大学1年生の夏。

軽音楽部の女の子に、ホオズキ市に一緒に行こうって誘われた。

もちろん、二人っきりじゃなくて。

1年生みんなで、浅草に行こうというお話。

ボクはのった。


若林で見た空


東京に来たばかりの頃は、ビルが立ち並んでいるのが東京だって思ってた。

でも暫く住み続けるとそこは、古い伝統や文化が残っている街なのだと気づいた。

「いいね。風情がある。」

大学生らしからぬ感想。そして、ボクらはホオズキ市に出かけた。

浅草ほおずき市。

浴衣を着てきた女の子がいた。

いつもと違う雰囲気の彼女に、なんだか男子全員がドキっとした。

夏の思い出は、ホオズキとアサガオ。

天まで伸びるヒマワリと、夜空に舞う花火。

それは、どれもこれもが、心にググっと染み込んだステキな思い出だ。


初夏。

家の前の緑地帯に、紫陽花が咲いた。

日本古来の紫陽花。花が真ん中に、そしてガクが外側に綺麗に並ぶ紫陽花。

「いいね。風情がある。」

今度はオジサンらしい感想。そして、ボクはその花をアイフォンで接写した。