「お経をあげさせていただきたい」

主人と会社で同期だった方からの申し出で

 

彼は早くに奥さまを亡くされ

ご供養のためにお経を始められたとのこと

 

主人の前で深々と頭を下げ

お経をよんでくださいました。

 

お線香の煙が部屋にたなびいて

まるで天国のようでした。

主人もきっと喜んでくれた事でしょう。

 

お経が終わり

席を移して居間でお茶

 

主人の若かった頃の事

主人の外での姿

主人の親しくしていた方々のこと

 

私の知らない主人を知っている方が

こうして私の前にいらっしゃる不思議さ。

 

「女性がお一人のところにうかがうのは

気が引けたのですが・・」

クスっと笑いながら言い

 

「佛さまには水をお供えください

お茶でも良いのですが・・」

遠慮がちに教えてくださいました。

 

「お茶は毎日淹れて一緒に飲んでいます」

答えながらお水も供えよう

素直な私がいました。

お経って不思議な力を持つのですね

 

 

「ご迷惑でなかったら…また伺わせてください」

 

清々しい言葉を残して

お帰りになりました

 

こころ豊かなひと時でした