『スターウォーズ・エピソード3・シスの復讐/ジョージ・ルーカス監督』を見た!② | 旧館:物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

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SW05.7.9①


④パドメのこと


僕は、このシスの復讐全編で、パドメの描きかたが、非常に納得もし、同時に凄く落胆した。


なぜか?


少し長いが展開してみます。


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この脚本は、ひたすらアナキン・スカイウォーカーの選択のまずさによる失敗(=ダークサイドに落ちてしまうこと)の悲劇を描いたものです。



それは、この新三部作全てを貫くドラマトゥルギーです。・・・・そう考えると、シンプルで、あまりにシンプルで傑作だな、こりゃ。。。



これほど寂しい境遇であるアナキンを、ジェダイのような高潔で倫理ある集団が、ファントムメナスの最初から拒否しています。


それは、彼が、矯正しようのないモチヴェーションを持つ子供なので、扱いが非常に危険だからです。このへんは、評議会は、見る目あるなと感心しました。



<<両義的な善悪に頓着がないこと>>


『ハンターハンター』のゴンと同じキャラクター設定で、両義的なのです。つまり、非常に純真で、善にも悪にも、どっちにも簡単に転びやすいのです。しかも、世界を支配できるほどのフォースをもつのだから、彼の意思一つで、世界の未来が決まってしまうというとても危い存在です。


先ほど、アナキンが「矯正しようのないモチヴェーション」を持つと書きましたが、彼は、母を失っており、奴隷時代が故か母親の無条件の愛を信じ実感し切れなかったようで、異様な母親的なモノへの執着が存在します。


その執着が、「なにか圧倒的に不足する」という喪失感の感覚を彼にもたらしています。


その不足感が、上昇志向(ジェダイの訓練)とパドメへの恋愛という形で展開していきます。



ジェダイの騎士たちの精神的な評価は正しく、アナキンは「喪失感の恐怖」ゆえに、彼は「得たものを独占し失うことができない」という独善に陥ってしまいます。



一度パドメで喪失感を埋めてしまったので、その喪失感を失うことが耐えられないのです。それはそもそも、もともとの「母親を失った喪失感」という精神的なトロゥーマから全然立ち直っていないマザコンだということです。


本当の「大人になること=成熟すること」を理解していれば、死による喪失感は決して、単純に「失うことではないこと」が理解できるはずですが、子供時代のボロボロの傷を持つアナキンにそれを要求するのは酷でしょう。


<<アナキンは義経だった?>>


まぁ、アナキンは、物凄く子供なのですね。残念ながら偉大なジェダイの修行も、彼の精神を成熟させるには、程遠かったようです。


僕は、議長に篭絡されるところ、


評議会からのスパイ活動の依頼に傷つくところ


などなどのシーンを見ていて、ああっ、アナキンって義経に似ているんだ(笑)・・・・と思いました。




司馬遼太郎が義経を描くときに、語ったのは



源義経が、もう政治的センスゼロの、ほんとにゼロの政治的無能だった、という点です



これには、僕は非常に納得がいった。古来、天才学という領域の学問があるが、この世界では、早熟の天才児は、性的、政治的に、異様に幼いのに比例して、何らかの能力が先鋭して豊かになるといいます。

本当かどうかはともかく、義経はただ


お兄ちゃんに誉められたいだけの純真な少年


で、その純真さを、後白河法皇?だっけかに利用されたり、様々な政治勢力に利用されて、自分を追い詰めてしまいます。そして一番大事な兄の信頼を失ってしまうのです。



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だから、凄くアナキンも似ている。


あきらかに、政治的センスは、ゼロです。もう、見ていて可哀相なくらい間抜け(笑)。それだけ純真だということなんだと思いますが。だから、皇帝にこコロッと騙されてしまいます。




・・・・・・・・さて、やっとパドメです。


アナキンが、


①子供時代の精神的な傷が元でとても危い性格をしている。

②政治的なセンスはゼロなので、簡単に人に利用されやすい


のは、大前提です。これはしかたがありません。そういう人なのだから。


こういう前提を、ジェダイ評議会は完全に見抜いています。だから百戦錬磨の政治家のパドメも、当然理解できるでしょう。


そうすると、政治家であり銀河共和国評議会の元老議員でかつ専制政治に反対する自由陣営のリーダー格の彼女がとるべき態度は2つしかありません。


①リスク回避の為に、アナキンを暗殺することです


もうひとつは、


②リスクは高いが、アナキンの心が成長するように導いてあげることです


①もしくは②をしないかぎり、限りなくアナキンは、全世界の運命をシディアス卿の勢力に利する行為をしてしまいます。




アナキンの存在自体がリスクだ



ということを、賢明な政治家ならば、一発で理解しなければ、おかしい。



エピソード1と2で描かれていた政治指導者でナブーの王女のパドメは、非常に安定して成熟した人格を見せていますし、政治センスも十分でした。


ならば、アナキンの存在リスクを感じたからこそ、それを取り込む形で彼と深い仲になったのでは?と穿って考えていました。もちろん、愛もあったでしょう、しかし、それ以上に政治家としての直感が彼女にそうさせたのではないか?と考えていました。



けど、エピソード3シスの復讐のパドメは、ただの


「待つだけの女」


です。悪い言い方をすれば、しょせん男の世界に入れない女って描きかたです。あれっ?、そんなにレベル低い政治家じゃなかったはずなのに。。。。と落胆。



いや、脚本としては正しい。


これは、ストレートにアナキンが堕ちていくこと描いた悲劇が根本テーマですから、よけないことは描かないで、アナキンの母親と同じような無力な女性をパドメに重ねた方が、アナキンの悲劇はより一層深まります。



・・・・・・・・とはいえ、


さすがに①の暗殺は、行き過ぎでも・・・・・でも状況によっては刺客を保持しておくぐらいのカードは伏せておくべきです。


でも、②の導きのセリフは少しでも欲しかった。


というのは、ここは核心の部分で、アナキンの心の闇と地獄を救うのは、「成熟すること=大人になることとは?」を理解させることです。凄く難しい課題であるのは分かります。


しかし、年上女房で、あれだけ成熟した人格で、しかも政治家経験がある彼女が、年下のアナキンを導いてあげなくては!。それしか共和国を救うことは出来ないのだから。


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アナキンの喪失感は、間違った認識を持っています。

それは、



1)パドメ自身の生命を失うこと

2)パドメとアナキンの愛を失うこと


は全然違うことだということが、彼は認識できていなかった。パドメは死ぬかもしれません。しかし、死んだからといって二人の愛が消えるわけではありません。


もし、アナキンが子供を殺したり、共和国を裏切れば、その信念からアナキンはパドメとの愛を失ってしまいます。そんなことあたりまえじゃないですか!。


喪失という点では、「パドメの肉体的な死」も「パドメとの愛の死」もどちらも同じことなのです。だから、選択肢として、一番受け入れがたいのは2)になるはずなので、シスの暗黒卿に従うなんてことは、普通考えればありえないのです。


ここは、母の喪失による空洞で、精神的にボロボロの場所なので、他人が簡単に入れる場所ではないですが、唯一は入れるのは、兄であるケノービかパドメなのです。イヤ、事実上パドメだけでしょう。



ここを主張しなければ!!、それは愛とはいえないぜ、パドメ!!。


はぁ・・・・長かった。ただ最後の一行がいいたかっただけでした(笑)。

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