死期の近い妻と、介護する夫。
医学的にもう何もできなくて快復は望めないことは理解しつつ
希望を持って生きたいという気持ちはなかなか周囲の人々に伝わらない。
他人は病気の重さを知りたがり、余命を知りたがり、かわいそうと言いたがる。
そしてそうなった意味を考えたがる。
「罪深いから」
「人間ドックを受けなかったから」
「食事に気をつけなかったから」
世間一般のステレオタイプのストーリーに当てはめたがる周囲の人々との対応に
時にはイライラしつつも
『これは受ける側の感受性の問題だ』と心を平静に保とうと努める夫。
未来を見ずに明るく生きる方法がきっとある、と夫はずっと考え続ける。
死を特別視せず、全ての人の生の延長線上にもあるもの、
余命宣告された者だけに死へのカウントダウンが始まっているわけではないんだ
ということにしみじみうなづく思いだった。
先日読んだ『偽姉妹』では、
山崎ナオコーラさんって無理やり変わったことを書きたいタイプの人なのかな?という印象だったけれど
この小説は、私にとってはすごく真っ当で、すっと入ってきた。
静かで愛情にあふれていてとてもいい小説だったと思う。