科学者に作られた化け物。
フランケンシュタインというのは作った人の名前だけど、それが化け物の名前として定着している。
翻訳特有の文章で、イギリスの風景の描写などが延々と続き、退屈で何度も途中で投げ出そうと思いました。
それが化け物の独白が始まると、急に文章が生き生きして、もう読むのが止められない。
見た目は酷いけれど優しい心を持っている化け物。
結局化け物はその醜さゆえに、人間にわかってもらえることはないのだけど、自分の妄想の中で「美女と野獣」のようなハッピーエンドのお話を作ってしまうほど、化け物の心の美しさに胸を打たれました。
救いようのない結末。
どうしてこんな悲しい話を作ったのだろう。
近頃言われているルッキズムは、人間の本能で数百年前にも当たり前にある概念、ということも考えさせられる。
途中で投げ出さないで読んで良かった。
いつまでも心に残る名作に出合えました。
☆☆☆☆
「フランケンシュタイン」
メアリー・シェリー 著/芦沢 恵 訳
新潮文庫
1816