<クローンマウス>凍結保存の死滅細胞で…世界初の生命復活
死後16年間凍結保存されていたマウスの細胞からクローンマウスを作ることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の若山照彦チームリーダー(発生生物学)らが成功した。長期間の凍結で完全に死滅した個体の細胞から生命を「復活」させた世界初の成果。研究チームはさらに、凍結によって完全に乾燥した細胞でも同種の実験に成功しており、マンモスなどの絶滅動物を復活できる可能性が出てくる。
クローンって?
クローンとは、「遺伝的に同一な個体や細胞の集まり」の意味で、体細胞クローンは無性生殖により発生します。無性生殖では同じ遺伝子が受け継がれるため、有性生殖の場合のように多様性はなく、同じ親から産生された個体同士はすべて同じ遺伝子を持つクローンとなります。
1 9 9 6年7月にイギリスでクローン羊の「ドリー」が誕生しまし た。新聞や雑誌などに大きく取り上げられことは、記憶に新しいことです。 その後「ドリー」は妊娠し、1 9 9 8年4月に子羊「ボニー」を出産しました。これによって、クローン羊も他の羊と同様に生殖能力を持つことが証明されました。 1 9 9 8年7月には、日本で2頭のクローン 牛が誕生し、注目を集めました。
ドリーのその後について、
ドリーは、生まれつき老化しているという研究が発表されました。遺伝情報の元が6歳のヒツジであったことから、ドリーは誕生した時に遺伝子が既に6歳であったと推測されました。 この徴候は2002年1月、ドリーが5歳の時に報告されました。異常な若さで関節炎を発症し衰弱していったのです。これは生まれつきの老化というところから説明がつきます。 明確な結論が出されたのか?ドリーの関節炎はクローンのせいか、そうでないのか。ドリーはゲートを飛び越えた時に足を怪我し、関節炎がひどくなったともされています。 このことから、この形式のクローンは哺乳類に適していないのではないかと心配され、現状ではヒトのクローンを作る実験はまだ、未熟で倫理的でないということが専門家のみならず、統一した見解になっています。
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しかし、子供を常に両性の関わりの中で誕生させてきた人類の歴 史において、両性の関わりなしに子供を誕生させることは、生殖における両性 の存在意義、人間の尊厳、家族観への影響等の生命倫理上の問題を提起するこ とになると考えられています。
このため、クローン技術の人への適用は、医学 や生物学の側面からだけでなく、倫理・哲学・宗教・文化・法律等の人文社会 的な側面からも十分に検討する必要があるのです。
クローンマウス
こういった状況下での16年前に死滅したマウスの凍結保存細胞からの生命の復活。クローン技術もこれまでとは異なったものです。
シベリアの永久凍土に埋もれているマンモスの死滅細胞から、マンモスの生命の復活が果たしてあるのか?
期待も大きいですが、それ以上に不安も大きいです。