子どもの頃。

ボクらの鉛筆の多くに、トンボの絵が描かれていた。

覚えてる?

トンボのマーク。

鉛筆はトンボ鉛筆。それは、かなりなスタンダードだった。




株式会社トンボ鉛筆。

調べてみると、鉛筆だけでなく。文房具界に於いてトップランナー的役割を果たしている。

やたら消え心地のよい「MONO消しゴム」。

国内初のスティックタイプのり「Pit」。

消しくずがまとまる消しゴム「NON DUST」。

修正テープMONO。

そこには日本人ならおなじみの文房具がズラリと並ぶ。

ところで・・・。

そんなトンボ王国全盛期の子ども時代のある日、ボクらアホな男子周辺に激震が走る事件が起こった。

それは、ボクの通う小学校向かえのお店「ミッキー」さんで販売が開始されたコーリン鉛筆によるものだった。

ボクの記憶が正しければこのコーリン鉛筆。

トンボ鉛筆よりちょっと高かった。

値段が高い=高級品!!

子ども心は見事にくすぐられ、ミッキーさんはコーリン鉛筆購入目当ての客でごった返した。

もちろんボクも母にお願いして、コーリン鉛筆を一本買ってもらった。

「一生のお願いです。おうちに帰ったらすぐに宿題をして、お勉強ができるGINに生まれ変わりますから、コーリン鉛筆を一本買ってください」。

両手を合わせ合唱礼拝を続けるボクに。

母は、仕方ないねぇと言いながら、コーリン鉛筆一本を買い与えた。

嬉しかった。嬉しくて、地球が割れるかと思った。

地球が割れて、そこにコーリン鉛筆が落っこちて拾いに行けなくなる事が心配になるくらい、嬉しかった。

でも・・・。

コーリン鉛筆。

使えなかった。もったいなさすぎたから。

だからせっかく買ってもらったコーリン鉛筆は一本。

いつまでもいつまでも背の高いまま、恭しくもボクの筆箱内にずっとずっと保管され続けた。