私は、昨年5月にウクライナの東部の都市
ドネツクを訪ねる機会を得ました。
当地で初めて開催された<Donbas Modern Music Art 2014>
という現代音楽祭のファイナル・コンサートの指揮者として
招聘をされて、自作を含む内外の6作品でタクトを執ってきました。

フィルハーモニー協会建物

その時にウクライナ・ドネツクは、とても美しく平和な街で、
私が指揮したドネツク・フィルハーモニー管弦楽団は、
市民に愛される楽団として機能していました。

音楽祭ファイナルのポスター

最初のリハーサルでは、西ヨーロッパや日本の現代作品に
戸惑いを隠せない状況でしたが、
次第に私のタクトに敏感に反応するようになって、
本番は爆発的な喝采で大成功の演奏会になりました。

<Donbas Modern Music Art / Festival & Competition>
=[DMMA・2013] ファイナル・コンサート
[ Music of our time / Japan - Sweden/Finland - Ukraine ]

*2013年5月17日 / ウクライナ・ドネツク
フィルハーモニー協会 / セルゲイ・プロコフィエフ・ホール
*プログラム:
- Mirjam Tally / Winter Island (b) (c) *
- Thomas Liljeholm / Merging (b) (c) ***
- Masataka Matsuo / Phonosphere 4b (a) **
- Vadim Larchikov / Gethsemane *
- Masataka Matsuo / Eternal Livre (new version) (a) (c) **
- Kalevi Aho / 2-cellos Concerto (b) (c) *
(*** 世界初演 ** 欧州初演 *ウクライナ初演)
*演奏:
guit. / Magnus Anderssion (a)
cello / Vadim Larchikov (b)  Olga Veselina (c)
cond. / Masataka Matsuo 
orch. / Donetsk Academic Philharmonic Orchestra

Vadim&Olgaの二人と共に

そのウクライナは、実は今年2月に冬季オリンピックが開催された
3月にはパラリンピックが行なわれたロシアのソチと
かなり近い地理関係に在ります。黒海の北岸のエリアという訳です。

そのウクライナが、ご存知の通り、緊迫した情勢となっています。

ソ連時代から引き継がれてきた黒海艦隊関連の重要な軍事諸施設は、
今でもロシアにとって極めて重要ということです。
しかし、地理的にも西欧に近いウクライナは、
NATOに加盟する動きもあり、また経済的にも西ヨーロッパ(EU)
寄りにシフトしようとしている傾向もあり、
それを好しとしないロシアとの間で軋轢が生じているようです。
しかも、ウクライナという国は、ロシア系やウクライナ系に他、
クリミア・タタール系(イスラム系)の民族も相当数を占めている
多民族国家であるために、国内の市民の思惑や指向も多様であり、
そういった意識の違いや利害関係から、
国内の緊張も増して、親ロシア派が東部のドネツクを拠点に
勢力を拡大している模様です。

あの平和で静かな佇まいで、音楽を愛する人々が明るく暮らしていた
ドネツクが、今は緊張の只中に在るのです。
この事態が平和的に解決して、
あの美しく平和なウクライナ・ドネツクの街が荒れることなく、
飾らす穏やかな人々が健やかな生活を続けられるよう、
遠く日本からではありますが、切に願ってやみません。