晩夏に捧ぐ   大崎梢

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晩夏に捧ぐ (成風堂書店事件メモ(出張編)) (創元推理文庫)/大崎 梢
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これは書店ミステリーの第2弾ですが、こっちは1冊まるまるの長編になっています。書店員の杏子さんは元同僚の美保さんから手紙を受け取り、彼女が今働いている地方の老舗書店の幽霊騒動について相談される。

もともとが『本屋好き』な杏子さんは悩みの解決もさることながら、地方の老舗書店というのもかなり気になる。

美保さんは謎解き名人のバイトの多絵ちゃんを誘って夏休みにこっちに来て欲しいという。


限られた夏休みの間に謎がとけるのかの不安はあったが、多絵ちゃんに話すと乗り気で「行きましょう」と言ってくれる。そこから彼女たちのひと夏の大掛かりな謎解きの旅が始まる。


舞台は駅ビルの成風堂ではなく、長野の小さな町。

その限られた範囲の中で二十七年前に起こった凄惨な殺人事件。犯人は逮捕され、服役中に病死している。

ただ、今になり幽霊になって出てくるのは「犯人だった男」だといううわさが立つ。


当時の関係者一人ひとりに話をきき、すこしずつあいている空間にピースをはめ込んでいく作業を進めつつ、病死した犯人とされる小松秋郎という青年にせまっていく。

そのうちに秋郎という人物について疑問がわきあがり、もうひとつの過去の悲しい出来事がわかっていく。


多絵ちゃんが法学部の現役大学生であり、先輩達に調査を依頼しつつ、関係者の証言などを整理して解決に導いていくといる話もテンポ良く、いいのだけど、私が気になったのは優秀な大学の法学部にいて、そこまで本好きでもない多絵ちゃんがなぜ成風堂でバイトをしているのか・・・塾講師や家庭教師のほうがずっと待遇もいいだろう・・・そんな「謎」の一片もこの本では明らかになっていく。


なかなか読み応えがあり、一気に読める作品でした。