体罰を考える その6 | シニア犬 最期まで幸せでいてほしいから

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行動修正と体罰 その4
 飼い主に対する攻撃行動への体罰使用に関する解説の最終回、今日取り上げる攻撃行動は捕食性攻撃行動です。この攻撃は私が全責任を持って飼った最初の犬だったハスキーの「びく」と「さら」が数々の問題を引き起こしてくれたので(笑)、以前にも書いていますが、今回は体罰との関連を含めて書きたいと思います。
 この攻撃は日頃、主に面倒を見ている飼い主ではなく、飼い主家族に向けられる攻撃行動と言った方が正しいでしょう。さらには、その犬が飼育された当初からいて十分な接触をしてきた家族に対して生じることはありません。後から加わったメンバー、具体的には乳児、または接触が少ない家族が年齢を重ねたり身体に障がいが生じたりした時に対象に成ることがあるのです。さらに、このブログを読んでくださっている方にとっては「家族」には、当該の犬以外の飼育動物たちが含まれますよね?そう、犬より後で飼育され始めた小型犬や猫、モルモットやねずみなども対象に成りえます(子犬のころから十分な接触をしながら一緒に育った個体に対しては攻撃は生じません)。

 捕食攻撃行動は、対象の何らかの動きに触発されて突然に、全く抑制がかからないで生じるという特徴を持っています。犬をじっくり観察していれば、攻撃の前にその対象を柔らかな目ではなく獲物を追う時の鋭い目でじっと見つめているのに気づくかもしれません。家族に対して捕食性攻撃行動を起こしたなら、二度目の攻撃は対象が大けがをしたり、致死的なものとなる可能性を否定できません。
 さて、この捕食性攻撃行動に対する治療に体罰を使うことの是非です。体罰の定義は動物に対して殴る、蹴る、首を掴んで振る、首を絞める、食事や水を与えないなど、身体的および精神的な苦痛を与える行為でしたね。犬にとって嫌な刺激、つまり嫌悪刺激の一種です。すべての動物は嫌悪刺激が与えられると、その原因となった行動を避けようとします。与えられた嫌悪刺激が大きければ大きいほどその行動をしなくなるものです。捕食攻撃に対し嫌悪刺激を用いるタイミングとは、家族に致死的な怪我を負わせるわけにはいきませんから、犬が攻撃を間違いなくすると確信できた瞬間、攻撃の直前と言うことになります。このような瞬間に殴る、蹴るなどの体罰をタイミングよく繰り出すことが出来る人はかなり限られます。しかも、犬に攻撃行動と嫌悪刺激を結びつける学習をさせることが出来ない(強さが不足していたり、タイミングにずれがある)体罰を与えるなら、自分の犬を虐待しているだけということになります。さらに、興奮状態にある犬はこれまでの対象から、体罰を与えた手や足、もしくは体罰に私用した棒などに対して攻撃を仕掛けてくる可能性、つまり転嫁が生じる可能性が大です。この時、犬はまったく感情をもつことなく攻撃をしてきます。うーん、とても難しい・・・。私には捕食攻撃をしようとしている犬に正しく体罰を与える自信はありません。だって、手を振り上げて動いている犬に対して振り下ろす間に、犬は攻撃をし終えてしまいそうです。嫌悪刺激として体罰ではなく、たとえば犬が腰を抜かすような大音量の爆発音とか雷鳴音を用いるほうが上手くできそうです。それでも、タイミングを計れるかどうか・・・。一発で犬が絶対にもう二度としないぞと学習するような強さの嫌悪刺激をタイミングよく繰り出すことは本当に難しいでしょう。いつも犬を監視していなくてはいけないなら日常生活が破たんしてしまいますよね!

 だからやっぱり環境を整えて犬が捕食対象とする家族を守ることを第一に考え、時間をかけてその家族と犬との関係を変えていく、その家族に慣らしていくことの方が安全だし、安心だし・・・と言う話になるわけです。
 

 家族に対する攻撃と体罰について長々と書いてきましたが・・・結論!家族に対して攻撃的に吠える、唸る、咬もうとする、咬むなどの攻撃をする犬に体罰を使うのはやめましょう!日本獣医動物行動研究会の声明文と資料http://vbm.jp/seimei/85/をもう一度お読みいただければ幸いです!

 次回から先日、天にお返しした「るか」の行動について、かれの思い出として数回にわたって書いてみたいと思います。See you!

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