気が付けば列に並んでいた。
何の列かは分からない、先頭も最後尾も見えない。
列はなかなか進まないが、列から抜ける勇気がない。
前に並ぶ人たちが列を離れることによって自分が少し前に進めると嬉しくて仕方がない。
大学の非常勤講師として猿の研究をしている草間。
いつかは世間を驚かせる論文を発表したいと考えているが、研究は進まず、思うような結果が出せない。
恋人は去り、希望していた准教授のポストは後輩に奪われ、非常勤の草間は解雇となってしまう…
短い小説だったのですぐに読み終えた。
気分が落ちているときに読むとしんどいかも。
人間の醜さみたいなものが剥き出しに描かれているから。
少しでも前に行きたい。ほかの人より前にいたい。
自分より前の人を見ては落胆し、羨み、自分より後ろの人を見ては優越感を感じる。
生きている限りみんな、何らかの列に並んでいる。
やがて何の列か分からなくなっても、我慢して並んでいる。
出世とかと縁のない私もまた、何かの列に並んでいるんだろう。
そして自分と誰かを比べて、自分の方が前だの後だの順番をつけているんだな。
その列が一直線とは限らないのに。
T字とかU字とか、あるいは円かもしれないのに。
で、結局、作者が言いたかったことは『楽しくあれ』ってこと?
それもまた強引なまとめだけれど…