60年前に起きた赤ちゃん取り違え事件。
病院側に賠償金の支払いが命じられましたね。

どうやら両家庭間にかなりの経済格差があったようで、この取り違えが無かったら良い意味で全く違った人生が送れたことだろうとの判断に基づいての判決だと思います。
もちろんこの男性(Aさんとしましょう)は完全に被害者なわけですが、何か腑に落ちないというか、スッキリしないというか。

まず全面的に病院が悪いと言えるのか。
人間だからミスをして当然だ、などと安易に庇うつもりはないですが、Aさんの母親は産着が違うことに疑問を感じていたんだとか。
何でそのときに確認しなかったのか。

それからもう一人の被害者のことも気になります。
取り違えられたもう一方の男性(Bさんとします)ですね。
確かにBさんは幸運にも経済的に恵まれて育てられたのかもしれないですが、それが幸せであるとは限らないわけで。
例えば裕福な家庭の長男として育てられ、過度な期待がプレッシャーになったとか、望まない相手との結婚を強いられたとか。

それにこの訴訟はBさんからするとこれまで弟だと思っていた方達から起こされているわけで。
彼らの推測が結果的に正しかったとは言え、弟だと思っていた人間から血の繋がりが無いんじゃないかと疑われるというのはちょっと想像がつかないくらい哀しいことなんじゃないかと。
いつから疑われていたんだだろう?とか疑心暗鬼になりますよね。
実は早い段階でそういう疑いがあって疎外感を感じていたんだとしたら、やはりBさんだって立派な被害者と言えるわけで。
もしBさんが訴えたらどんな判決が出るのか非常に興味があります。

もう既にAさんのご両親は亡くなっている(Bさんの方は?)そうですが、残っている実の兄弟と、そして兄弟として育てられた言わば他人と、どちらとも仲良く過ごして行けるといいですね。
これはもちろんBさんもね。
共通の敵を持つというか、病院の過失を責めることで両者のわだかまりが解けるならそれが一番いいのかもしれませんね。