体罰を考える その4 | シニア犬 最期まで幸せでいてほしいから

シニア犬 最期まで幸せでいてほしいから

ブログの説明を入力します。


テーマ:

行動修正と体罰 その2
 飼い主に対する攻撃行動の多くが恐怖とか不安が関連しており、この治療には飼い主と犬との良好な絆を結びなおすことが必須です。犬に対して、飼い主を怖がったり不安に思ったりする必要はないこと、逆にいつもあなたを守ってくれるやさしい保護者であることを教え直すことです。ですから、体罰は用いるべきではないと前回、書きました。今日は飼い主に対する他の攻撃行動を修正するための方法と体罰について書きます。

 はじめにわかりやすい攻撃である、母性攻撃行動を考えてみましょう。現代では非常に少なくなりましたが、自分の子犬を守るために、子犬に触ろうとする、飼い主を攻撃する犬です。この攻撃は生得的な行動ですから、可能な限り母犬と子犬をそっとしておくように伝えます。母犬が子犬のそばを離れているとき、たとえば、排泄や食事、散歩に出かけている最中などに子犬に対する必要なケアを行うように進言します。母性行動に対して体罰を与えるのは動物福祉に反すると思いませんか?ですから、攻撃行動が生じないように環境を整えるという対処によって「予防」を考えるわけです。また、幸いなことにこの攻撃行動は、放っておいても子犬の成長とともに収束します。
 次に子犬を守るのに少し似ていますが、お気に入りのおもちゃや食べ物を守ろうとして飼い主を攻撃する場合を考えてみましょう。所有性攻撃行動、食物関連性攻撃行動と診断します。診断名は異なりますがどちらも所有欲、つまり、自分の物を取られたくないという欲が関連しています。これらの犬はおもちゃ、骨、ガム、食器などを護ります。そして、これまでに所有性攻撃行動、食物関連性攻撃行動と診断した犬は数多くいますが、9割以上の犬が恐怖性攻撃行動を同時に診断しています。これらの犬は、おもちゃや食物に近寄られるとおびえた様子を見せながら(たとえば、白目が見えるような眼の見開き方、わずかに後方に引いた耳、口角を後ろにひいて固く閉じた口など)、奪われたくないので必死になってそれを護ろうとして攻撃してきます。これらの犬には、護るものを与えない、または、護っているものをむりやり取り上げず、母性攻撃行動と同じように、犬がその場を離れている時に取り上げるようにするのが初めにすべき対処として進言します。まずは環境を整えることによって攻撃を予防することから始めるわけです。その後、犬に、大切な物であっても護るのではなく、飼い主に委託できるように人道的な方法を用いて教えて行きます。具体的には「トレード(とりかえっこ)」、「リーブ(離れて)」、「ドロップ(口から離して)」というようなコマンドをゲームの中で教えること、ガム・骨を食べたり、食事中に犬のそばに飼い主が来ると良いことがあるという経験を段階的に教えることなどをしていくわけです。このような犬に体罰を用いると多くの場合、攻撃がひどくなります。もしかすると上手に体罰を使えば、おもちゃや食べ物を護ろうとする攻撃を止めさせることはできるかもしれません。でも、なぜ犬がその行動を止めたのかを考えてみてください。犬は「あの嫌な経験をするくらいならおもちゃや食べ物を渡した方がいいいや」と学習したのです。そこに家庭犬と飼い主との間の理想的な信頼関係はないと思うのです。犬のただの服従、降参です。家庭犬には安心して飼い主の横で骨やガムを齧ってほしい、ゆっくり食事をしてほしい、多くの飼い主はそう願っているのではないでしょうか?
  そうそう、引っ張り合うおもちゃで犬を遊ばせ、興奮した犬が唸りながら必死におもちゃに食いついてくる犬は所有性攻撃行動とは診断しませんよ!どんなに唸っていても、これは、攻撃ではなく遊びだからです。私はわが家の犬たちと良くこのようにして遊びますし、彼らは私のほうが強いことはお見透しですから、負けてやったりもします。大きい犬が小さい犬と遊ぶとき、小さくなってお腹を見せたり、上に乗らせてやったり、咬みつかれてやったりしますよね?あれと同じです。もちろん「離せ」と言うコマンドをかけて咥えているものを離させ、もう一度それを投げて持ってこさせて引っ張り合いを再開したりもします。私も犬たちもだーいすきな遊びです。 

 飼い主さんに対する攻撃行動はたくさんあるので、まだまだ続きます(笑)。

獣医師・南佳子さんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります