縫製職人の智久と結婚した由紀子。
長男・智晴が生まれ、ささやかながら幸せに暮らしていた。
が、家業が傾き、智久は転職、家計を助けるために由紀子も外で働き始める。
その後、双子を出産し、一気に3人の男の子の母となった由紀子は、家事・育児・仕事に追われる日々を送ることになる。
そして、次第に智久との間の溝が広がっていった・・・
第一部はそんな由紀子の必死な毎日が描かれている。
そして第二部は15歳に成長した長男・智晴が主人公。
幼い頃から由紀子の大変さを見て育った智晴は、母の負担を少しでも減らすために、弟たちの母がわりとして家事を引き受けている。
他の女性と再婚し、新しい家庭を築いている父に対するわだかまり。
母に迷惑をかけないように、聞き分けのよい子を演じてきた智晴の葛藤。
結婚・出産・死別・離別を経てどんどん変化していく家族の形を描く。
登場人物それぞれがとても愛おしくなってしまういい小説だった。
ひきこまれて一気に読んだ。
おとなしくて言いたいことを飲み込むタイプだった由紀子が、強くたくましくなっていたのは感慨深かった。
そしてそんな母親を支える智晴の健気さが涙ぐましい。
ひどい父親なはずの智久が、第二部では「子どもたちに慕われているなんかいい感じのお父さん」になっているのが不思議だったけれど。
どんなに形が変わっても、家族はずっと家族。
当たり前みたいなことだけれど、意外と難しいことだ。
由紀子がそれを信じ、貫いてきたからこそ、今の関係性が築けたんだろうなと思う。
この小説では、由紀子と智晴がメインだったけれど、智久だったり双子たちだったり、他の登場人物が主人公のストーリーにも興味があるなぁ。