前回このワークショップの基本的なコンセプトについてご説明いたしましたが、それではなぜこのような学習のあり方が、今の時代において求められているといえるのでしょうか。

コンセプトの具体化の話に移る前にその教育上の時代背景についてお話したいと思います。


ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、昨年平成26年の12月22日に文科省の諮問機関である中央教育審議会から下村文科相に対して以下のような答申が出されました。


「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について(答申)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1354191.htm


それによると2020年度からは現在の大学入試センター試験が廃止され大学入学希望者学力評価テストの導入が検討されているそうです。

新試験制度ではこれまでのように知識の暗記量ではなく思考力や判断力、表現力が中心として評価されるテストへと移行することになります。


その目的はグローバルな社会で要求されるような、知識や技能を活用して課題を発見しその解決のために主体的に取り組む力としての「確かな学力」の育成であるとされています。

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これは1979年の共通一次試験の導入以来の大学入試制度の大改革ではないかと教育業界では現在言われております。

新試験では成績は1点刻みではなく段階別に評価され、年に複数回の受験も可能になるようです。

その内容も教科ごとのテストでだけではなく思考力・判断力・表現力を見るために教科を超えた、「合教科・科目型」、「総合型」の問題や記述式の設問の出題も予定されています。

各大学による個別の選抜試験もそれにならって変革することが見込まれており、小論文や集団討論、面接試験の実施が検討されています。実際にこのような一連の流れの中で2016年からは東京大学や京都大学でも推薦入学試験を導入することが決まっているのです。


このような話をするとこの試験制度が適用されることになるお子様(現在の中学1年生から)をお持ちの保護者の方からは自分の子供が希望としている大学に入学することができるのか、大変不安に感じているという相談を受けることがたびたびあります。


また現在のセンター試験でも思考力が問われるような良問が多いのに、新しい試験制度を導入することで基礎学力も満足に習得していないOA入試で合格するような生徒ばかりが評価されることになるのではないかと疑問視する学校関係者の声も多々聞こえてきます。


新試験制度が理念的にもまた現実的にも果たしてどれほど妥当なものといえるのか、それについて議論すべきことは数多くあるでしょうが、ここではそこには深入りしません。


ただ現在の状況ではこの傾向はおそらく変わらないと思われますし、そうである以上は新しい入試制度で求められている人間像に適った学力を習得するための教育が学校でもまた学習塾でも必要となるのではないでしょうか。


私達が今回の音楽とことばのワークショップのコンセプトについて最初に議論している際にはこの大学入試制度の大変革という教育上の時代背景が必ずしも頭にあったわけではありません。


ですがお互いの知的資源を持ち合いながら、音楽と教育についての理想を語っていく中で、結果的にこの新試験制度と密接に結びつくような学習のあり方が生まれてきたように思われます。


私は今回のプロジェクトについてサブタイトルを新しいアクティブラーニングの創造へ向けてと付けました。

新試験制度において子供達にもっとも要求されている能力とは学習についてアクティブであること、つまり主体性を持つことです。


この主体性を育むためにはお互いに自分の意見について議論を重ねながらその中身を磨き上げていかなければなりません。

そうである以上は一方的に先生の話を聞くような現在の集団授業よりも、双方向的な又は体験・参加型であるワークショップの方が教育のスタイルとしてはふさわしいでしょう。


そして又今回のこのワークショップは音楽と国語という教科の垣根を越えているという点からも、まさに新試験制度が想定している「合教科・科目型」、「総合型」の問題の一つのモデルケースになり得るのではないかと私は考えているのです。


それではそのような新試験制度の趣旨にも適ったといえる今回の音楽とことばのワークショップの具体的な形式、内容はどのようなものになるのでしょうか。

それは次回以降のメールでお話していきたいと思います。

センター試験の廃止と新試験制度の導入については参考として中央教育審議会会長である安西祐一郎氏へのインタビュー記事を挙げてきます。
http://kyoiku.yomiuri.co.jp/torikumi/jitsuryoku/iken/contents/post-179.php
http://kyoiku.yomiuri.co.jp/torikumi/jitsuryoku/iken/contents/post-229.php



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