日経レバETF(1570)は、日々売買代金上位に入る人気銘柄ですが、「日経レバは長期投資に向かない」と聞いたことがあるでしょうか。これは減価(持っているだけで価値が下がる)という性質のためです。
 
これまで、日経レバの減価は感覚的に気にするほどのものでないと思っていたのですが最近、日経ダブルインバースETF(1357)の減価ってひどくない?と思い、気になったので調べてみました。
 
投資においては数%の有意差にこだわることがとても重要です。
例えば勝率48%と勝率52%で差がたったの4%でも、その勝負を繰り返していくと資金の増減は圧倒的な差になります(実際には重要なのは勝率というより期待値なのですが、簡単のため)。やはり「感覚的に」とか言っていてはいけないな、と思い直しました。
 


前置きはさておき・・・2015年末の日経平均は19033.71円でした。
そこからちょうど一年後、2016年末の日経平均は19114.37円となりました。「ほぼ変わらず」とも言えますし「+0.42%上がった」とも言えます。
 
ではこの一年で、日経レバと日経ダブルインバースの株価はどうなったでしょうか?参考までに、レバレッジなし日経225ETF(1321)もあわせてどうぞ。
 

 
予想通りの結果でしたか?日経平均は仮にも+0.42%上がっているんだから、「日経レバが一番良いのでは?」と思う方もいるかも知れません。でも日経レバは減価のためむしろ少し下がっています。配当もなしです。
 
一方、"レバなし"の1321は、わずかながら上がっています。
しかも、7月には配当金を1.4%もらえています。
 
最悪なのがダブルインバースです。日経平均はわずか+0.42%上がっただけの水準なのに、1年持っていたらなんと約25%も価値が下がっています。とんでもない!この主原因が減価にあります。 

 

イベントバナー


減価が起こる仕組みはやや難しいですが、例えば日経レバは日々の変動率が日経平均の日々の変動率の2倍となるよう設計されています。
 
なので、例えば日経平均がもともと100として、ある日+10.0%上昇して110に、次の日-9.09%下落して元の100に戻るとします。
(実際はこんなに動きませんが、その方が差が分かりやすいので)
 
この時、日経レバは「変動率が2倍」なので元を100とするとまずは+20.0%上昇して120に、次の日はそこから-18.18%下落して98.2になります。つまり元の100には戻らず少し下がることになります。
 
このように、変動率が連動するように上げたり下げたりすると、だんだんとずれてきます。減価はこれに起因しています。また信託報酬(0.8%以内)も株価に組み込まれていて減価の一因になっています。
 

イベントバナー

 
減価は変動率で株価が決まるETFの宿命ですので、レバレッジ型やインバース型では必ず起こります。一方、レバなしのTOPIX連動型ETFや日経225連動型ETFなら信託報酬分以外の減価はなく、配当金もつきます。この点で長期投資(ドルコスト平均法で積立てる等)にも適すると言えるでしょう。
 
ETFは信用取引を使わずに実質「空売り」的なことができたり、うまく使うと戦略の幅を広げることができ非常に有用なのですが、特に「スイングのつもりが損切りできず塩漬け・・・」という癖がある方は、長期の保有ではくれぐれも減価の影響に気をつけて下さい。私もVIX短期先物(1552)の減価で痛い目に遭ったことがあります。
 

 

ちなみに、そんなことをする人は(恐くて)いないと思いますが、1年以上先の限月の日経平均先物を1年保有した場合はどうかというと、もし1年後の日経平均が同じなら配当分(今の日経平均で440円分、ミニ1枚で44000円)得することになります。期先の日経平均先物は、配当落ち分があらかじめ引かれた価格で取引されているからです。
 

イベントバナー

 

最近何度か書いていましたが、今回改めてダブルインバースは保有期間が長いと割に合わないと思いました。信用を使わずに可能な数少ない貴重なヘッジの手段でもありますしもちろん使い方次第ですが。
 
私としては、今年はより良いヘッジ方法を模索していきたいと思っています。これからも調べて分かったことは共有化していきます!
 (※投資は自己責任でお願いします。)