さて、ディスレクシア チュン君の6級海技士免許試験の話。
熊本県、宇城市の三角町(みすみちょう)という、
かなり田舎の小さな小さな港町。
チュン君が、約1ヶ月 通うことになる
海技学院がある場所です。
↓海技学院(かわいい〜)
歩いていける距離にコンビニもスーパーも何もない、
もの凄く のどかな場所。
宿入りした翌日から早速 講習開始だ。
私は、いくつかの事をチュン君に言い聞かせていた。
●まずは、試験には仮名打ちしたものが用意されてあるか聞く事。
これによって、今後の事は大きく変わるので。
(因みに、
車の免許を取る試験には、仮名打ちが用意されている)
●それから、ノートを取るのは難しいし、無駄なので
とにかく、先生がどこを読んでいるのかをしっかり聞いて、
マーカーでラインを引く事。
●黒板に書かれたものは 写真に撮る事
●とにかく聞くことに集中して理解する事。
(チュンは耳で聞いた情報を処理する能力が高い。
ただし、音韻意識が弱いので聞き間違いも多い…
)
チュンは、根っからの負けず嫌いだし、
ダメ元的な雰囲気はだしつつも、
決して完全に諦めている訳ではなかったので、
とにかく、無駄にならないようにして欲しかった。
そして、第一回目の講習が終わった夕方、
早速 チュン君からの電話。
「どうだった!?勉強、分かった?」
と聞くと、
「全然 わからん!
」
そっか〜
だよね…![]()
「なんかね〜、先生の説明がね〜意味不明。
その数字 どこから出てきたと![]()
みたいな計算式を書いたりね〜
ママ、わかる?」
わかんねーよ![]()
てか、多分、問題見ても分かんねーよ![]()
と、内心では思いつつ
「うーん、ママも考えてみるから
その問題を送ってみて。
」
と、言ってみる。
そして、肝心の仮名打ちの試験問題については、
あっさり 無いと言われたらしい。
早くも 小さな希望も無くなった…![]()
ま、まあ、とにかく今回は、しっかり学ぼう…![]()
と、早々、チュン君が送ってくれた問題を覗く。
「トランシットにより次の表の数値を得た。云々…」
「内海港導標を一線に見たとき、船の磁気コンパス 云々…」
トランシット?![]()
内海港導標?![]()
![]()
![]()
![]()
いや
いかん
いかん![]()
「とにかく、出来る限りのことはやってみよう!」
と、チュン君を励まして電話を切った手前、
寝ている場合ではないのだ![]()
そこで、パソコンで検索しまくり、
どうも、海図を見ながら解く問題であると言うことが判明…
しかし、逆に 落ち込むmiwaママ…![]()
海図って…![]()
海賊が映画の中で 宝を見つける!とか意気込んで
握りしめている あのボロボロの紙だよね…![]()
そんなもん、分かるかーい!![]()
と、放り投げたくなるが、
なんとか、気を取り直し、チュン君に連絡し、その旨を伝え、
海図の写真を送ってもらう![]()
そして、また、パソコンで、様々なサイトを検索し、
説明を読み、また、検索し…
な…なんとなく、分かったかも!![]()
しかし、これを どうやって、遠隔でチュンに説明するのだ…
いや、とにかく、出来る限り、図解で示すしかない。
なんてったて
「出来る限りのことはやろう!」って
励ましてしまったのだし…![]()
![]()
そこで、大急ぎで図解の作成に取り掛かる。
こんなのとか↓
こんなの↓(三角定規を使って船位を割り出したりする)
を作り、電話して説明。
その後も、『読めなかった問題に仮名打ちして!
』
とかで、大量の問題が送られてくる…![]()
そしてさらに、あれと、これと、あれも分からんかった!
と、格闘する相手が増えていく…![]()
そして、あっという間に夜はふけて…
「もう寝る!明日までに作っておいて
」
と、鬼上司のようなメッセージを残して消えるチュン君…![]()
そんな日が3日程続き、
チュン君お休みの日曜日には、
土曜の夜 徹夜で作った図解やら仮名打ち問題集やらを使って
2人で遠隔勉強会。
私の辿々しい説明に
分かってるのか、分かってないのか怪しい返事のチュン君。
いや、分かったとしても、船乗りのチュンでさえ、
普段聞き慣れない言葉と漢字のオンパレード。
「絶望的
」という文字しか浮かばないmiwaママ。
そして、講習四日目、初の模擬テスト。
本番の試験では、「航海」「法規」「運用」の三部門の試験がそれぞれあるのだけど、今回は、ダダーっと駆け足で学んだ「航海」の模擬試験。
そこで、
(まったく期待してなかった)チュンのテスト結果を見て
驚く私。![]()
「え?すごくない?
あと1〜2問合ってたら、
合格ラインやん!
」
チュン君は、野比のび太も顔負けの
0点取得の王だったので、
(サポートがあれば高得点も可能だったけど…)
まぐれで、取れて30点とか?などと思っていた私。![]()
これ…
頑張ればいけるんじゃね?![]()
![]()
なんと、チュン君は 私が思っている以上に
読字の技術を身につけていたのだ。
もし、このブログをずっと読んで下さっている方がいれば
ご存知だろうが、
私は、チュンがデスレクシアの診断を受けた日以降、
あえて 何度も書かせるなどの方法で
漢字や文字を教えた事はない。
学校の宿題で 漢字の書き取りがあれば
宿題をクリアするという目的の為に やっていたが
それが特に 身についた事はないし、
それで身につけさせようとも思っていなかった。
「出来ない事に目を向けるより、出来る事に目を向けて、
持っている才能を最大限に伸ばして欲しい」
そう思っているから。
チュンの読み書きが「出来ない」は、決して「苦手」というものではない。
言ってみれば、そのように生まれてきたのだ。
このような例えは良くないかもだけど、
どうしても、「読み書きが出来ない」と言うと、
努力不足とか、根性とかの方に
考えが行ってしまう方が多いので…
例えば、
手の指が 何らかの理由で動かない状態で生まれてきた子がいて、お医者さんも 「もう動く事はないし、動いたとしても僅かでしょう」とか何とか言ってたとする。
そこで、一生懸命 毎日、毎日 頑張って指の運動をさせるのも
素晴らしい事だと思うし、
もしかしたら 病院の先生が「動かない」と断言したにもかかわらず、小指やらが動き出すことだってあるだろう。
だから、そのようなやり方を決して否定しないし、
素晴らしい事だとも思う。
しかし、私は、そっちの道は選ばなかった。
少なくとも、我が子たちの性格には合わない方法だったし…
出来る事を見つめ、
出来る事を生かし、
人生を楽しみ、様々な事にチャレンジする事で
出来ない事を補って余りあるものが得られるし、
何よりも、ディスレクシアだからこその才能溢れるチュン君の事を誇りに思っていた。
それに、「出来る」を伸ばす事で、「出来ない」の部分が
底上げされていく場合も大いにある。
そして何より、
ダメなものを持って生まれてきたと思って欲しくない。
生まれ持った全てが素晴らしい!
だから、出来ない事に目を向けるより、
何が出来るかに目を向けて 羽ばたいて欲しい。
そして、そんな私の根底に根強くあるのは、
間近に見てきたディスレクシア の人の事。
そこから強く感じた事。
出来ない事を出来るように努力させる事で
失われていくものがある事を
もの凄く痛感した事。
だけど、私は、チュン君に普通に文字に触れさせてきた。
チュン君に送るメールには、
年齢とともに少しずつ漢字を多く織り交ぜていったり、
パッケージの文字を読まないと分からないものも、
「あれ持ってきて
」と普通にお願いする。
チュン君も困った時は、携帯の読み上げ機能を使ったり、
人に聞いたり、読み取れる文字だけ読んで推測したり
普通に工夫しながらやっていた。
ディスレクシアについてのサポートが一切ない高校に行き、
追試を受けながらだけど、
自分なりに工夫したりしながらテストを乗り切り
卒業もした。
極度の方向音痴の私が
ナビやGoogleマップを駆使し、人に尋ね、
自分なりの目印を見つけたりしながら生きているのと何ら変わりない。
しかし、私の方向音痴は一向に改善しないが![]()
チュンの場合、読める漢字は以前よりは随分増えており、
また、例え読めない漢字があっても送り仮名と話の前後などから、文章を推測して読みとる力は、
私の想像以上にパワーアップしていたのだ![]()
漢字を何度も書くなどの
定番の学習は一切していないにも関わらず。
私は、腰を抜かすと同時に
辺りを見回し、投げた匙を見つけると
大急ぎで拾いにいった![]()
そして チュン君に 断言した。
「いけるよ!あと一歩だよ!
あんた すごいよ!
ママ、死に物狂いで応援するから
合格狙って 頑張ろう!
」
チュンは ただ「うん
」と言っただけだったけど、
その頷きは、力強く、大きな希望に包まれていた![]()
しかし、この時はまだ、
この後に 地獄の受験勉強と
大きな試練がある事を2人はまだ知らなかった…![]()
この続きは、また次回![]()
応援して頂けると嬉しいです。![]()
こんなmiwaママが代表を務めるUEPでは
ユニークキッズの為のプログラムや
海外のユニークな教材販売、
ビジュアルストレスの啓発などを行なっています。
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