2014年9月に開催した<松尾祐孝邦楽器作品個展>の
各曲のステージを、ここ数日にわたって回想しています。
ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。
また、演奏者の皆様やスタッフの方々の
絶大なるご協力とご尽力に厚く御礼申し上げます。

個展プログラム冊子表紙

今日は、5番目=最後のステージとなった<糸の書>
について綴ってみようと思います。

♪♪♪ <糸の書>~二十絃箏と邦楽器合奏の為の協奏曲 ♪♪♪
(2010 / 日本音楽集団委嘱作品 / 二十絃箏誕生40年記念作品)

 演奏編成:笛 2尺八 三味線 琵琶 打楽器
      2箏 十七絃箏  二十絃箏独奏  指揮
 演奏時間:約13分
 初演:2010年1月<日本音楽集団定期演奏会>
    2010年3月<箏フェスタ>(日本現代音楽協会主催)

今回の個展演奏会でプログラムの最後を飾った作品が、
この<糸の書~二十絃箏と邦楽器合奏の為の協奏曲>です。

箏の現代化に相応しい表現領域と運動性能の拡張を目指して、
二十絃箏が開発されてから40周年にあたる2009年度を記念した
日本音楽集団と日本現代音楽協会の共同企画の一環として、
私が作曲する機会を得て誕生したものです。

実は、この年度には以前から時間をかけて作曲を進めていた大作
<フォノスフェール第4番-a~二十絃箏と管弦楽の為に>も
完成していて、言わば姉妹作となったこの二つの協奏曲が、
2009年度の終盤である2010年の1月から3月にかけて、
相次いで初演され、<糸の書>は再演もされました。

先ず、1月の《日本音楽集団定期演奏会》の
"二十絃箏誕生40年記念プログラム"の中で<糸の書>が初演と
3月の日本現代音楽協会《現代の音楽展2010》
第3夜〘箏フェスタ〙での再演が、
宮越圭子さんの独奏を得て行われました。
そして、同月の第4夜〘コンチェルトの夕べ〙で、
<フォノスフェール第4番-a~二十絃箏と管弦楽の為に>が
吉村七重さんの独奏を得て初演されました。

現代の音楽展2010
(日本現代音楽協会《現代の音楽展2010》プログラム冊子)

二十絃誕生40周年を記念して作曲した二つの二十絃箏協奏曲、
<糸の書>と<フォノスフェール第4番-a>は、
独奏パートの一部に共通の楽想を持つ姉妹作となっています。
但し、片や邦楽器のみの大合奏との協演となる音世界、
片や西欧オーケストラと協演する音世界と、
その印象はかなり異なるものになっています。

今回の<個展>では、
邦楽器の大合奏(概ね室内オーケストラ相当)
のアンサンブルと二十絃箏独奏が協演する<糸の書>を、
演奏会の最後=トリに配しました。

独奏者には、二つの協奏曲の作曲にあたって
様々なアドヴァイスをいただいた現在の二十絃箏の第一人者、
吉村七重さんにお願いをしました。
<糸の書>の独奏は吉村さんにとっても初めてということで、
自ら指揮をして協演する私自身としても、
何重もの意味においてとても意義深い協演となりました。

音楽は、二十絃箏の持つ幅広い表現力を、
個性豊かな楽器の集合体である邦楽器合奏との
対照や融合の下に際立たせ、
糸を紡ぐ空間の書のような時空を生成していきました。
私の渾身の邦楽器協奏曲を舞台とした
吉村七重さんの二十絃箏の演奏の深淵を、
たっぷりと堪能していただくことができたと思います。
私自身の指揮による演奏は二度目でしたが、
新たに自分の中にもこの作品に対する確信を
持つことができた、貴重な機会となりました。

松尾祐孝邦楽器作品個展

尚、今回の個展は大学公式の映像を記録してあります。
今夜ご案内した<糸の書>の映像が、
洗足学園音楽大学HPの私の紹介ページに
アップされています。
お時間の許す時にご覧(お聴き)ください。

http://www.senzoku.ac.jp/music/school/
teachers/composition/id_14/

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