「とある場所の桜の木の根元に、メープルリーフ金貨三千枚を埋めた。みつけたら、あんたにあげるよ。」
5年前、入院していた病院の談話室で見知らぬ老人から言われた嘘か幻かも分からない話。それを急に思い出し、頭から離れなくなってしまった斉木充生は、気心の知れた仲間たちに打ち明ける。
不思議な縁で明らかになる老人の素性。
金貨の話は本当なのか?
老人はなぜその話を充生にしたのか?
充生たちは真相にたどりつけるのか・・・?
・・・みたいな書き方をすると、お宝探しの冒険物語みたいだけれど、全然違った。
全ての人がそれぞれの人生を背負って生きていて、今に至る。
そんな当たり前のことを丁寧に描くのが、宮本輝さんらしいなぁと思った。
「人生って、大きな流れなんだな。平々凡々とした日常の連続に見えるけど、じつはそうじゃないんだ。その流れのなかで何かが刻々と変化してる。」