ブラック・スワン | ヤンジージャンプ・フェスティバル

ヤンジージャンプ・フェスティバル

基本はシュミ日記です。
…遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん…
  

僕が住んでいる関東地方。
今年は早くも梅雨入り宣言。

普通、梅雨入りの直後って
「あれー、梅雨入りしたっていうのに、全然雨降らないねー」
なんてことが多い気がするんだけれど、今年の梅雨はずいぶん仕事熱心なヤツらしく、序盤からかなりのペースで仕事をバリバリこなしている様子・・・・。

そんなわけで・・・・・・・・・

せっかくの週末が台無しじゃい!

・・・・ってんで、今日は朝からひたすらダラダラジメジメモード・・・・。

ダラダラと洗濯機を回し、PCの前に座ってジメジメと調べものをしたり・・・。
でも、すぐに飽きてしまって、何となく人様のツイートなどをジトジトっと眺めたり・・・。


まあ、そんな風に過ごしているうちに、ダラダラジメジメジトジトにも飽きた僕、

こんなにダラダラジメジメジトジトしてたら、マタンゴになっちゃうよ!
書を捨てよ! PCを捨てよ! 町へ出よう!


・・・と、思いたった時には、既に夕方近く・・・・。


こんなマタンゴな一日を締めくくるのに相応しい遊びといえば・・・
もちろん映画鑑賞!
フィクションの世界に没入して、マタンゴだった自分とお別れだ!
・・・ってんで、隣町にある映画館へと足を運んだのでありました。


・・・・・・自分で書いておきながら
「マタンゴな一日」とか「マタンゴだった自分」とか、
サッパリ意味わかんねぇな・・・と思いつつ・・・。

まずはあらすじの紹介です

【あらすじ】
「レクイエム・フォー・ドリーム」「レスラー」のダーレン・アロノフスキー監督が、野心と嫉妬渦巻くバレエの世界を舞台に描く異色の心理スリラー。バレエに全てを捧げるヒロインが新プリマの座をめぐり、自分とは対照的で勝気な新人ダンサーをはじめ熾烈な競争を繰り広げる中、次第に精神的に追いつめられていく姿をスリリングに描き出す。主演は、その迫真の演技が絶賛され、みごと自身初となるアカデミー賞主演女優賞にも輝いたナタリー・ポートマン。共演にヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、ウィノナ・ライダー。
 ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するニナは、元ダンサーの母親の期待を一身に背負い、バレエに全てを捧げて厳しいレッスンに励む日々。そんな彼女に、バレエ人生最大のチャンスが訪れる。長年バレエ団の象徴的存在だったプリマ・バレリーナ、ベスの引退を受け、新作の『白鳥の湖』のプリマにニナが抜擢されたのだ。しかし、白鳥の湖では純真な白鳥役と同時に、奔放で邪悪な黒鳥役も演じなければならない。優等生タイプのニナにとって、魔性の黒鳥を踊れるかが大きな試練として立ちはだかる。対照的に、官能的にして大胆不敵な踊りで、芸術監督のルロイに理想的な黒鳥と言わしめた新人ダンサーのリリー。彼女の台頭によって、不安と焦りが極限まで高まってしまうニナだったが…。

(allcinema onlineより)


うーむ。
見ごたえのある作品でした。


おはなし自体は、主人公のバレリーナが、母親からの過剰な期待や束縛、ライバル達からの羨望と憎悪の眼差し、バレエ団の芸術監督から要求される実力以上の演技、観客からの期待、そして何よりも自分の内面との葛藤を乗り越えて、遂に完璧な演技を披露するに至る・・・といった内容。
『ガラスの仮面』や『エースをねらえ!』のような、青春スポーツ根性モノ少女マンガを思わせるような、ありふれたストーリー展開。

では、この作品は「今まで何度も観たことがある」ような、ありふれた作品なのか・・・というと、さにあらず!
「今まで一度も観たことがない」ような、新鮮な作品!

そういえば、この監督さんの前作『レスラー』。
今まで何度も観たことがあるようなストーリのくせに、ものすごーく新しい感動を覚える作品でした。
この作風は、この監督さんの得意技なんでしょうね、おそらく。

特に今作の一番のポイントだったなぁ・・・と思ったのは、大舞台へのプレッシャーやら、不安やらを表現した独特の演出!

やたらとホラー映画風なバイオレンスな演出であったり、ポルノ映画風なエロティックな演出で
「いやいや、それはさすがに大袈裟すぎるだろw」
とは思いつつ、何だか妙に納得。


特に終盤の『白鳥の湖』の本番前日~終演までのシーンの、何とも凄まじいことか・・・。
あんまりにショッキングでスリリングな映像が続くものだから、恐怖のあまり思わずブルブル・・・。
しかしながら、本番の舞台がすすみ、自らの内面に潜む全てのネガティブな感情から解放されていく主人公ニナさんの姿を観ているうちに、今度は感動のあまり全身がブルブル・・・。

バレエはやったことがありませんし、主人公ほどの大舞台を経験したことはありませんが(まあ、本当は舞台に大きいも小さいもないんだけどな)、僕だってステージで何かを演じる人間の端くれ。
程度の差こそあれ、彼女の感じるようなプレッシャーに襲われることもありますし、自分なりの完璧な表現をしたい・・・と渇望することだってあるわけで・・・・。

そんなわけですから、舞台を演じ終えたニナさんの
「It was perfect!」
というセリフには、心の中でスタンディング・オベイション。
そして、完璧な演技と引き換えに彼女が得たものの重さには胸がつぶれるような思いをしたのでした。



全体的にショッキングな演出や、セクシャルな演出が満載で、恐らくデート向きではないですし、キライな方はとことん嫌悪感を抱くであろう作品ではありますが、そこをクリアさえできれば相当楽しめるはずのこの作品。

ぜひとも多くの人に観てもらいたい、素晴らしい作品でした。