8月28日 術後16日目/入院19日目② | 下垂体腺腫(非機能性下垂体腺腫)になりました

下垂体腺腫(非機能性下垂体腺腫)になりました

下垂体腺腫になりました。同じ病気の人や身近にこの病気を抱えている人へ、一つの症例としてわたしの話を書こうと思います。誰かの役に立てますように。
(下垂体の手術後水分コントロールが一時的に出来なくなりました。そのお話も詳しく書いていきます。)

なぜだろう・・・

嬉しいはずなのに・・・寂しいというか、遂にきたか・・・という喪失感というか・・・



先生に言いました。

先生わたし、今年のおみくじ大吉だったんですよ。
それで、何が大吉だよ!怒
って思ってましたけど、やっぱり今年は大吉でした。。。
だってそうですよ、きっと数年前から腫瘍はあって、今年見つかった。
そして手術して数値が正常になったんですから。
友達が卵巣がんになって、それで婦人科の検査に行ったら見つかったんですもん。
それまでの血液検査ではプロラクチンの項目が入ってなかったんです。
今年の検査は入ってて、それで見つかったんですよ。
そこのおじいさん先生にも、ひょっとしたら頭に小さなできものがあるかも、って言われて。
子宮頸がん検査にひっかかって、卵巣はもともと悪かったし、そしたら初めて聞いた下垂体の腫瘍が一番大きな問題になっちゃって・・・。しかもその先生が言ってたのとはちょっと違うタイプの大きな腫瘍だった・・・。
でもこうして手術をして治って本当に良かったです。

って。

そしたら、先生は
「そう言ってもらえるとこっちも・・・。うん・・・プロラクチンを分泌してる小さな腫瘍で、薬で治るタイプだったら・・・もっとハッピーだったかもね。」

と言っていました。

「とにかく、もう退院して大丈夫だから、自分のタイミングで看護師さんたちと相談して決めてね。まあ、9月8日に外来で来て欲しいのと、術後3ヶ月の11月にMRIと、またホルモン負荷検査やるから、1泊2日で入院してもらうことになるけど。まあ、まだまだ続くけど、もう少し付き合ってよ。」

と先生。

先生は笑顔で立ち去りました。

寂しい・・・

明日また先生に会えるのだろうか???

先生にはもっと感謝の気持ちを伝えたい。

足りない・・・もっともっと感謝しているのに。

本当にこの人に会えてよかった・・・。


最後のお風呂に入りました。

昔は潔癖で、水回りが共同とか、苦手でした。
しかし、今は何も感じない。
生きている以上に素晴らしくかけがえのないことはないと、入院生活を通じて知りました。
わたしの部屋で一番長い、形成外科の患者のおばあさん、彼女はいつも感謝と歓びに満ちあふれている。わたしもいつの間にか、そんな人間になっていました。
だって、自分一人じゃ何も出来なかった・・・・
人様のお陰でここまで復活出来たんですもの。

体が正常に働かなかった・・・
それも人に治していただいたんですから。

なんという幸せ。


わたしは、明日一日入院しようかと思いましたけど、今までの過程を振り返って、看護師さんやヘルパーさん、先生たちへの感謝の念が溢れて絶対に1日泣いてしまいそうなので、明日の午前中に退院することにしました。
早々に立ち去らなければ、感極まって泣いてしまう。


研修医の先生が来ました。

明日は先生は違う病院に行っているらしい、だからこれでお別れ。
外来も無いしな。
手術は助手としてがんばってくださった。

退院後どうしたらいいか、禁止事項はあるのか、気をつけるべき点などを質問しました。
そしていい加減ウルサいけど笑、わたしがいかに飲水制限を我慢して我慢して、あの渇きがどれだけ尋常じゃなかったかを伝えました。←しつこい

「本当に良かったです!」

と先生。
あれ?よく見ると腕に点滴のルートが付いてる。
なんですかこれ?

というと、体調を崩してしまったそう。
確かにいつもはしていないマスクをしてるし。
教授から帰れ命令が出たそうで、これで今日は早退するそう。
最後に挨拶に来てくれたんだ・・・。
あなたにも本当にお世話になった。
本当に本当にありがとうございました。


耳鼻科の美人先生も来てくれました。
「Paxxさん!!!!!明日退院なんですね!!!!!!」
と歓びを分かち合ってくれました。

色んな看護師さんも、明日休みだとか言っては、ベッドまで来てくれました。


最後の耳鼻科の回診が来ました。
先生たちが来るとわかっていたので、ベッドの上で正座で待っていました。

先生たちがカーテンを開けた瞬間に、深々とお辞儀をして、
明日退院することになりました。本当に本当にありがとうございました。
と言いました。

耳鼻科の研修医の先生や学生さんたちは、毎回毎回何か疑問を投げかけてくるわたしに若干目を付けていました。わたしが口を開くと全員動きが止まる。
多種多様な質問を繰り出す患者、それに答える先生たちの様子にすごく熱心に注意深く耳を傾けていました。みんなが注目しているので、たまに学生さんたちや研修医の先生に目線を投げかけるとカーテンの裏に隠れる。笑
聞きたいけど関わりたくない、みたいな感じでしょうか。
だんだんわたしは毎日どうにかして耳鼻科の人たちを笑わせないと気が済まないようになっていました。笑

ああ、これが最後の回診です。
わたしが正座して手を前について深々と頭を下げると、みんな笑っていました。
さようなら・・・皆さん・・・わたしのような患者に接したのも、いつかあなた方の財産になるといいな。笑

最後の晩餐・・・
ここの病院のごはんは本当に美味しかったな。


寂しい気持ちでいっぱい。
感謝の気持ちでいっぱい。


一日の最後の最後に、
屋上へ行きました。
雨が降っていましたが、雨に当たりました。

天を仰ぎ、本当にありがとうございました!と言いました。
360°回って全方角に言いました。

今日の夜勤の看護さんは、わたしの低ナトリウム血症を深夜に発見してくださった、思い出の看護師さんです。
わたしは体が一番辛かったのは手術当日と、この低ナトリウムが発覚したこの日でした。
呼吸が苦しくて、強い頭痛と吐き気。
深夜にも関わらず、彼女が採血してくれて、数分で検査結果を伝えてくれたこと、これによってわたしはすぐに治療してもらえたんです。


さて、今日は眠れるかな・・・

眠りたいような、眠りたくないような・・・

だって、朝起きたら退院ですもん・・・・



今思い返すと、感動の入院生活だったな。
初めての入院、感動の嵐でした。
なぜって・・・やっぱり人です人。
多くの人に支えられて、オムツをしてたし、座薬をいれられたり、おしもまで洗ってもらいましたから。(ICUでですが、恥ずかしさは微塵もないくらい体がキツかった。そして恥ずかしさを感じないように看護師さんがしてくれたんです。)

それがこんなに元気に元通りになるなんて・・・。


しなくて良い経験だったかもしれない、しかし、この入院生活を通じて感じたこと、気づいたことは一生の財産になりました。
そしてこのご恩は一生忘れません。