『マブラヴオルタネイティヴ』 吉宗鋼紀監督 その4-① クーデター編は傑作だ! | 旧館:物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
アージュ
マブラヴオルタネイティヴ DVD-ROM版 リニューアルパッケージ
評価:★★★★★5つ 傑作マスターピース
(僕的主観:★★★★★5つ傑作



■mixiの当時のリアルタイム日記から抜粋


やべーかっこいー。



米軍と、国連軍と、近衛軍(ロイヤルガード)と、反乱軍・・・・。これだよ、これっ!! 。おれは、こーいう会話が見たったんだよ!!。ちゃーんと歴史的文脈や主権の問題を考えると・・・・そして国益と現場の兵士や前線指揮官の問題を考えると、こういう会話や関係になるはずなんだよ。 しかも、、、そのマクロの設定を維持しつつ、将軍が・・・(笑)。まるでマンガのようだが、それこそ物語のダイナミズムだもん。最高だ。これはすげー脚本だ。



小さい頃、、、国連に勤めたいと思ったことがあった。 中学の時、調べて一瞬でそんな気は失ったけれども(笑)。 ・・・・人類のために最前線で戦う人間になりたいってのは、マクロの世界を見る気持ちがある人にとっては、最高の夢の一つなんだ。 ダメだ、、、しびれて、感動して、涙が出てくる。



ついに、国連軍の正規兵として任官だ。



チープな国連憲章や、人類の未来のため・・・なんて言葉は、メタに見るとすかしていてバカみたいなものだ。嘘ばかりで、裏があるのがこの世界ってやつだから。 けど、、、それがリアルに感じられる主体性があれば、こういうチープな言葉が、胸に刺さるものだ。 いまも世界のどこかで戦争は行われているわけだし。

**********


当時の興奮が読んでいて盛り上がります(笑)。またやりたい!!。これ、クーデター編の最初の頃です。マヴラブでは正規兵として任官はしていなかった。いいかえれば、この世界の「マクロ」に関わっていないのだよね。所詮、自分の知り合いの中での戯れに過ぎなかった。けれども、世界の滅亡を食い止めたければ、それに関わる権力や発言権を得なければならない。そのためには、その世界の最高意思決定レベルに食い込まなければならない。だから、「早く任官しないといけないんです!」と夕呼博士に主張するのは正しい。



■クーデター編の日本の現代の想像力が為し得る極限まで描いている


このクーデター編を体験していて、ふと思いついたのが、アニメーションのコードギアスと村上龍の小説『愛と幻想のファシズム』と『五分後の世界』でした。とりわけ、現代日本社会のマクロを描いたエンターテイメントとしては、村上龍さんの下記シリーズ(僕の中での勝手なシリーズ化)、現代日本を描く最高の想像力の一つと惚れこんでいるので、これと類似性を感じるというのは、すなわち相当のレベルの傑作であるということです。

 
 
    

コードギアスはまだ片鱗ですが、そういった背後に思い描く「ありうべき姿」という現代日本の本質を描くとこうなるべきという理想像が僕にはあって、コードギアスを最初に見た時にその片鱗を感じたので、盛り上がったのです。とりわけ、コードギアスは、当時こう書きました。


『コードギアス・反逆のルルーシュ』  谷口 悟朗監督 僕の愛する設定の全てがここに(笑)
http://ameblo.jp/petronius/entry-10026483668.html

『コードギアス・反逆のルルーシュ』  谷口 悟朗監督 僕の愛する設定の全てがここに(笑)②
http://ameblo.jp/petronius/entry-10026541068.html


実は、、、、いま思い返してみると、まだ作品として完成していない、しかも、もう一味足りないコードギアスに対して、ここまで絶賛をこの時点でする必要はなかったのですが・・(笑)・・・けれども、そこはこのタイトルが僕の感想を表している。


僕の愛する設定の全てがここに

こりゃすげぇ。なんつーか、この設定、おれ死ぬほど好き。まだ一話だけしか見ていないのだけれども、僕の好みとして、物語に一番求めるものを、完璧に満たしている。一話であまりに感動してしまったので、次を見るのが怖い(笑)。だって、ここまでのマクロ的な設定の見事さと、ミクロ的な演出の可能性を造られたら、期待しちゃうもん。


バンダイビジュアル
コードギアス 反逆のルルーシュ volume09 (最終巻)


この「僕の愛する設定」とは何か?というと、それは、自分自身につながっているリアル感なんだよね。


僕は司馬遼太郎とか城山三郎、山崎豊子、高杉良などの小説が好きでよく読むのだけれども、それはなぜか?というと、自分とつながっている感じがするからなんだよね。僕は、日本のある大企業に勤めています。たとえば、自分の父親や祖父などもそうですが、身近な親族をよく聞くと、日本の歴史の建設にちゃんと貢献しているんですよね。身近に軍人もいれば政治家も、商人も官僚もいます。そこをよく調べていくと、自分の所属する組織と仕事と、そして自分の世界を形作る親族や友人たちと、それらのダイナミックな日本近代の物語(=歴史)が意識するとちゃんとつながるのです。


たとえば、具体的に云うと、三菱グループに勤める人は、三菱財閥がもともと坂本竜馬の海援隊組織をベースに、、、彼の海洋貿易立国構想を岩崎弥太郎が受け継いだということは、もちろん知っていると思いると思います(知らないか…?)。もしくは、トヨタ自動車の創業者の豊田佐吉やHONDAの創業者本田さんのモータリゼーションへの大きな夢や、海軍に勤めていたSONYのファウンダーの盛田さんや松下幸之助の夢、、、、明治維新に貢献した大久保利通や伊藤博文の、後藤新平、前島密の近代国家建設の夢や、戦前戦後の大きな絵を描いた瀬島や吉田茂など、なんでもいいのですが、大組織には、日本という国家と民族の夢や、、、その組織を使って、地球人類へ貢献したい、何かを成し遂げたいという創業の「志」がたあります。それが、100年とかも悠久の時間を、創業者の死後も、面々と歴史文化として継続しているわけです。


これはただの例ですが、僕らは歴史の線上に生きていまう。けっしてゼロベースの白紙の世界に生きているわけではありません。自分の仕事や家族や友人や、生活世界や国家というものは、すべて歴史の連続性という大きなマクロのムーブメントによって制約を受けているのです。目の前の瑣末なことに関わっていると忘れてしまいますが、僕らはそういった地球人類の歴史とかかわってい生きているのです。自分の手では届かなくても、親族や友人、、そして中間である組織、国家とより大きな単位に影響を与えていけば、世界に手が届くのです。

山崎 豊子
不毛地帯 (1)
瀬島 龍三
大東亜戦争の実相 (PHP文庫)
共同通信社社会部
沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか 新潮文庫

だから、たとえば、山崎豊子が『不毛地帯』で、戦前の大本営参謀であり、戦後伊藤忠の会長と中曽根政権のフィクサーであった瀬島龍三などの小説を読むと、、、日本の地政学的な問題である石油資源の確保に終世を費やしている(事実はどうかはともかくそういう夢が日本社会のエリートにあるのは事実)ことなどを読むと、自分が、、、いったいどんな大きな戦略的波の中にいるのかが自覚されて、生きていることにとても不思議なリアル感がわくのです。


ちなみに会社に入ってみると、確かにそういった創業の夢を信じているオヤジたちがごろごろいます。夢の形はそれぞれですが、一度しかない人生で、ちっぽけな個人ではあるが、日本人とか国家とか会社とかいう「組織」の力を通して、生きた証しをこの世に残したいという強烈な夢と志がまだまだ胸の奥に隠れているんです。そういうのに触れると、まるで、大きな物語と、自分の小さな生活世界と生の実存が接続されるような不思議な高揚感を感じるのです。


大きな物語とは歴史。歴史というアーカイブを重ねると、民族と個人、組織、国家が・・・・そして人類が抱いた夢。そして、自分の一度しかない人生は、このアーカイブと接続されているのだというリアル感が発生するのです。僕はこれをして、現実と物語には区別がつかないという言い方をしています。


話を元に戻します。


だから、僕は、いまの「僕」につながる世界をリアリティある形で見たいという欲求を持っています。リアリティあるとは、なにも「生の無味乾燥な現実」を見たいということではありません。生の現実は、肩こりに悩み、世界に何の影響も与えられないで満員電車に乗るくたびれ始めたサラリーマンです(笑)。けど、同時に、大企業のトップを目指し、世界を変えてやると意気込むビジネスマンでもあり、、、世界史の偉大なプレイヤーである日本人の一人でもあります。ようは、モノはいいようということです(笑)。


そして、ここでいうリアリティとは、「生のリアリティの断片」ではなくて、「層を明らかにした総体のリアリティー」なんです。


えっとね、「層を明らかにする」とは、昨日itoyuさんとアジアの安全保障について話していて、「なんでこんな意味のないマクロな話が面白いのだろう?」と話したら「全体のことがわからないと、目の前でやっていることの意味や価値がわからなくなる」という回答をいただいた。


えっとね、セカイ/世界って僕は、「層」になっていると思います。「層」とは、レイヤーがいくつもあるという意味で、自分の「いまのいる現在位置」ともう一つ深い層に入らないと、「見えない/わからないもの」があると僕は思うのです。


単純に云うと、たとえば、僕は課長だとします。そすると、なにをいっても、部長とか役員になってみないと、その層の情報は全然入ってこないのですね。もちろんこの辺の情報は、可視的なものなので、一般的になんとなく想像はつくと思います。


けれども、たとえば、日本の安全保障は、日米同盟(日米安全保障条約)に基づくという吉田茂首相が構築したアングロサクソンとの同盟によって形成されています。これは日本社会の戦後60年以上(半世紀以上)の巨大な構造です。僕たちの人生の過半が依存するスキームです。が、、、このことを明示的に理解している人はいますか?、このことをトータルでどういうふうに日常の行動や組織の戦略に落とし込んでいる人がどれだけいるでしょうか?。これを、簡単な言葉でちゃんと説明できる人は?。いや、反語的に聞いていますが、僕は少なくとも大衆レベルでは全く自明的でない(=不透明)と思います。指導層でさえもね。マクロの構造というのは、目の前の生の現実に覆われて、非常に体感しにくくなって、忘却されやすいものなのです。


たとえば、学問的にでも政治でリアルに勉強したり体験することも可能ですが、これを物語でコンパクトに表現すると、どうなるか?。物語とは、ある種の『嘘と簡素化をして相手に伝えるためのメッセージ凝縮装置』だと僕は思っています。では、現代日本社会の現実を見事に表現しているというと、僕は村上龍の現代日本の本質を突く傑作の三部作(いまのところ4つ出ているが最後のは少しまだ甘い)と読んでいる『愛と幻想のファシズム』『五分後の世界』『希望の国のエグソダス』『半島を出よ』なんですよね。これは大傑作ですよ。日本を代表する小説家は、いまもってW村上こと村上春樹と村上龍だと僕は思っていますが、それは都市文明の孤独(=ナルシシズムの檻の地獄)という全世界に通じるテーマを共有しているからです。


とりわけ、村上龍さんは、日本の現代問題をストレートに題材しているだけにわかりやすい。ここでは、今の現代日本の抱える構造的問題点の本質が凝縮されて、コンパクトにわかるように(=感情移入の力を使って我々に告発してくる)なっている。本来ならば、層が深すぎて、もしくはマクロの層は複雑すぎてわかりにくくて、個人では体感できにくいものを、物語の力を使って我々に体感させてくれるわけです。


そうすると、先ほどの歴史の連続性の果てにいる自分(=縦軸)と、いまという時間の空間の広がりのマクロまで届く複雑な層を体感させてくれること(=横軸)が体感できるようになるわけです。


物語を評価する時の時間軸として過去~日本社会を描くとき
http://ameblo.jp/petronius/entry-10012793578.html


そこに、「層を明らかにした総体のリアリティー」が立ち現われてくるのです。さっきのitoyuさんとの会話もここにつながります。僕らは「無味乾燥な生の現実の世界」に生きています。けれども、近代の人間は、ある種の物語・・・ロマンの世界をも同時に生きています。けれども、忘れてはいけないのは、ロマンは所詮ロマンです。ロマンは、常に現実に試され続け壊され続けるものなのです。



4-②に続くです(笑)。


作品そのものの具体的な感想まで行きつかなかった(笑)。さすがにこの続きは必ず書きます(笑)。ようはオルタのクーデター編は、これを喚起させるくらいの内容である!、しかも村上龍の作品群と比較しても遜色ないほどの、ということがいいたいがための、長すぎる前置きでした。ほんとうは、現代日本の構造をえぐる作品は、村上龍さんの例のシリーズと、そしてなんといっても押井守監督の作品なのだが・・・そこの比較まで行きつきませんでした(てへ♪)。


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