日本の様式美について文豪 谷崎潤一郎が綴った随筆。
ずっと憧れていた本です。
でも、読みにくいんだろう、と敬遠していました。
谷崎潤一郎の文章に日本の薄暗い和の世界を切り取った写真が加わったフォトブックのような「陰翳礼讃」が出版されていると知り、勇気を出して読んでみました。
大川氏の写真が素晴らしい。
臨場感があり、でも品がある写真たち。
その合間を谷崎のエッセイが埋めていくという構成です。
憧れていた谷崎の文章だけれど、日本の美を愛でるために西洋文化を非難しているので、いつもの頑固な谷崎潤一郎そのもので、気取ったところはありません。
思ったよりすらすら読めたし「陰翳礼讃」への憧れもあっさり消えました。
和様式は唯一無二のもの。アジアとひとまとめにできない個性がある。
日本文化の素晴らしさを改めて感じました。
***
ほの暗さの向こうに、美しい世界が見えてくる。
暗がりに潜む美を写し撮ったのは「気配を撮る名匠」と評される大川裕弘。
『陰翳礼讃』の世界がより深く理解できるビジュアルブック。
☆☆☆☆
「陰翳礼讃」
谷崎 潤一郎 著/大川 裕弘 写真
パイインターナショナル
20180111
初出193312