打ち上げは三宅島に新設された打ち上げ及びコントロールセンターから行われる。それまでの種子島の宇宙開発事業団の施設はサブセンターとして残存している。三宅島は噴火離島してから数年後島民が帰島したが、漁業や観光ではあまりにも国家予算が付かないため、復興するネタ作りとして軍事宇宙開発省のメイン施設を建設したのである。もっと重要な狙いは、この軍事宇宙開発省の「軍事」という性質上、火山性有毒ガスがコストを掛けずに自然発生する「天然の要塞」的な発想から、テロリストの侵入回避など、少しでも外敵から防護することであった。働く者の健康被害や生命の危険性は、議論はされたが、当時の風習らしく少数意見として黙殺された。復興するなら新潟を!という要望も出ていたが、マキコvsシンタロウでは歯が立たなかったらしい。

センター建設やシャトルシステム開発には、NASAもアドバイザーとして参加し、シルバー人材提供協力をした。まあ、それは形だけで、あれだけ打ち上げ失敗や降下中爆発の実績のあるNASA出身者の言うことなんか相手にしなかった。月面着陸だってさえ「でっちあげ」だと民放TVでネタにされていたほどだったから。

とにかくなんとか無事に計画は進み、センターもシャトルも完成して、2015年10月22日未明、いよいよ打ち上げに至ったのである。(「未明」という言葉はNHKラジオで解説していたから、意味や使い方を正確に知りたい人はNHKにお問い合わせください。)     

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勿論、乗組員は全て日本人だ。船長は、軍事宇宙開発大学名誉客員教授の「高橋」42歳男性。副船長兼科学主任はその助手の「近藤」33歳女性。機関士及び操舵士は特務修習訓練卒業の四天王と言われた若い元気のある26歳の4人「石野」「田中」「南川」「池田」だ。池田は女性。「トップガン」のパクリ的な起用ではあるが、優秀なんだから仕方ない。最後に天体物理化学の論文博士の30歳「北条」男性だ。まあこの7人の素性は次第に明らかになってくるからここでは省略。

推進ロケットは新開発の純国産製である。あの打ち上げ失敗墜落の多かったH2Aを全面的に全く参考にしなかった点で素晴らしいロケットエンジンが出来上がったらしい。固体燃料も自国開発品で純度も量も最高の出来栄えらしい。あえて「らしい」と言うのはまだこの時点で打ち上げ帰還成功したかは、判らないから。結果がOKじゃないとねえ。


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究極のタイムスリップ1
第1話

西暦2015年秋。長年の談合入札の結果、ついに軍事宇宙開発省の完全日本版のスペースシャトルが完成した。総称は「H2GTR-RW」。第一号の名称は、公募で「ヤマト」となった。審査員にアニメの宇宙戦艦ヤマト世代の人間が多かったからだと憶測された。(まあそんなことはどうでもいいが・・)

乗り組み定員は7人。第1号「ヤマト」は、船長、副船長兼科学主任1人、機関士2人、操舵士2人、天体物理化学者1人の構成だった。打ち上げ予定は10月22日。目的は、取り敢えず地球を周回して無事に戻ってくること。有人飛行については中国に先を越された上に、反日デモで国旗を焼かれて、当時の政府が「みていろおまえら!」って気になって、ようやく宇宙開発税という目的税を導入して、それまでの事業団を数階級特進させて省にまで格上げして、官民総力を挙げて開発した。だから、宇宙と言われる領域に、日本人乗組員が日本人のお金で日本人のために、無事に行って帰ってくることだけでもすんごいことであった。

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