本日4話目です。
何とか新日本プロレスに入門することができたのですが・・・
新日本プロレスといったら入門できても
デビューするまでの下積みが業界一厳しいことで有名なんです
夜逃げする者あり・・・
病院に運ばれ帰って来なかったものあり・・・
脱落者続出!?
入門できても1人残ればよい方といわれるくらい
厳しい新日本プロレスで安沢はどんな生活を送り
生き残りデビューまでこぎつけたのか?
今回は新日本プロレスでの生活の全貌をお届けいたします!!
新日本プロレス寮、入寮。新弟子たちの地獄の日々の始まり・・・
裸一貫、背水の陣で挑んだ世田谷は野毛の新日本プロレス合宿所に入寮!!
新弟子が入寮する寮と道場は併設されていて先輩レスラーなど
テレビで見ていたレスラ―達が沢山出入りしています。
玄関を入ってまずびっくりするのが靴のデカさ!
40㎝超えの靴がところせましと乱雑に脱いであります。
そして巨人たちがひしめき合っています・・・
とんでもないところに来たなという感じでした。
そして、新弟子にとって最も苦痛になるのが・・・
プロデビューするまで外出禁止!!
3話でもお話ししましたが、どのくらいでデビューできるかは
その人によります。
バックボーンがある人は数か月でデビューなんてこともあります。
私の場合、体も小さく大きなバックボーンのなかったので
デビューまでに1年はかかっています。
その間はもちろん外出禁止・・・
苦痛以外のなにものでもなかったですね(笑)
元アントニオ猪木邸の合宿所兼道場での生活をご紹介
お待たせいたしました!
新日本プロレスの新弟子の生活の実態をご紹介いたします!!
ファンにはたまらない話かもしれません(笑)
では、早速ある一日をご紹介させていただきます。
※出典:Googleマップ
写真は左が道場、右が寮になっていますが数年前に建て替えてかなりきれいになってますね。
8時半 起床、掃除
10時~13時 練習
※ちゃんこ番は練習には出ず食事、お風呂を沸かしたり
練習後のレスラーを迎える準備をします。
入門まで飲食店でアルバイトが多かったので料理が得意だったこともあり
「野毛のケンカ番長」なんてあだ名をつけられていましたね(笑)
13時~ 先輩達の食事が終わったら最後に食事
15時以降 先輩の洗濯など雑務
夕方以降 2度目のトレーニング(2時間くらい)
※先輩レスラーとのスパーリングだったり、ウエイトトレーニングだったりをみっちりやります
20時 各々食事
23時 ようやく解放・・・自分の部屋に戻れます
寮は2階建てになっていて2階が新弟子たちの寝る部屋になっています。
1階は食堂やお風呂があり、先輩レスラーも利用します。
新弟子は朝起きてから自分の部屋に行けるのは23時を過ぎてからなのです。
それまでは下で先輩の世話などを行います。
何もなくても直立です・・・
これが地味にきつい・・・
体力的にきついもありますが
〇クザのような厳しい世界ですから
その空間の緊張感がキツイ(苦笑)
普通のサラリーマンで言ったら勤務時間が9時半から23時。
そんな空気の中、それを延々と続けるわけです。
いつデビューできるかわからない中
外に出ることもできずデビューするまでです。
それに耐えられたものだけがデビューし
華やかなリング上に立つことができるのです。
私が入門したときはテストを受けた人数が100名近くで合格したのが4名。
うち二人は入門後まもなく辞めています。
一人が夜逃げ・・・
一人は厳しい練習中に倒れ救急車で運ばれそのまま帰ってこず・・・
残ったのは私と現在も活躍中の後藤洋洋央紀選手です。
正に地獄の日々の始まりです・・・・
新弟子たちのデビューまでの閉ざされた新日本プロレス道場での古典的トレーニング
地獄の日々が始まったわけですが
どんなトレーニングをしていたかというと
「ザ・古典的トレーニング」
でした。
うさぎ跳びに腕立て伏せといった感じです。
基本的に新弟子のトレーニングはとにかくキツい!!
徹底的にしごかれるのです。
私が新弟子時代の若手のコーチは「木戸修」さんで
まさに「ザ・古典的トレーニング」といった方でした。
※木戸さんといえばプロレスの神様と言われている
「カール・ゴッチ」のアメリカの「カール・ゴッチ道場」
の門を叩き、ゴッチから直接レスリング技術を学び
ゴッチに「ムスコ」「私の領域に一番近づいた男」
とまで言わせた人物であります。
「カール・ゴッチ」といえばマシントレーニングによる
「見せる筋肉づくり」を嫌い、古典的なトレーニングを重視する方でした。
【ある日のトレーニングメニュー1】
≫午前
・5キロのダンベルを持ってヒンズースクワット1000回
・5キロのダンベルを持ってジャンピングスクワット50回×5セット
・レスラー式プッシュアップ50回×5セット
・ノーマルプッシュアップ50回×5セット
・リングから上半身を出した背筋50回×3セット
・トランプ・・・トランプを一枚ずつめくっていきでた数を
スクワットや腕立て伏せをトランプがなくなるまで行う。
・ロープのぼり 3往復×3セット
・コシティ
・タイヤ押し
・ブリッジ5分×3セット
・ブリッジワーク
・ロープワーク
・息上げ10本
・受け身
・スパーリング
≫午後
・ウエイトトレーニングの自主トレ60分
・レスリングなどの技術練習
【ある日のトレーニングメニュー2】
≫午前
・近所の長くて急な階段ダッシュ10往復
・近所のかなり急な坂道を坂道ダッシュ10本
・多摩川に移動して土手でジャンピングスクワット50回からの50メートルダッシュなど色々なバリエーションからのダッシュ20本
・60分のランニング
・スクワット1000回
・縄跳び5分5セット
・アヒル歩き
・先輩についてウエイトトレーニング 約30分
・ブリッジワーク
・受け身
・スパーリング
≫午後
・ウエイトトレーニングの自主トレ60分
・スパーリング
真夏になると道場は閉めきり40度までに上がります。
その中で水は一切飲んではいけないという
メチャクチャ体に悪いしきたり 笑
現代では考えられないトレーニングといったところですね。
脱水症状で倒れても当然のような気もしますが
ギリギリのところで、師匠アニマル浜口さん譲りの気合い頑張っていました。
さらに、トレーニング中は
座ることも許されず
中腰で膝に手をつくことすら許されず
腰に手をあてることすら許されない
今考えるとよくやっていたなと思ってしまいます。(苦笑)
肉体面はもちろん精神的に相当鍛えらます。
それが毎日続くんです。
23時にようやく解放され自由の身に!!
翌日の朝9時半までが唯一の至福の時です。
しかし!!寝たらすぐに朝が来てしまいます・・・
また厳しい練習が始まるわけですから
寝るのが惜しくて惜しくて・・・
疲れているのになかなか寝れないのです・・・
寝付けないわけではありません(笑)
小さい子供が眠いのを我慢しながら
起きて遊んでいるのと同じ感じでしょうか(笑)
プロレス古典的トレーニング種目のご紹介
当時のトレーニングメニューを分析すると、正に基礎トレ!!
精神修行!!
といったところですね。
・「ヒンズースクワット」
レスラートレーニングの代名詞ともいえる「スクワット」
詳しく言うとレスラーが行うスクワットは「ヒンズースクワット」
と言って大きく腕を振り、反動をつけて、スピーディに行います。
しゃがんだ時にはかかとも浮かせ、つま先一点立ちになるので
バランスも必要であり膝もかなり前に出るので通常のスクワットとは大きく違います。
最高回数は3000回!!
3時間かかりました。苦笑
・「ジャンピング・スクワット」
これもまたレスラートレーニングの代名詞です。
その場でジャンプしてスクワットでなく前後にジャンプ
しながらの独特なスクワットです。
ヒンズースクワットと同様で着地の時にかかとを
つかないのでバランス力も養われます。
専門的に言うと「プライオメトリクストレーニング」です。
筋収縮速度をアップさせるための、エクササイズです。
プロレスラーには100キロくらいある大きくて重い体を
俊敏に動かす必要があります。
単に外見だけの大きい筋肉ではなく
瞬発力、スピード、動作バランスなども必要なわけです。
そのためのエクササイズとなっていたのがジャンピング・スクワットだったと考えていいでしょう。
つまり、「使える筋肉」を作り上げることができるのです。
※スクワット系の運動ではダンベルを両手に持ってやることも多かったです。
ほぼ自重トレーニングにもかかわらず、太ももは階段の上り下りが
しんどいくらいの激しい筋肉痛が毎日。
そして、筋肉痛があろうとも毎日スクワットを行います。
結果、当時の脚の太さは半端なかったですね。
トレーニングの原理原則をぶち壊していましたね(苦笑)
低重量、高回数、回復期間なし
で筋肥大が半端なかったです。
「レスラー・プッシュアップ」レスラートレーニングの代名詞真
これはダイナミックストレッチといっていいですよね。
ウォーミングアップに適しています。
試合前など会場で行っている選手も多いですから
理に適っているといっていっていいですよね。
・「コシティ」
※出典:中西さんTwitter
プロレスの神様といわれるカール・ゴッチから
アントニオ猪木さんに伝えられ
新日本プロレスの道場での伝統的なトレーニングの一つとなっています。
わかりやすく言うと重さ10キロのこん棒を両手に2本持ち
そのまま肩の上まで担ぎ上げて前後左右にグイグイと色々な動きで振り回します。
分かりやすくないですよね・・・笑
これがまた大変でベンチプレスを余裕で100キロ上げれる人でも
なかなかこれはできないんです。
効果としては
肩関節の柔軟性アップ
可動域アップ
握力強化
体幹筋群を使いながらの上半身のコントロール
となかなか理にかなったエクササイズのように感じます。
タイヤ押し
スープレックス系の技を行う際、綺麗なブリッジは必要不可欠です。
胸郭の柔軟性獲得のためのストレッチになっていました。
私の得意技の一つもブリッジを効かせた
ジャーマンスープレックスでした。
ロープのぼり
※出典:Tarzan
これはレスリングや柔道のトレー―ニングでも古典的に行われているトレーニングですよね。
競技の特性上、相手と組むのでつかんだら離さない握力、ひきつける力が重要になってくるのでその力を養うのにはもってこいのトレーニングです。
レスラ―にいたってはかなりの100キロくらい体重があるので
腕の力だけで上るのは容易ではないのでかなりの高強度なエクササイズです。
トランプ
トランプを一枚ずつめくっていきでた数をスクワットや腕立て伏せを
トランプがなくなるまで行うわけですが、いかにも昭和といった伝統的なトレーニングです。
スタミナアップと精神修行でしょう。
真夏には40度を超える道場でこれを永遠に行うのですから精神修行という他ありません(笑)
ロープ引き
写真では手をつかんで引き合っていますが、ロープを引き合ったりもします。ロープのぼり同様引き付ける筋力の強化ですね。
息上げ
約1分間を指示通りに全力で動き続けます。
例えば腕立てと言われたら高速で動きを繰り返し
腹筋と言われたら高速で動きを繰り返していきます。
心拍数がかなり上がるので心肺機能の向上に高い効果があります。
プロレスは試合時間が長く相手と組んでいることも多く
力が入った状態が長時間続くためこのトレーニングで心肺機能を
強くしておくことが必須です。
すぐにスタミナ切れを起こしてしまい動けなくなってしまいますからね。
HIITってやつですね。
恐怖の!?「ブリッジワーク、受け身、スパーリング」
この辺はレスリングに必要な体の動きを習得するためのエクササイズです。
とにかくきついの一言(笑)
ブリッジにしても全身を使います。
5分間という時間が長い長い・・・
さらに人をお腹に乗せながら
ブリッジしながらベンチプレス
と訳が分かりません・・・笑
後半にやるこのブリッジ本当にキツかったな~笑
受け身にしても基礎トレが終わった後半行いますから
体はフラフラでうまく取れなかったり・・・
うまく取れないということは痛いですね(笑)
うまく取れるまで終わらないので想像以上にキツいの一言・・・
スパーリングにしても体の使い方や相手の体のコントロールの仕方を学んでいきますが
相手がレスリング・柔道で全日本選手権で優勝していたり
オリンピック強化選手だったりの100キロ以上ある先輩レスラーです。
スポーツバックボーンが全くなかった雑草の私なんて
全く歯が立たないわけです。
さらに疲れ切った中でのスパーリングですから
ぼろ雑巾のように扱われ酷いものでした。
恐怖のイジメ技!?「ラッパ」
業界用語で「ラッパ」というものがあります。
スパーリング中こんな状況だと疲れて動けなくなってしまいます。
すると先輩レスラーは100キロの巨体で私の顔面に覆いかぶさってくるんです。
息ができなくて窒息状態になるので暴れるわけです。
窒息しそうになると少し体をずらして逃げさせ空気を入れさせる。
その時の空気の入る音がラッパの音に似ているから「ラッパ」
といわれるようになったらしいです。
これを延々と繰り返して強制的に動かされ続けるわけです。
まさに地獄・・・
まあ「イジメ技」ってやつですね(笑)
今思えば、そう言った事を乗り切ったからこそ
精神的力が養われたんだと思います。
レスラーには強靭な精神力が必要ですからね!!
レスラーを目指している人に耳寄りな情報!?
こんな感じで新弟子時代は自重トレーニングがメインになってきます。
ということは入門当時は体重が軽い方が有利なんです!!
頑張って体をデカくして入門するとこの基礎トレでやられてしまいます。
細身だった私にはよかったんですね(笑)
というお役立ち情報!?が出たところで
結構な長文になりましたが
本日はここまで!!
次回もお楽しみに~