『福音の少年虹のウロボロス―Good News Boy』 加地尚武著 パックスウィザーデイズ | 旧館:物語三昧~できればより深く物語を楽しむために


加地 尚武

福音の少年虹のウロボロス―Good News Boy (徳間デュアル文庫 か 7-3)

評価:★★★☆星3つ半

(僕的主観:★★★★星4つ)


■ハリーポッターのような一人の魔法使いのビルドゥングスロマン


3巻は、とってもとっても面白かった。むさぼる様に読みました。


もともとエヴァンゲリオンの二次創作として始まったモノの焼き直しだけに、主人公のメグム(=シンジくん)と、エリカ(=アスカ)、アナ(=レイ)という関係性が前面に出ていたし、エリカのかわゆさ大爆発(笑)の2巻も、ようはアスカの魅力なんだよねようは。つまりは、関係性が前面に出ていた。


・・・・・が、この作品は、現代社会にもし魔法使いがいたら、という部分を、かなり真面目にマクロの構造を設計していて、その核心であるパックスウィザーデイズ(魔法使いによる平和)の国際体制を、見事の物語のドラマトゥルギーの構造に練り込んでいる。だから、ハラハラドキドキした。全体的には、陳腐だとは思うし、凄まじいオリジナルな輝きを感じるわけでもない。でも、、、、おもしろいんだよねー。残念ながら、、、全編にわたって、この作者は、小説がうまくない、と思う。小説の技巧的な部分が、表現に安易に連想が効く記号を使用しすぎることなどなど、残念ながら下手だ。イラクでのインヴォルブド・ピープルの反乱など、あまりに湾岸戦争やサダムフセインを首領いしたりするところなどは、あまりに陳腐で、だめだなーと苦笑してしまった。


ただ、物語の魅力は、そういう技巧では測れないいい例だ。


ちなみに、この14歳で、いきなり世界の頂点に立つウィザードの称号を得てしまう、ウィズ・ミクリヤ(御厨恵)の物語は、ハリーポッター やエヴァンゲリオンの主人公のビルドゥングスロマンとまったく同形のもので、この系統の物語の基本構造は、感情移入しやすいんだなーと感心。何もない無力な少年が、ある日選ばれて、魔法使いだということがわかり、世界の運命に関係するドラマに巻き込まれる。そして、そのことを通して、少年の成長を描いていくという形式だ。



『賢者の石』ハリーポッターシリーズ第一巻/なぜ世界はハリポタに熱狂したのか?①
http://ameblo.jp/petronius/entry-10002127040.html  

ワーナー・ホーム・ビデオ
ハリー・ポッターと賢者の石
ワーナー・ホーム・ビデオ
ハリー・ポッターと秘密の部屋 特別版


基本的に、この人はまだ二次創作の消化がうまく出来ていないようで、残念ながらあまりに元ネタが容易にわかり安いところが、少し玉に瑕だ。これだけ既にオリジナルな物語空間が出来ているのだから、もう少し、想像力を深めるといいのに…と僕は思う。次の巻からは、以前書いたモノの90%は新規に書きなおすようなので、その辺に期待です。


■パックスウィザーデイズ(ウィザードの平和)


ちなみに、このパックスロマーナ(ローマによる平和)やパックスアメリカーナ(アメリカによる平和)などと同じように、文明が文明として成り立つ根拠を魔法に求め、その権力構造を物語の核心に据える部分は、なかなか秀逸で、メグムが国連で演説するシーンは、ドキドキしてえがった。


■参考記事


『福音の少年魔法使いの弟子―Good News Boy』 加地尚武著 エリカがかわいいよ!
http://ameblo.jp/petronius/entry-10049305180.html  

 
加地 尚武
福音の少年 Good News Boy ~錬金術師の息子~  
 
加地 尚武
図書館のキス―Good News Boy福音の少年  
 
加地 尚武
歌う錬金術師―福音の少年 (福音の少年)