IT企業「スピラリンクス」の最終選考に残った就活生六人。
最終選考は、たったひとりの内定者を、六人でディスカッションして決めるというとんでもないものだった。
その最終選考の最中に、六人それぞれの秘密を暴露する手紙が入った封筒が見つかる。
5000人の中から選ばれた精鋭六人の裏の顔。
これまで培われてきた各々の印象が次々に覆されていき、たった1つの枠を争う心理戦の末に内定を勝ち取ったのは誰なのか。
そしてこれを仕組んだ「犯人」は誰なのか。
そしてその8年後・・・
わりと早めに「犯人」が明かされたと思ったら、その後にひっくり返され、ひっくり返され・・・
まんまと作者の術中にはまり、振り回された。
読み返してみると、そのミスリードの巧みさに改めて感心させられる。
人はみな多面的で、その人のどの面を見るか、どの面が見えるかで印象は全く変わる。
しかし、短期間で選別される就職活動において、そんなことは考慮してもらえない。
自己分析したり、人生設計をしたり
面接官にアピールする「自分像」を練ってみたり
それでも山ほど不採用通知を受け取ったり
就活というのは、精神的にも肉体的にも追い詰められる、
社会人になる前の特殊な期間だ。
そんな就活生の、ある意味ピュアな必死さと
その8年後のちょっと世間慣れした感じの対比がおもしろいし
でもやっぱり変わらない人柄の優しさみたいなのが見え隠れするのもよかった。
そう、結局みんないい奴やん、という話。