おはようございます!
今日もいい天気ですね!
「マロン」
フランスでもお菓子、料理共によく使われる素材です。
魅力的な素材なのでお伝えしたい事もは山ほどあります。
が、一つ一つをお話すると膨大なボリュームになってしまうので広く浅くを心がけてお話してみます。
※注意:これから下の説明はより一般的と思われる話をしますがメーカー、缶詰、瓶詰などの違いにより異なる場合があります。
パティスリーで使われるマロン素材
パート・ド・マロン
【Pâte de Marrons】(マロンペースト)
マロングラッセ用のマロン(形が悪い又は欠けたもの)をベースに砂糖、水飴、バニラを加えペーストにしたものです。
(糖度は約60度くらい)
この後説明するマロンクリームに比べマロンの比率が高くなります。
少し硬めの粘土状なので形作って仕上げに使ったりできます。
👇写真はサバトン社(日本人大好き)
クレーム・ド・マロン
【Crème de Marrons】(マロンクリーム)
砂糖とマロンの割合は大体半々ですが砂糖はシロップとして添加されますのでマロンペーストより軟らかいクリーム状です。
(原材料表示的には「砂糖、栗、水飴」の順番になります)
ピューレ・ド・マロン
【Purée de marrons】マロンピューレ
(缶詰・冷凍などがあります)
缶詰の場合は糖分は入らないのでしっかりとした食感もあります。
お菓子作りで多く使われる素材ではありませんが糖度を上げずにマロン感を上げたいケースなどでクレーム・ド・マロンやパート・ド・マロンに混ぜて使うなどします。
バニラなどの香料も添加されていません。
個人的には料理の方が使用頻度が高いかな?と思っています。
(-_-;) 違っていたらゴメンナサイ
その他にも
パウダー
水煮
蒸し栗
シロップ煮(渋皮つき皮むき)Marrons confits au sirop
など使われています。
シロップ煮は使用目的によって糖度や処理の仕方が違うのでカテゴリーがいくつも分かれます。
そこから
綺麗な形で出来上がった
「ホール」(オンティエ【entier】)
欠けたものが
「ブロークン」(コンカッセ【Concassé】 )
となり更にそのサイズによっても分けられます。
目的によってこれらの中から選択し
「そのまま使う」
「オリジナルのシロップに漬ける。又は煮直す」
「アルコールに漬ける」
などしてお菓子に使用します。
マロングラッセを作る時に生栗から加工するパティスリーはフランスでも少なく、マロングラッセ用のシロップ煮を仕入れ糖衣をかけて仕上げるパティスリーが多いです。
※出来上がったマロングラッセを仕入れているパティスリーも多くあります。
※栗の鬼皮、渋皮を処理してしてシロップで煮る作業は手間と時間がかなりかかります。
シロップで煮る作業も一度煮ればよいと思われている方もいるかもしれませんが、最初から糖度の高いシロップで煮るととても硬い仕上がりになります。
「ほくッとして」なおかつ「ややねっとり感」もあるあの食感に煮上げるには。
低い糖度のシロップから煮始めて、冷まして寝かし馴染ませ。
次に少し糖度を上げたシロップで煮て冷まし馴染ませ。
を繰り返し少しづつ必要な糖度まで上げていきます。
(この時バニラと一緒に煮ます。)
各メーカー扱う栗の品質及びサイズによって回数やかける時間などこだわりがあります。
マロンは乳製品と相性が良いので
日本ではマロンペーストやマロンクリームを
「バター、生クリーム」🐮
で伸ばしたり
「ホイップクリーム」
と合わせたりするなどの使われ方が多いと思います。
🌸
🍫
チョコレートとの相性も良く
生菓子、焼き菓子はもちろんボンボンショコラのセンター、アイスクリームなど様々組み合わせて使われます。
リキュールとの相性はマロンの風味を良く引き出すラム酒が一番多く使われていると思います。
他にブランデーやウイスキーもマロン風味の輪郭をしっかりさせたりキレを求める時などに良いと思います。
マロンリキュールもありますがお菓子作りに使うかは好みがわかれると感じています。
実際私が働いてきたパティスリー(日仏共に)では使ったことはありません。
※あまり汎用性が高くないという理由もあります。
👇コルシカのマロンリキュール
コルシカ島はマロンを使った料理、お菓子、素材が多くあります。
マロンリキュールの個人的な印象は、カクテルには良いけれどお菓子作りには他のリキュールを試した方が
「発想の広がりとオリジナリティー」
という意味でも良いかなと感じます。
香辛料はパティスリー的には難しい気がしますが、レストランの皿盛りデザートなどではマロンのデザートにサービス直前ごく少量の胡椒をミルでカリッとすると良いアクセントになり美味しいと喜ばれます。
バニラはマロンの風味を引き出すという感じよりも補うという印象でしょうか?
配合的にマロンペーストやマロンクリームを多く使えない(合わせられない)クリームなどには、バニラをややしっかり目に利かせるとマロンの風味が他の素材に負けずに感じられます。
※例えばシャンティー(甘いホイップクリーム)に少量のマロンクリームを混ぜた場合などはバニラを加えると
「マロンの風味がするな」
となります。
マロンパウダーは料理とお菓子に使われます。
コルシカ島のマロンパウダーが使われたクレープはよく知られています。
※マロンパウダーは
poudre de châtaigneと言ったり
farine de châtaigneと言ったり
します。※1下の方で少し解説します。
👇コルシカ島についてお話したページです。よかったら。
マロンとフルーツとの相性は好みもありますが慎重に選んで試作する方が良いと思います。
※ちょっとしたコツが必要かもしれません。
1つ個人的な感覚で言うと
酸味の強いフルーツはアクセントをつけるように使うとそのケーキの美味しさが引き立つと感じます。
具体的にはマロンと優しい系のフルーツ2層のお菓子などは難しいと思うのですが、マロンと相性の良いチョコとのお菓子やマロンアイスクリームの中にアクセントとして酸味のあるフルーツを”忍ばせる”感じは美味しいと感じます。
カシスはよく使われます。
🫐
蒸し栗は料理の付け合わせに使われますが、実がしっかりしているのでお菓子作りでも食感のアクセントや自然な風味目的などに使われたりします。
加糖されていないので好みの低糖度シロップなどに漬けるなどして利用されることもあります。
いかがでしょうか?
日本では
栗の甘露煮、栗きんとん、天津甘栗
など広がりがあり、細かく話せばまだまだ終わりませんが広く浅く話せばこのくらいかな?と思います。
それでも長くなりました。
※1このページでは日本語は全てマロンと書いていますがシャテーニュと呼ばれる栗もあります。
「シャテーニュ」【châtaigne】
マロンとシャテーニュはどちらも栗ですが品種が違います。
【下図参照】
見た目の特徴は
マロンは丸くとんがっておらず一つのイガの中に一粒入っています。
対してシャテーニュの方は日本で知られるようなとげとげのイガで、一つのイガの中に3つ程度に分かれて入っています。
形も上がとんがっているお馴染みの栗の形です。🌰
それでは皆さん
愛ある一日を!
~おまけ~
「マロンショ」の話 【les marrons chauds】
直訳すれば
「熱い栗」となりますが普通に
「焼き栗」の事です。
道端で穴を幾つも空けたドラム缶をひっくり返したような道具に薪で火をおこし栗を焼きます。
これがマロンショと呼ばれています。
どこでも人が集まる所には出ている露店で、くるっと三角に丸めた紙に焼き栗を入れて売ってくれます。
上の写真のような感じ以外にももっとおしゃれなリヤカーなどのマロンショ屋さんもあります。
パリにいた頃は毎週2本くらい映画を見に行っていたのですが、寒くなると映画館の入り口付近では必ずマロンショが売られていました。
初めは何やら怪しげな感じで警戒していたのですがフランス人が食べているのを見ているうちに好奇心が抑えきれず買って食べてみました。
旨いです。
それから公園やマルシェなどあちこちで買ううちに何となく美味しく焼けている栗が分かるようになってきて、ちらちら横目で見ながらマロンショの露店が立ち並ぶ通りをよく歩き買うところを決めていました。👀