あとがきにかえて |  パブログっ!

あとがきにかえて

最初、小糸を見た時、正直言って

『あんまり可愛くないなぁ』と思いました。


元々テリア種が好きな私ということもありますが

小糸は流行のテディベアカットでもないし

若さゆえの可愛い行動を取るわけでもない。

甘えたりも下手で、触ろうとすると逃げる。

お風呂に入れたらすごく臭いし、口臭も酷いものでした。



 パブログっ!+ わんっ!

↑うちに来た日の小糸はん



もちろんそんな小糸にしたのは

他でもない私達人間です。



でも、可愛い可愛くないって

もうその人の個人的趣向なわけですから

そっか、この子が最初の預かりかぁ、、って感じでした。



トイレは最初の1,2日こそうまくいったものの

その後からは失敗の連続で

床をくんくんしたり、ご飯の後ケージに閉じ込めても

出口付近でお座りして動かず

開けてあげたらすぐに粗相したりして

毎日それの繰り返し。


うんちは本当に悲惨で、アチコチでしました。

追いかけたら走りながらコロコロ落とすし

それをバンバン踏みつけて

それをまたパブロフが踏みそうになって

もう気が狂いそう~~ってなりました。



3末で仕事を辞めて専業主婦になったことあり

時間があればあるだけ

一生懸命小糸に教えようとするのですが

全部それが裏目に出て

やることやること全部失敗に終わりました。


一日中パブの部屋に一人と二匹で閉じこもり

小糸が少しでも動く度に

うんちか?おしっこか?なんてびくびくしていました。


トイレを待ちわびて、疲れて私がご飯を食べ始めると

すぐにトイレをはじめちゃってバタバタと片付けしている間に

パブさんが私のご飯を盗もうとしたり・・・

そんな事がずっと、ずっと。


トイレ失敗することなんて勿論想定内の預かりですが

女の子は男の子と違ってマーキングがないので

一回のおしっこの量が多く、回数も少なめです。

だからその一回を逃すと、トレーニングの機会を失う事になりかねない!

と意味不明な責任感で必死でした。


ご飯もなかなか食べなくて

手作り食ばかりにするわけにもいかないし、と、

あれこれ手を変え品を変え、やればやるほど

また食べなかったり。



今思えばもっと簡単に出来た事も

早くこの子に里親さんを見つける為に頑張らないと

って焦りに焦っていました。


避妊手術を終えて、スケーリングで歯も綺麗になって、

それでも可愛くって仕方が無い!っていう風にはならず

預かりは私に向いてないから、これが最初で最後だなと

小糸を見ていました。




 パブログっ!+ わんっ!
↑来てすぐの小糸はん。ベッドでの寝方が分からず、らくだの体制で寝る日々でした。



 パブログっ!+ わんっ!
あの悪質な環境下で、小糸は体を汚さない為に座って寝ていました。

 足先と足の関節だけ黒いのは、その為だと思われます。




 パブログっ!+ わんっ!
↑トライアル前日のあられもない寝方の小糸はん


 パブログっ!+ わんっ!-未設定
↑トライアルの朝。小糸、私の布団でパブを枕にするまで大胆女子に・・・



一番辛いピークの時期のある日

掃除をする為に、小糸のトイレを済ませてから

パブの部屋に閉じ込めて、私はリビングの片付けをしていました。


掃除が終わってパブの部屋を開けたら

トイレシートの周りに10円大ほどの小さな水溜りがいくつもありました。

わざわざトイレシートを避けるみたいにたくさん失敗していました。


それを見て、もう嫌がらせでオシッコを所々にしているのだと思って

辛くなりました。



ドアを閉めて、気持ちを入れ替えて

もう一度ドアを開けたら、水溜りがまた増えていました。



もう私には預かりは無理だ、辞めようと思って泣きました。

コーディネーターをしてくださったかるころさんにも

弱気なメールをいくつも送ってしまいました。




夜になって少し落ち着いて

どうしてこんな事をするのか、もう一度考えてみたんです。



そうしたら、分かったんです。

いつも私がケージに閉じ込めて排泄させていたから

小糸はオシッコしたらドアを開けてもらえると思って

一生懸命何回も何回もオシッコしていたんだと気付きました。



トイレシートもちゃんと認識してるけど

その時は床にシートを広げていたので

自分の体格とシートの幅がまだちゃんと合致できていなかったんだと

思い当たりました。



小糸は小糸なりにすごく努力をしていて

私の指示に答えようと必死で頑張ってくれていたんです。





 パブログっ!+ わんっ!

↑チチロフが仕事から帰ってきたときのふたり(笑




我が家はリビングとダイニングを大きなソファで間仕切りしているのですが

最初は慣れる為に、ダイニングに来られないよう

ソファの横にモノを置いて塞いでいました。


数日で塞いでいるものを取り払ったのですが

その後も小糸はそのソファからダイニングの方には

なかなか来ませんでした。


ダイニングから続くキッチンで洗い物をしていて、リビングに戻ると

ダイニングとリビングの間に

大きな水溜りがありました。



ひとりが不安で私の後をついて歩きたいけど、前に塞がれていたから

入らない方がいいと思って、そこでずっと待っていたみたいです。

それで我慢できなくなって失敗しちゃったんです。



リビングとダイニングを塞いだのはほんの数日で

それを取り払ってから一ヶ月以上も経っているのにね。



トイレの失敗理由が分かってから、小糸を可愛くてしょうがなく思いました。


少しづつ毛が伸びるのも嬉しかった

行動がどんどん積極的になったり

朝一番にクレートから出て私にいっぱい甘えてきたり

お散歩で何度名前を呼んでもちゃんと振り向いてくれた

まぶしそうに私を見上げてくれた

本当に可愛かった。



小さな水溜り事件があってから

小糸の考えている事がなんとなくわかるようになってきて

一緒に考えるようにしました。



ご飯をなかなか食べてくれないのも今思えば、

パブロフと別の部屋でご飯を与えていたので

先住犬に遠慮して普段は甘えられないから、やっと私に思う存分甘えられると思って

ご飯そっちのけで甘えてたんです。


甘える事が一番で、ご飯をなかなか食べてくれなくて

ずっと困ってたんですね、私。

ほんとに預かりママ失格です。



こんなに素晴らしい子が

6年も7年も人間のお金儲けの為だけに

子供を産まされ続け、

汚物に埋もれるクレートに閉じ込められ

餌もろくに与えられず

その人間の勝手で殺処分寸前になったんです。


そんな酷い扱いを受けた人間のいう事を聞こうと

必死に私を信頼して頑張ってくれました。




おしっこは私が辛いピークを越えたある日

するするっと自分でケージに入っておしっこを始めました。

なんの前触れもなく、突然です。

パブロフの後に続いて、自分から入っていきました。

最初は気付かず、ぼーっとしていたら『ええっ!?』

て感じで驚きました。

その後小糸を褒め、泣きながら撫で繰り回しました(笑


私が一生懸命なのって、犬にとっては怖い事だったのかもしれません。

もういいや~ってなったら、きちんとできるようになるなんて(笑

私ってお受験ママみたいになってたんだろーなーって思いました。



 パブログっ!+ わんっ!

↑預かり数日後の写真



 パブログっ!+ わんっ!

↑預かり一ヶ月後の写真。

第一陣で動いたみなさんとは桁が違いますが

私も少しだけ、今回の崩壊レスキューの現場を覗きました。
随分改善された後に、ほんの数十分伺いました。



命があっただけでも奇跡だと思いました。

事実レスキューから数日後に残念ながら亡くなった子もいます。

暖房も冷房もない屋外の厩舎みたいなところです。


夏は酷い臭いになり、虫も湧いただろう。

冬は自分の汚物が冷たく体を覆ったことだろう。

ネズミも走っていたと聞きました。


小糸は推定年齢から

6回の過酷な夏と、6回の厳しい冬を

あの場所で暮らしたのかと思うと、何も言えません。




少しの間一緒にいただけでも分かります。

小糸は賢くて、優しくて、穏やかな子です。

ドアを開けて欲しくて、一生懸命おしっこしちゃう子なんです。

甘えたくて、ご飯なかなか食べない子なんです。





これからは暖かい冬と涼しい夏を

素敵なご家族と

ずっとずっとずーっと一緒に暮らします。




小糸はん、正式譲渡になりました。




小糸に関わってくださった皆様

ありがとうございました。






あとがきにかえて


               ハハロフ拝