ワインを飲んでください、という演出。 | ksuzukiのブログ

ワインを飲んでください、という演出。

こんにちは、
シェフで飲食店コンサルタントの
鈴木健一です。

前回、僕がプロデュースした新しい店、
「アゴーラ」で、ワインを飲んでいただく
そんな店づくりを目指していると
お話させていただきました。 

今回は、そのための具体的なノウハウについて
お話したいと思います。

飲食店経営で最も大切なことのひとつに
投資効果ということがあります。

見栄えのいいワインセラー、
そのなかに収められたワインの品揃え。

それに、どれだけの資金が必要か
いうまでもないことです。

しかし、それを用意したからといって、
ワインが売れる店になるかといえば
そんなことは誰も保証してくれません。

まずは、お客様がワインを飲みたいと
思ってくださることなのです。

その動機づけをいかに行うか、
その仕掛け、その演出をどうするか。

そのための工夫が大切なのです。

僕はまず、ワインが飲みたくなる、
そんなメニューづくりからはじめました。

逆に、ワインを飲みたくなる料理でないものは
あえてメニューからはずしたのです。

店のイメージ、ワインのイメージに
そぐわないメニューはくわえません。

ランチ営業を考えると、
ついついただランチのためのメニューを
くわえたくなるものです。

けれど、それが落とし穴なのです。

ランチといえども、ワインが飲みたくなるメニューを
とことん貫くのです。

それが、店の軸をぶらさないことになり、
ディナーのワインにも直結するのです。

次に、僕がしたことといったら、
店の壁にあった巨大なホワイトボードに
フランス語でメッセージを描くことでした。

ホワイトボードにマジックで
フランス語を手書きする、
ただそれだけのことですが、
これもワインを飲みたくなる演出のひとつなのです。

英語とはちょっと違う、
ほとんどお客様は
読むこともできないし、意味もわからない。

でも、さりげないフレンチレストランの気配が
店全体に満ちていくのです。

さらに、
スタッフの声かけです。

フロアのスタッフが、
さりげなくワインをお勧めする。

ワインが飲みたくなるインテリアの演出、
ワインが飲みたくなるメニューで
お客様の心はワインに満たされていきます。

そこで最後のさりげないひと押しです。

お金をかければいいということではありません。

いや、むしろ金をかけずに行ってこそ、
ワインが売れた分だけ店の利益になるのです。

過大な設備投資は、自らの首を絞めるだけといっても
過言ではありません。

僕ら飲食店経営者は、
厨房機器メーカーさんや内装業者さんのために
飲食店を経営しているわけではないのです。

お客様にワインを飲んでいただくことで、
店の経営に大きなプラスが出なければ、
いくら高いワインを飲んでいただいても
まったく意味がありません。

いちどでもワインを飲んでいただいたお客様は、
こんどはもっと美味しいワインをと
自然に客単価もアップしていくのです。

それこそ、お客様にとっても、お店にとっても
幸せな出来事です。

ワインを飲んでください、といわずに
ワインを飲みたくなる店づくり。

これこそ、僕が目指した
今回の理想の店づくりなのです。