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原点にかえるということ。

シェフで、飲食店コンサルタントの
鈴木健一です。

最近、周りを見ていて気づくことがあります。

それは、新しいことをやることではなく、
原点にかえることの大切さです。

飲食店の経営者が陥りがちな、
ひとつの負のパターンがあります。

それは、実は成功からはじまっているのですが。

飲食店を開く。

オーナーとして、経営者として、
スタッフ以上に懸命に働く。

そして、ある成功を勝ち得る。

その成功を基に、また新しい飲食店を開く。

いくつかの飲食店を経営するようになって、
気がつくとひとまかせになっている。

自分では目を光らせているように錯覚していて、
実は店舗に足を運んでいない。

知らぬ間に、見えないほころびが広がっていく。

それがわかったときには、
どうしようもない経営状態になっている。

店は生き物です。

特に飲食店は、日々変化する生き物なのです。

その変化が、成長という変化になるか、
衰退という変化になるかは、
まさにオーナー次第なのです。

ちょっと目を離すと、
店はどんどん変わってしまいます。

冷たい言い方をすれば、
スタッフは自分の店とは思っていないのです。

自分の店とは思っていないスタッフ達を動かすためには、
可能な限り現場に立つことです。

いったんはつぶれかけた飲食店が、
そうやって立ち直っていったケースを
最近いつくか見かけました。

オーナーが店に立つだけで、
店はある安定感を取り戻します。

常連のお客様も自然に帰ってきてくれます。

そう、その店が
その店本来の店に立ち戻るのです。

原点にかえるということは、
オーナーが、経営者が
自分の店を最初にオープンした気持ちに
立ち返るということです。

飲食店経営の原点は、
当然のことながら
お店そのものにあります。

まず、店ありきなのです。

新しいことをはじめようとするその前に、
いまある店を、いまあるメニューを
もう一度見直すこと。

それをよくできなくて、
それをほっぽり放しにしておいて
新しいことをやろうとしても
それは難しい相談です。

原点にかえることで、
見逃していたことも見えてきます。

これからの飲食店経営、
その正解は、
新しいことにあるのではなく、
これまでやってきたことのなかにあると
僕は信じているのです。

電気か、ガスか。

こんにちは、
シェフで飲食店コンサルタントの
鈴木健一です。

計画停電も中止になり、
いまある落ち着きを取り戻しつつある
首都圏、東京の飲食店業界。

ただひとつ、震災前に導入が促進されていた
オール電化厨房だけは、
原発事故の影響もあり、話題から消えてしまいました。

しかし、電気機器が
僕らの飲食店業界で働く人間の仕事で欠かせないのは、
変わりのない事実です。

だからこそ、これまでもいってきたことですが、
電気やガスの無駄は
これまで以上に気をつけたいものです。

また、新たに厨房を設計するなら、
冷蔵庫をはじめとする電気機器の正常な稼働のために
さまざまな配慮が欠かせないことも
忘れてはならないのです。

冷蔵庫もオーブンも、一生ものではありません。

しかし、いやだからこそ、最初に
きちんとメンテナンスできるよう、
厨房設計にも事前の配慮が欠かせません。

冷蔵庫の後ろにどれだけのスペースが空けるべきか、
そんなことも実は厨房業者さんはご存じなのです。

冷蔵庫の後ろは、特に空けておかないと
コンプレッサーが悲鳴をあげてしまうのです。

後ろを空けておかないと、
冷蔵庫自体の機械としての消耗も早まってしまいます。

ただし、新しいものを買うからいいというひともいるでしょう。

それはそれで経営者の考え方のひとつですが、
大切なのは、それをわかってやっているかどうかということです。

オール電化厨房は、厨房機器の理想像のひとつといっても
過言ではありませんでした。

働く環境としても、
調理場が必要以上に暑くならないので
夏場も快適です。

掃除がしやすいという長所もあります。

電源をオフにしている場合は、
コンロのうえも作業場にもできますし、
まな板を置いてもいいでしょう。

しかし、オール電化は機器も高いし、
お鍋をはじめ調理器具も高いのです。

そこにきて、これからは節電ということが
飲食店でも大きな課題のひとつとして、
電気よりもガスを選ぶ時代が続くでしょう。

トータルで考えると、
ガスと電気の併用がいちばんですが、
スチームコンベクションは電気がいいと思いますし、
サラマンダーも同様です。

電気は立ち上がりがいいですが、 
ガスはつねにつけておかなければなりません。

ガスは焼きむらがでますが、
電気は焼むらがでません。

いちがいにどちらがいいということはできないのです。

どんぶり勘定や上辺のイメージではなく、
きちんと考えたうえで、選択しなければならないのです。

言うまでもなく、
電気には電気の、ガスにはガスのいいところがあります。

そして、実際の厨房作業や
経営の数字を想定したうえで、
決断することが欠かせないのです。

想定外という言葉で、
責任を誰かに押しつけることは、
僕らにはできないのですから。

自粛ムードとの闘い。

こんにちは、
シェフで飲食店コンサルタントの
鈴木健一です。

震災後、
直接的な影響を受けたのは、
ほぼ3週間。

それを持ちこたえられず、
残念ながら廃業に追い込まれてしまった
飲食店さんも少なくありません。

表面的には、資金繰りが立ち行かなくなった
ということが原因ですが、
それは根本的な原因ではありません。

確かに、震災がきっかけになったことは
否定できませんが、
それはあくまできっかけでしかありません。

これまでも資金繰りは厳しかったけれど、
その抜本的な対策がないままに
誤魔化し誤魔化しながら経営をつづけてこられた。

それが、この震災をきっかけに
もう誤魔化して生き長らえるその気力が
失せてしまったということなのです。

国も、さまざまな支援策を
打ち出してくれています。

自宅待機のスタッフへの補助金等の
制度も用意されています。

ところが、そんな補助金を活用して、
なんとか店を存続させようという
その決意や覚悟や意志が無くなってしまい、
自ら廃業を選んだ経営者の方々も少なくないのです。

震災の被害も永遠に続くわけではなく、
逆に、こんなときに力がある店舗では、
震災支援メニューを打ち出し、売上のあるパーセンテージを
義援金として寄付していたりもするのです。

いまこそ、なにかをやるべきだし、
なにかをやったほうがいいときなのです。

これからの時代、
レストラン経営はさらに難しい局面を
迎えるでしょう。

このままずっと生産者の方々が動けない状況が続けば、
品薄で値段が上がることも必至です。

原価は上がるものの、
それを価格に転嫁することはもちろんできないので、
利益率も下がってしまいます。

だからこそ、ずっと言い続けていることですが、
無駄な電気をガスを垂れ流すことをやめることから
はじめなければならないのです。

自粛ムードもまだまだ続くなかで、
娯楽的な飲食店はますます生き残ることは
難しくなっていくのではないでしょうか。

本質的な飲食の喜びを提供する、
そんな店舗が生き残っていくと思うのです。

自粛ムードが沈静化していくなかで、
最初にお客様が戻ってきてくださるのは、
美味しいものを飲む、食べるという、
飲食の本質に立ち返った店舗ではないでしょうか。

だからこそ、
いまこそ飲食店経営の基本に立ち返り、
どこまでも基本に忠実な飲食店舗経営を目指す
チャンスに違いないのです。

自粛ムードとの闘いは、
僕ら飲食に関わる人間ひとりひとりの
自戒からはじめなければならないと
僕は確信しています。