数年間における最高の演奏会となっただろう。
マエストロは東京春音楽祭のワーグナーシリーズ、リング(2014-2017年)からファンになったが今回の演奏をもって現役指揮者で一番好きで尊敬する指揮者と確信。
また卓越した音楽を俊敏かつ重厚な音で実現したN響の皆さんの演奏に改めて感激した。
最近日程から順に。
・5/14 東京芸術劇場
シューベルトのグレート、衝撃的に高水準の超名演…!音楽史的にベートーヴェンの延長として力やドラマで畳み掛けるような圧倒させる側面と、シューベルトらしい歌謡の数々を細やかにそこかしこに、そして大きな流れに乗せる美しさ。
なんとも奥行きがありドラマティックで推進力のある曲想。チェロやコントラバスも力強く歌い、全ての旋律が、ベートーヴェンに憧れるシューベルトの、歌物語のシンフォニーを構成していた。
ピアノで言えばリヒテルが弾く劇的で詩的なシューベルトと似た方向性を感じた。
通常は長大なグレートなのに、終わらないでくれと思うほど各楽章内容が明瞭で深く、あっという間だった。これほど目が覚めるグレートは初めてだ。
本演奏会は、ヨーロッパの一流オケの来日公演で感じるようなキリッとした密度濃い、独特の緊張感を覚える空気が放たれているようにも感じた。
・5/8 Bunkamuraオーチャードホール
ベートーヴェン演奏会。前半エグモントと1番。予想以上に素晴らしい演奏だ。
ベートーヴェンらしい厳しさをキビキビと描きつつ、そのキリッとした旋律に、作曲家ならではのエレガントで品格ある歌い口と響き。
美しいハイドン形式を継承しつつベートーヴェンらしく厳格でドラマティック。
後半は5番運命!超名演、ブラボー!キビキビしてるのに重厚感あり、ベートーヴェンの厳格さ推進力に、エレガントさとほのかに滲むヒューマニズム。
最終楽章の勝利感、英雄感!かっこよすぎ!たった1日限りの演奏会とはもったいない。
ヤノフスキさんとN響でベートーヴェン交響曲全曲録音してほしい。
・4/2 東京文化会館
数年待ちに待ったマエストロのワーグナー、ローエングリン(演奏会形式)。
音楽の高貴さ、恐ろしさ、束の間の安らぎなど表情が壮大かつ明確に描かれる。まさに醍醐味。
歌手みんな素晴らしい。しかしやはりオケ凄い、音楽の精密かつ高貴、叙情的でなんとドラマティクな演奏。
祝祭の力強い華やかさとか、愛の語らいのロマンチックさ・安らぎとか、不穏な空気とか、舞台演出なくとも音楽でそのまんま映し出すヤノフスキさんN響に圧倒された。
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またブログに残したくなるくらい心から歓びが溢れだすような演奏会に出会えることを楽しみにしています!