寝たと思ったら…もう次の朝

流石に口数が少ない

 

温泉…行く?

それとも…ご飯?

 

聞いても無言のみんな達

決定するのは…米寿さん

 

じゃぁ…お風呂を浴びてからご飯ネ

素直に従う私たち

 

露天風呂…はいろっ!

ふぅ~ぅ…良い気持ち

 

露天風呂の向こう側は山

山の天気は崩れやすい

快晴だったのに…雨が降りそう

 

お風呂から出たら

早くご飯を食べて部屋に戻ろうよ

 

お風呂と言ったのに

早くご飯ってなんなの!

言いながらも従う

 

ご飯はバイキング

山のようなお皿

 

そんなに食べられる?

残したらダメなんだよ

言われなくたって知ってるよ

 

マナー教室っていうの…なかった?

あれはフォークとナイフだった

バイキングのマナーなんて

えっ!どうやって覚えたんだろう?

 

疲れたと言いながら

肝心なところでは…おしゃべりになる

 

許容範囲を心得ている

仲がいいって素晴らしい

 

小田原駅の改札口まえ

「時間が早いけどなんか食べない」

 

賛成も反対もなく歩き出す

駅のコンコースをぶらついく

 

「タコ焼き食べようよ」

決定権を持つ米寿さん

たこ焼き屋さんを指さす

「銀だこ」という名前だった

 

タコ焼きは美味しかった

きくちゃんと作った日の事を思い出した

あの時のも美味しかった
今度のも美味しかった
お料理は…こころのあり様で
美味しくも不味くもなる
 
貴重な体験をして帰宅
帰宅してから気がついた
 
私…80歳の私
私だって…傘寿だった
 
気がついていたら
お世話役をさせられるところだった
 
これからも…シー!…お祝い事は
内緒にしておくことに決定