2011年2月17日(金)に京都芸術センターで開催された
<宮本妥子パーカッション・リサイタル>で
初演された作品です。
そして、マザーアースから楽譜が出版されています。
また、昨年の3月10日に上野信一氏によって
これまた素晴らしい演奏に恵まれました。

現代2015第4夜

フォノⅩ~打楽器独奏の為の狂詩曲<π>(2011)

この作品は、随分前に作曲した打楽器独奏作品=
<パルサー>を解体・再構成して作曲したものです。
この先作があまりに難曲かつ長大であるために、
委嘱者である上野信一氏によって
折りに触れて内外で演奏されている以外には
滅多に演奏されないのです。
そこで、もう少し現実的に演奏可能な範疇の
難易度の作品を書きたいと考えていたのです。

そのような想いを胸中に抱えていたときに、
折しも日本現代音楽協会の関西企画で
気鋭の打楽器奏者=宮本妥子さんをフィーチャーした
京都での演奏会の開催が決定して、
私にも作品発表の場をいただけることになりました。
この新作を書く絶好のチャンスが到来したのです。

作品のタイトルは、
私の独奏作品シリーズに加えようと考えて
<フォノ>の第10作ということになりました。

この作品は一応五線紙上の記譜されていますが、
時間の進行のマネージは奏者に一任されています。
曲の終盤の畳掛けるようなフィナーレを除いて、
何分音符といった定量的な記譜にはしていないのです。

曲の大部分を占める前半は、
脈動(パルス)が繰り返される中で、
完全な乱数である超絶数になっている円周率=πを活用した
乱数によって決定された打撃がひたすら繰り返されます。
しかも楽器は前後左右4組に配置され、
演奏者にはどの向きの楽器群でその場面を演奏すべきか
ということは全て楽譜に記載・指定されています。
膨大な(厳密な意味での反復ではない)繰り返しの中で、
次第に演奏者も聴衆も陶酔状態になり、
そのピークで楽想の位相が転換して、
一定の高速ビートに乗って熱狂的な後半部に突入して、
一気呵成に全曲を閉じます。

このような経緯から~打楽器独奏の為の狂詩曲<π>~
という副題が付されたタイトルになっています。

### PHONO Ⅹ
      - Rhapsody for Percussion solo <π> ###
   フォノ第10番~打楽器独奏の為の狂詩曲<π>
            (2011)   

 <宮本妥子パーカッションリサイタル~閾を越えて~>
           出品作品

演奏時間:約12分

初演:2012年2月 京都芸術センター・フリースペース
   <宮本妥子パーカッションリサイタル~閾を越えて~>
   (主催:日本現代音楽協会 共催:京都芸術センター)
               
演奏:宮本妥子

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この宮本さんによる初演は、正に神懸かり的な名演でした。
今想い出しても鳥肌が立つような、凄い演奏でした。

YouTube / フォノⅩ percussion solo



今日の写真は星野洞そのものではなく、
星野洞の在る南大東島の青い海と蒼い空の絶景!
といきましょう。

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