テーマ:
ioujima a
評価:★★★★★星5つ
(僕的主観:★★★★星4つ半)


■同じ物語でも感情移入のポイントが異なることで、異なる効果を生む


 この映画の本質は、『父親たちの星条旗』と連続で見て、同じ舞台の戦争が、異なる立場から見ると、全く違った風景に見えること、そして、結局それによって犠牲になっているのは、すべて個人であること、、、国家の行いはそれが大義であっても、個人にとってはすべからく裏切りであり暴虐であること示している点です。本来戦争モノの物語のドラマツゥルギーは、敵と味方という、究極の二分法を設定し、味方の視点に同一化して感情移入して敵を打ち滅ぼすところにカタルシスさと面白さがあります。その基本的作法を崩すところに、クリントイーストウッドの英雄の存在を許さない成熟した視点があり、其れが故に、敵味方と分けている幼稚な思考方法では、理解し得ない現実の複雑さと不条理さと・・・・そして豊穣さを浮かび上がらせます。


が・・・・この映画は、二つを同時に見て感じることが重要な映画なのですが、なかなか見事だと思えるのは、単体の作品として、日本映画の戦争モノとしても完成している点です。これは、見事にちゃんとした日本映画であって、これを、アメリカ人の監督がつくり上げてしまうところに、脱帽ですよ。日本にゃーつくれんな、こういう相対化の視点は。


■記事参照


『硫黄島からの手紙』① アメリカの神話の解体
http://ameblo.jp/petronius/entry-10021292764.html


『硫黄島からの手紙』② 相手の視点に感情移入すること



『硫黄島からの手紙』③ 日本映画における戦争という題材

http://ameblo.jp/petronius/entry-10021294517.html


『父親たちの星条旗/Flags of Our Fathers』 
http://ameblo.jp/petronius/theme-10000381975.html




■誰が悪かったのかが、いまだわからない日本



『演技をしていたときに、なんでこうなっちゃうんだろう?、って思った』


『一体、誰が、何が悪くて、こんなところまで追い詰められちゃったんだろう?・・・・・そんなことを僕は一度も学校で習ったことがありません』


二宮和也/めざましTVインタヴューより(引用不正確です)



上記の「ような」ことを、めざましTVのインタビューで二宮君が、話していた。戦前日本の第二次世界大戦末期を描いた日本映画(これは日本映画です、とイーストウッド監督NHKの特集で述べていました)の核心は、ここにあると思う。僕は、妻とこれを見に行きましたが、妻がポツリと・・・



「あそこまで追い詰められると、全く逃げ道がないんだよね・・・・・降伏も逃亡すらもダメとなると、もう死ぬしかないところまで追い詰められちゃっているんだよね・・・そうなると、もう死ぬしかないよね。。。私があそこにいたら、まっさきに死んでると思う・・・・・」



といっていた。僕も同感だ。玉砕や自決も、降伏も投降も、どれを選んでも死ぬしかない状況まで個人が追い詰められてしまっているので、戦うか死ぬしかないんだよね。


もう選択の余地がないんだもん。


選択の余地がないと考えれば、、、たしかに祖国と家族のために、戦って死ぬこと・・・・とりわけ民族と国土の存亡をかけた最終戦争のために死ぬことは、その欺瞞はさておき、素晴らしく美しく気高いんだ。そこに逃げ込みたくなる気持ちはよくわかる。



『トップをねらえ!1&2合体劇場版』 庵野秀明&鶴巻和哉監督 仲間を守ることと自己犠牲①



ようは、大義や大いなるもののために死ぬことの美しさ、というのがWW2を描いた日本映画の戦争モノの核心だ。個が犠牲を払って、大いなるものへ自己犠牲すること、その散り際の美しさが、本質だと思う。それを否定してしまうと、ただひたすら悲惨さのリアリズムと国家の犠牲になったというルサンチマンの叫びになってしまう。

東宝
連合艦隊
日活
あゝひめゆりの塔

梯 久美子
散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道

「予が諸君よりも先に、敵陣に散る事があっても、諸君の今日まで捧げた偉功は決して消えるものではない。いま日本は戦いに敗れたりと言えども、日本国民が諸君の忠君愛国の精神に燃え、諸君の勲功を讃え、諸君の霊に対し、涙して黙祷を捧げる日が、いつか来るであろう。安んじて諸君は国に殉ずべし」


・・・・・沖縄戦の最後の最高司令官の辞世の句もそうだが、最終戦争における本土防衛を担った司令官の言葉というのは、本当にぐっとくるものが多い。今から振り返ると、今という時代に甘えている自分たちが恥ずかしくなるほどに。



 けど大事なところは、だから素晴らしかったと、肯定することではなく・・・、大事なのはそんなふうにするしか選択肢がないところまで、個人を追い詰めたマクロの設計者(政治家、官僚、エリート達)は、だれだったのか?、 もしくは、そういったバカな意思決定がされたメカニズムは、なんで生まれたのか?ってことが、さっぱり学習されていないことなんだ。日本の近代史は、歴史の授業でも、時間が足りなくて割愛されることが多い。日本の教育は、思想的に偏向している教師も多いので、どうしても、イデオロギーなしの冷静な分析というものも少ない。だから、本当は、誰が悪くて、何が悪くて、あのような悲劇まで追い詰められていったかを、いまだ正しく直視できていない。空白の日本近現代史なんだよな、教育としては。・・・・・・だから、こういうエンターテイメントで、大衆に強く訴えかける作品というのは、凄いなぁと思う。この辺が、映画産業を教育装置と捉えるアメリカの映画監督には、強い意識を感じます。


ロバート スクラー, Robert Sklar, 鈴木 主税
アメリカ映画の文化史―映画がつくったアメリカ〈上〉

a
鈴木 透

現代アメリカを観る―映画が描く超大国の鼓動

 それに引き換え、ノモンハン事件の生き残りの司馬遼太郎さんが、フィリピン従軍の生き残りの山本七平さんが、問いかけた問い は、いまだ、まったく直視されていないんだなぁ、とこれを見ていて思った。日本の戦争モノの映画やドラマは、ただ単に、大いなるものへの一体化か、もしくはそれと真逆の完全なる国家の否定しか描けないものが多いんだもん。それに、そもそも最近日本とアメリカが、国家と民族の存亡を書けた戦争をしていたことなんて、若い世代には、全く実感ないだろう。いや、僕もその若い世代だけど(笑)。


『大東亜戦争の実相』瀬島龍三を読む
http://ameblo.jp/petronius/entry-10001693226.html

瀬島 龍三
大東亜戦争の実相



山本 七平
私の中の日本軍 (上)
『慮人日記』小松真一著/『日本はなぜ敗れるのか?』山本七平著
http://ameblo.jp/petronius/entry-10011489338.html


■関連記事など


祖父 栗林大将と硫黄島戦/新藤義孝衆議院議員HP

http://www.shindo.gr.jp/magazine/article/0054-050425.htm

【映画】「父親たちの星条旗」評/「われおもふこと」さんより 

http://blog.livedoor.jp/yamato26840/archives/51254034.html

映画では無く本当の硫黄島の戦いを知っていますか??/「われおもふこと」さんよりhttp://blog.livedoor.jp/yamato26840/archives/51248232.html


父親たちの星条旗/「俺の明日はどっちだ?」さんより
http://blog.goo.ne.jp/nikidasu/e/2d3cf7b4ff236435950b96e1f7674f99




ジェイムズ ブラッドリー, ロン パワーズ, James Bradley, Ron Powers, 島田 三蔵
硫黄島の星条旗
梯 久美子
散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道

NHKエンタープライズ
NHKスペシャル 硫黄島 玉砕戦~生還者 61年目の証言~

ビデオメーカー
硫黄島の砂
東宝
海軍特別年少兵
AD
いいね!した人  |  リブログ(0)

petroniusさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。