リムスキー=コルサコフ「見えざる町キーテジと聖女フェヴローニャの物語」DVD | サーシャのひとり言

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音楽や絵画など日々見たり聴いたりしたことの備忘録的ブログです。

今日はリムスキー=コルサコフのオペラです。

”「ロシアのパルジファル」と称される名作”との宣伝に引き寄せられて購入したDVDでしたが、「本当に素晴らしいオペラに出会えた!」というのが第一の感想です。

パルジファルも大好きですが、全く雰囲気は違うと思います。

良く考えると非常に悲しい物語なのに、あまりの清らかさに第4幕は目頭が熱くなりぱなしでした…


リムスキー=コルサコフ

「見えざる町キーテジと聖女フェヴローニャの物語」

マルク・アルブレヒト  指揮

オランダ・フィルハーモニー管弦楽団

ネーデルラント・オペラ合唱団

ディミトリ・チェル二アコフ  演出

フェヴローニャ       スヴェトラ-ナ・イグナトヴィチ

王子フセヴォロド     マクシム・アクセノフ

ユーリ公          ウラディーミル・ヴァネーエフ

グリーシカ・クテリマ   ジョン・ダスザック

2012年収録


特に主役のイグナトヴィチが歌唱、演技とも素晴らしいです。

彼女が演じるのは、手の届かない天上の清らかさではなく、身近な、すぐ慌ててわたわたしてしまうような可愛いところがある、でも心の中は本当に澄んだ優しさに満ちていて、しかも美しいフェヴローニャ。

明るく柔らかい声質もイメージ的にもぴったりでした。

そんな誰もが憧れてしまいそうなフェヴローニャと相思相愛になる王子役のアクセノフも若々しい声とルックスで、お似合いの二人でした。チューリップ紫


あらすじ

第1幕 森の中

フェヴローニャは森の奥深くに兄と二人で住んでいる美しい少女。動物とも心を通わせることが出来る不思議な一面も持っています。

そんなある日、狩りの途中で怪我をした青年が森に迷いこんできます。優しく介抱するフェヴローニャ。

最初はやや影を帯びて厭世的な考えの青年でしたが、フェヴローニャの信仰に満ちた優しい心に接し彼女に想いを寄せるように…。

フェヴローニャも彼に惹かれ、青年の求婚を受け入れます。

その青年こそユーリ公の息子、王子フセヴォロドだったのです。


第2幕 小キーテジ

町の人々は近づきつつある脅威から目を背けるように享楽的に過ごしています。

その中心になっているのは酔っ払いのグリーシカ。ふざけた態度で酒場の人々の関心を買っています。

そこへ、婚礼のために王子のいる大キーテジへ向かうフェヴローニャや家来フョードルの一行が到着。

グリーシカは今までは自分たちと同じ立場だったのにと羨みフェヴローニャに難癖をつけますが、誰に対しても分け隔てない彼女の素直な態度は変わることはありません。


そんな中、町はタタール人の軍隊に急襲されます。逃げ惑う人々は皆殺しにされ、フェヴローニャは捕虜に、そして拷問に負けたグリーシカは大キーテジへの道案内をさせられることになります。フェヴローニャは神に大キーテジの守護を祈るのでした。


第3幕 大キーテジ

目を潰されたフョードルと小姓が逃げ帰り、ユーリ公、王子フセヴォロド、大キーテジに住む人々はタタール人が迫りつつあることを知り、緊張感が高まります。

しかし、人々が神に祈ると町に奇跡が…。町はみるみる間に不思議な霧に覆われ外からは見えなくなってしまったのです。

そして女性や子供を残し、フセヴォロド王子たち男性はタタール軍を打つために出陣します。


やがてタタール軍が襲来しますが、彼らには町が見えません。(舞台後方では大キーテジの女性や子供が眠っています)

愛する王子の服を見つけ胸に押し付けるフェヴローニャ。そして、彼の戦死を告げられます。大キーテジの軍勢はタタール軍に敗北したのです。

夜、タタール人達が寝静まったのを機に、グリーシカは彼女に逃亡を持ちかけ二人は森に逃げ込みます。一方、湖から聞こえる不思議な鐘の音や湖面に映った逆さの塔などに恐怖を感じたタタール軍は逃げ帰りました。


第4幕 森の中

逃げ出したグリーシカとフェヴローニャですが、疲れ果て動けなくなった彼女を置いてグリーシカは森の中へ。一人うずくまるフェヴローニャのもとに、天国の鳥アルコノストが現れ彼女に死を告げます。

そこへフセヴォロド王子が現れ、再会を喜ぶ二人。

そして気が付くとそこは天国で、ユーリ公やフョードルをはじめとしたキーテジの人々に迎えられ、人々の笑顔の中、王子とフェヴローニャの婚礼が行われます。


最後の場面では、微笑みながら暗い森の中で一人息絶えるフェヴローニャが映し出されて幕が閉じられます。


王子とフェヴローニャの悲恋はもちろん、神への祈りによって霧に隠れてしまうキーテジの町の儚げな存在感が、リムスキー=コルサコフの音楽と相まって実に胸を打ちます。チューリップオレンジ

第4幕では天国で再会を果たすのですから、結果的には大キーテジの人々は亡くなったのでしょう。

それとも、天国での再会はフェヴローニャの夢だったのでしょうか。


「見えざる町キーテジ」についてはロシアの伝承が残っており、舞台となった湖では過去にいろいろな検証もされたようです。(今その本を読んでいる途中です)


何度も味わっていきたい素晴らしいオペラでした。