2014年9月に開催した<松尾祐孝邦楽器作品個展>の
各曲のステージを、一昨日から回想しています。
ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。
また、演奏者の皆様やスタッフの方々の
絶大なるご協力とご尽力に厚く御礼申し上げます。

個展プログラム冊子表紙

今日は、3番目のステージとなった<呼鼓悠遊>について
綴ってみようと思います。

♪♪♪♪♪ <呼鼓悠遊>(ここゆうゆう)♪♪♪♪♪
     (1999年 国立劇場委嘱作品)

 演奏時間:約17分
 初演:<国立劇場4月公演「打つ」>
 1999年4月15日・16日 / 国立劇場 小劇場

 小鼓=藤舎呂英  大鼓=藤者円秀  打楽器=松倉利之 
 三味線=高田和子 十七絃=石垣清美

楽譜&CD:「現代の日本音楽第19集 松尾祐孝」春秋社刊

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-春秋者出版楽譜表紙

この作品の成立経緯は、8月23日の記事に
詳しくアップしてありますので、ご参照ください。
小鼓と大鼓に、普段は五線譜を読まない伝統芸能の世界の
若手ホープ2名を起用したいという委嘱元の意向を受けて、
苦労して設計した書いた作品でしたが、苦労の甲斐があって、
上の写真の通りの作品集(楽譜&CD)の出版に結実しました。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-国立劇場のファサード

しかしながら、特殊な楽器編成故に
再演の機会に全く恵まれていなかったので、
この個展の機会に現代邦楽研究所と打楽器コースの
先生方による再演を考えたのでした。
そして、小鼓=西川啓光、大鼓=富田慎平、
打楽器=石井喜久子、三味線=野澤徹也、十七絃=石垣清美、
という素晴らしい演奏者に恵まれて、
とても充実した演奏が披露されました。

呼鼓悠遊リハーサル風景2
(リハーサル風景@洗足学園音楽大学/現代邦楽研究所)

無から宇宙が誕生するように静寂から始まる音楽は、
指揮者のように中央に陣取る打楽器奏者
4方向を向いた団扇太鼓を叩くモーションに、
他の4奏者が反応して音を出すという
「叩く」という行為を抽象化・視覚化した序盤、
演奏者相互の時系列のみを頼りに演奏していく中盤を経て、
打楽器が三味線と十七絃箏が乱数に基づく複雑な
無窮動が次第にクレッシェンドする上で
小鼓と大鼓が、伝統的な手を
浮遊するカデンツァのように奏する
終盤のクライマックスが突然瓦解した後、
静寂の彼方に音空間を閉じる・・・
という緊張感に貫かれた時空を生成しました。

演奏者の皆様に深く感謝いたします。
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