春休みも終わり、みんなは5年生になりました。この春の離任式で2組の担任だった石村豊先生が転勤されました。石村先生は昭和48年から7年間光井小学校にいらっしゃいました。そして今年も何人か新しい先生が入ってきて何と何と新任の先生が二人もはいってこられました。橋本いづみ先生、そして5年3組の担任となる山本裕一先生です。そしてみんなはクラス替え、今度はどんな人と同じクラスになるのだろうとみんな不安気味、そして名簿表に張り出されたものをみて、新しい教室に入りました。
 5年3組、担任は新任の山本裕一先生。とてもやさしい先生です。幸子はもともと怖がりではあるのですが3、4年は4組と12年に引き続き厳しい先生だったのです。そして今年は新任だからやさしい。それでこんな先生で大丈夫かと不安なのですが、とても嬉しい幸子です。5年3組はとっても楽しそう。
 5月には光祭りがあります。今日は運動場で鼓笛の練習をしています。
(あー、私うまくできないのに選ばれなかった人の前でたたくの何か悪いなあ。)
冨久美はそんなことを考えながら小太鼓を叩いています。
 ある日のこと、4組の教室で算数の授業をしています。担任は栗原一栄先生。20代半ばから後半くらいの穏やかそうなでもしっかりした先生。今先生のお腹の中には赤ちゃんがいます。年齢的にも初めてのお子さんでしょう。子供がいることについては先生がはじめに自分でいったからみんな知っています。
 「ではみなさん、次のページの練習問題をやってみましょう。」
先生に言われ、みんな教科書をめくり、練習問題をやりはじめました。何か、一人机の上に寝そべっている人がいます。
 「深見君、今は寝る時間じゃありませんよ。」
康則は先生に注意され、おきあがってフワーっとあくびをしました。
 「何か!今の態度は!」
先生は怒って、康則に近づきました。「あー、おもしんねえなー。」その言葉にとうとう先生は堪忍袋の緒がきれてしまいました。
 「毎日毎日ふざけてばかりで人のことバカにしちょるんか!」
5年生になっても相変わらず怒られることばかりしていた康則はとうとう先生にビンタをくらってしまいました。
 「ふざけるのもいい加減にしいよ。」
先生は前にもどりました。ビックリして目を見開き固まっている人もいるようです。
 「はい、みなさんは練習問題をつづけましょうね。」
 2組の好子は今年もまた珠算クラブに入りました。今年は1年2組の教室で八鍬秋子先生に教えていただいています。
 「先生、これちょっとややこしすぎますよ。」
 「がんばってやってみなさい。」
 一方の栄子は体育の授業などでやるからという理由でポート・バスケットクラブに入りました。同じクラスで入ったのは緑と明子。友達とは別のクラブに入ったので、同じクラスのこの2人と練習をしています。
 「ねえ、アッコ、ミニバス入ってみない?}
緑が言いました。緑と栄子はすでにミニバスに入っています。
 「えー、キビシーんじゃないの?」
 「大丈夫よ。山本先生やさしいから。それにアッコ足も速いし、ミニバス入ってみたら❔山本先生ももっとみんなに入ってほしいみたいだし。」
 「やろうよ、アコちゃん。みんなでやったら楽しいよ。」
栄子もいいました。
 「じゃ、お母さんに相談してみる。」
 数日後、明子はミニバスに入ることにきめました。そして初めての練習の日・・。
 「今日から新しい仲間が入ることになった。林明子さんだ。みんな仲良くするように。」
最初の日、山本先生がみんなにはなしました。そして山本先生は明子に基本から丁寧に優しくおしえてくださいました。
 (先生も優しくて入りやすくてよかったな。)
 ある日のこと、2組の教室で・・・。2組の担任は福本久子先生です。みんなからは「最悪」と嫌われています。太っていてギロっとした目でにらみつけてくることもあります。多分40代でしょう。睨んでくると。正直ビビる!数人の男子が授業を真面目にきいていません。
 「こら、あんたらー真面目に授業が聞けんのかね。」
先生は嫌味っぽく言い、後ろの方にいる男子をギロっとにらみつけました。
 「おい、福本がにらんできたぞ」
 「(ビビッて)マジこえーでよー。」
 「福本?今、先生を呼び捨てにしたね。全部聞こえちょるんじゃからね。あんたらおっても迷惑じゃから廊下出ちょき。」
 「こんなつまらん授業でてやろーぜー。」
真面目にきいてなかった数人の男子、みんな廊下にでました。
 「ばかはほっといて真面目にできる人だけ授業しましょうね。ほら、そこの女子、おしゃべりしない。あんたらーも廊下に出ちょくかね。」
真紀子が5年になって仲良くなった恵美子、好子とはなしているのです。三人は怒られておしゃべりをやめ、きちんと前をむきました。
  5月のある日、美智恵の親が下松に行く用事ができ、美智恵は4年の時のクラスメートであるいちくんとうめちゃん、香織と香織の妹で1年の千賀子をつれて4年の時の担任の家を訪ねました。
 「あら、いらっしゃい、やっぱり来てくれたんだね。」
先生はとても喜びました。そして先生の部屋に通されました。
 「今日はお父さんに連れてきてもらったの?」
 「はい。父さんがこの近くに用事があるっていってついでに連れてきてもらいました。」
美智恵が言いました。
 「あなたたちは確か3組だね。」
 「はい。ひろいち先生のクラスです。」
山本先生は他にもいるので、ひろいち先生とみんなから呼ばれています。
 「新卒の先生だね。元気で優しい先生だね。」
 「はい。でも私は浜田先生のほうが好きでしたよ。」
 「そんなこと山本先生の前でいったらダメよ。で、その子は?」
先生は千賀子の方を見て言いました。
 「私の妹です。小野さんちかとも遊んでくれるんです。1年ですよ。達子先生のクラスです。」
香織が言いました。
 「かわいらしい妹さんだねえ。」
 「え、そんなかわいくないですよ。」
 「かわいいじゃないの。ちかちゃんかな?」
 「うん。わたしちかちゃん。」
1年生の千賀子はやっぱり言い方も無邪気です。
 「何して遊ぶのー。」
 「ちか。そんなこと言ったら先生困るじゃん。」
 「いいよ、ここには遊ぶもの何にもないけど、ゆっくりしていってね。」
みんな先生とお話したり、香織が持ってきたトランプゲームをしたりして美智恵の父親が迎えにくるまで楽しく過ごしました。