音楽家・作曲家への道のり第一歩は、
まず、音楽通・音楽愛好家になることです。
好きで好きでたまらない音楽を聴き抜いて、調べ抜いて、
楽しみ尽くす心をなくして、プロにはなれません。

私は、折りに触れて、現代音楽の作曲家の仲間や知人と、
一献ご一緒することがあります。
時には、古今東西の作曲家の書いた「交響曲第#番」の中で、
最高傑作はどれだろうか・・・といった話題で、
何時間も話が尽きないこともあります。

何だかマニアックだなあと思われるかもしれまえんが、
考えてみれば、車の話題、スポーツの話題、歴史の話題、等々、
好事家が集まっての談義がそれぞれにマニアックな訳です。

では、あらためて皆さんにも話題を提起しましょう!
「貴方の交響曲第8番ベスト・ワンは誰の作品ですか?」
マニアックな答えがある方は、
是非メッセージをお寄せください。

ご参考までに、私なりの考察を披露しておきましょう。

ベートーヴェンの第8番は、第7番と第9番の挟まれて
小振りで地味な印象もありますが、なかなか闊達な作品です。
第7番と同じ演奏会で初演されましたが、
ベートーヴェン自身は現代では大人気の第7番よりも、
第8番の方により自信と愛着を感じていたようです。

シューベルトの第8番は、一昔前までは第9番と言われてきた
あの「ザ・グレイト」です。
第7(8)番「未完成」の怪しいまでに美しいロマンティシズムとは
また趣を変えて、茫洋としたスケールを感じさせる音楽です。
作曲家の系譜としては
ブルックナーの先駆者と言えるでしょうか。

ロマン派中期の作曲家で、交響曲が第8番まで到達した巨匠は、
(有名なところでは)残念ながら殆ど存在しません。
唯一、ドヴォルザークの第8番が、異彩を放っています。
一昔前までは「イギリス」というサブタイトルを冠されることも
ありましたが、イギリスで出版されたという事以外、
特に根拠は無いので、今日では用いない方が賢明でしょう。

後期ロマン派から20世紀に目を向けていきましょう。

ブルックナーの第8番は、未完に終わった第9番
(3楽章まででもしばしば演奏されますが)と共に、
この作曲家が晩年に達した至高の境地を
壮大なスケールで味わうことができます。
ブルックナーの最高傑作と言って良いでしょう。
当然のことながら、ベスト・ワンの有力候補です。

マーラーの第8番は、先日の記事で私の共感を記述しましたが、
その演奏編成の膨大さから「千人の交響曲」とも呼ばれる、
ヨーロッパ芸術音楽の長大化・巨大化の極地に位置づけられる
一大音響絵巻とも言うべき大作です。
勿論、最有力候補と言えるでしょう。

ヴォーン・ウィリアムズの第8番は、
ちょっと変わった経緯を持つ作品です。
南極探検家スコットを描いた映画の音楽を再構成して
交響曲に仕立てたもので、通称「南極交響曲」です。
残念ながら、最近は滅多に演奏されません。

ショスタコーヴィチの第8番は、
5楽章構成で演奏時間約1時間の大作です。
第7番「レニングラード」に続いて戦争を描いた作品ですが、
更に重苦しさを増した楽想は、ソビエト社会主義体制下では
ともすると批判の対象にもなり、ある時期には演奏禁止という
扱いも受けた問題作でもありました。
強力なクライマックスに到達するものの、
まるで全てを諦観してしまったかのような静かなコーダに至る
終楽章の様相は、聴く者の心に一種異様な印象を刻みます。

その他にも、超マニアックな第8番はあるでしょうか。
ご存知の方は、是非メッセージでお知らせください。

私の第8番ベストワンは何かって?
マーラー・ファンの私ですから、
やはりマーラーとしておきます。
しかしながら、北ドイツ放送交響楽団の来日公演で、
サントリーホールに鳴り響いた
ギュンター・ヴァント指揮による
ブルックナーの第8番の演奏も
未だに私の脳裏・耳から離れることがありません。 
この2作品が私にとっての双璧ということろでしょうか。


ブルックナー「交響曲第8番」の私の愛聴盤(CD)です。
指揮=ギュンター・ヴァント
管弦楽=北ドイツ放送交響楽団
RCA RED SEAL / BVCC-3001~02

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-ヴァント指揮・ブルックナー第8番
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