――私の名前は「プレシャス(素敵な、極上の…)」、TVや雑誌で活躍する私。
      誰もが私を特別視してくれて、とびきりカッコイイ彼氏がいる。
      母親はとっても優しいし、もうこれ以上なにもいらないくらい、私は幸せ…――

      彼女は妄想する癖がある。辛い現実から少しでも離れられる至福のひととき。
      その時だけが彼女の救い。
      現実が辛ければ辛いほど、夢は甘く、優しく包んでくれた。
      母親は毎日容赦なく痛めつけてくるし、お腹はどんどん膨らんでくる。貧しいから食事は高カロリーの
      簡単な食事しか作れない。
      せめて、夢の世界の中で、私はプレシャスな少女でいさせて・・・。

                     $Piattの私的映画生活

      ガーーン!!
      彼女の背後からフルスイングのフライパンが飛んでくる。当たれば即死か大ケガを負う。
      しかし、彼女はその勘が鋭くなっているので、間一髪でそれを交わす。
      もう、慣れっこなんだ、母親の罵詈雑言も、暴力も、貧しさも。
      それがまた、哀しいけど現実なの…。

                     $Piattの私的映画生活

      1987年NYハーレム。
      過酷な運命を生きるアフリカ系アメリカ人少女、クレアリース“プレシャス”ジョーンズ。
      プレシャスは、実父と義理の父によって妊娠を2度させられ、母親(モニーク)からは精神的にも肉体的にも
      虐待を受ける過酷な16歳の少女。
      プレシャスは異様に太っている。
      子供を身籠ってるということもあるが、それだけではない。
      受けた虐待を撥ね退けたり、消化することができずに自分の体に溜め込んでしまっているようだ。
      プレシャスは読み書きができない。
      学習?・・・そんな時間など、あったらこの救われない環境から抜け出すために頭を使いたい。

      しかし、現実は彼女を放っておいてはくれず、これでもか、これでもかと責めたてる。
      学校に妊娠している事実がばれて、退学処分になってしまう。
      生活保護を受けている母親、今度はなんて言われるか。
      誰か助けて、私はなんのために生れてきたの・・・?

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      そんな彼女に転機が訪れた。
      悲惨で不遇な家庭環境の中、フリースクールに通い始めたプレシャス。
      それをきっかけに、そこで偶然出逢った先生や友達、ソーシャルワーカーたちとのふれあうことで、
      変わっていく自分に気づき始めた。
      その出逢いは、今まで考えたことのない“自分の未来をみつめること、幸せとは何か、愛情とは何か”
      を教えてくれた。
      そして、自分と向き合う勇気をくれた。

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      本来何の見返りも無く、無償の愛をそそいでくれるのは親だけである。
      でも、その愛を受けられない子供も居る。
      どんなに虐待されようが、どんなに辛い目に会おうが、彼女にとって帰る家はそこしかなかった。
      子供は親を選べない。
      親も子供を選べない。
      その触れ合うことが下手ですれ違った時、そこに生れるのは愛情じゃなくて憎しみ。
      憎しみは誰をも助けてくれないし、みんなを傷つけてしまう。

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      親は子供と共に育っていく。
      子供が1歳なら、親も子育てでは1歳なのだ。
      実年齢が何歳であれ、未熟なのは子供だけじゃないってこと、知らない大人が多い。
      だから、多くの悲劇がなくならない。
      どうか、子供を自分の一部と思わないで。
      どうか、子供を虐待しないで。
      傷つけるのは自分だと 思っているなら・・・。

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      プレシャスはどんな境遇でも泣かなかった。
      ただ、泣いたのは1度だけ・・・。
      Why,Me・・・(なんで、わたしがこんな目に?)
      プレシャス、あなたひとりじゃないんだよ。
      そう思っているのは・・・。
      自分もそうだった、
      泣いたら負けだと思っていた。
      だから、泣かないで。
      神様は乗り越えられない試練を与えたりしないもの。

                      $Piattの私的映画生活

      アメリカだけの問題じゃない、今、住んでる私たちのまわりにも、たくさんの“プレシャス”が居る。
      映画での彼女のような愛してくれる友達や先生に恵まれない人もいるだろう。
      それでも、諦めないで、愛を探すことを。
      自分が受けられなかった愛情を これから分け与えられる存在に出逢うまで
      何度でも自分を試し、高め、愛とはなにか、自分はどうすべきかを
      見つけて行って、学ぶことはそう難しいことじゃない。
      未来を暗くするのも、明るくするのも、自分次第だってこと。

      そんな勇気を与えてくれた
      プレシャスな人々。

 
      一生懸命に生きている彼女に
      それ以上、頑張れとは言えないけど
      これを受け入れろと他人事など言えないけど
      ただ、噛みしめてみる。見つめてみる、これからどう生きて行くの?
      だって、このままじゃいられないじゃないか。
      どこかへ向かって歩きださなきゃいけないじゃないか。

      この出逢いに多くの人々が、自分だけのプレシャスを見つけて欲しい。

   
      この怒りを祈りにかえる。
      どうか、プレシャスのこれからの人生が
      名前の通り極上の美しい人生になりますように。

      世界中の虐待されている子供たちを
      少しでも助けてあげれますように。

      そう願わずにはいられない。

      すべての子供たちへ
      すべての大人たちへ・・・。
      学ぶことを恐れないで
      救うのは、少しばかりの愛でいいのだから。

                      $Piattの私的映画生活

      原題:PRECIOUS: 原作「PUSH」 :サファイア


      監督: リー・ダニエルズ
      製作: リー・ダニエルズ/セイラ・シーゲル=マグネス/ゲイリー・マグネス
      製作総指揮: オプラ・ウィンフリー/タイラー・ペリー/リサ・コルテス/トム・ヘラー
      原作: サファイア: 『プッシュ』
      脚本: ジェフリー・フレッチャー
      撮影: アンドリュー・ダン
      音楽: マリオ・グリゴロフ


      出演: ガボレイ・シディベ (プレシャス)
        モニーク (メアリー)第82回 アカデミー賞 助演女優賞受賞、おめでとう。
         ポーラ・パットン (レイン先生)
        マライア・キャリー (ソーシャルワーカー、ワイス) ノーメークで熱演してます。
        シェリー・シェパード (コーンロウズ)
        レニー・クラヴィッツ (アース・ジョン)

     109分 製作国 アメリカ (2009年)
     日本公開 2010年4月24日
     映倫 R15+

     TOHOシネマズシャンテ、シネマライズほか全国ロードショー




         





                            プレシャス/サントラ

                         

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