火器管制レーダーは、fire control radarの訳語であり、
射撃制御レーダーともいう。

レーダーの基本的な機能は、ターゲットの位置、速度などを計測するこである。

火器管制レーダーでは、射撃目標の位置を計測するだけでなく、
射撃目標の移動速度も計算して、射撃目標を追尾する。

火器管制レーダーは、スマート・ロケット、迎撃ミサイル、誘導ミサイルなどの
誘導システムの一部でもある。

火器管制レーダーは、例えば、戦闘機の機体のノーズに収容されている。

海軍の戦艦などでは、一定のエリアを監視する探索(search)レーダーと、
火器制御(fire control)レーダーが搭載されていることもある。

米国海軍は情報公開をするので、1940年代頃から、
探索レーダーと火器制御レーダーの双方が戦艦に搭載されていた。


下記の記事で小野寺防衛大臣が、通常のレーダーと言っているのは、
船に搭載するための探索レーダー(海洋レーダーともいう)であり、
自分の船の周囲、360度に、他の船、岩礁などがあるかを探索するものである。

探索レーダーのレーダー・スクリーンには、
例えば、下記の写真に示される映像が表示される。





火器制御レーダーは、広い範囲をスキャンするのでなく、
射撃目標に集中的に電波を照射する。

火器制御レーダーが発射する電波はマイクロ波であり、
ビームとなって直進する。

射撃目標が移動すると、その移動に対応して、
火器制御レーダーが電波(マイクロ波)を発射する方向が変わる。

下記の写真では、円錐形のレドーム(レーダー用の覆い)の内側が、
射撃管制用レーダーのアンテナとなっている。

レドームは中心が突起している円錐形状をしている。

射撃管制用レーダーが、射撃目標の位置を計測し、
追尾システムにより、火器の銃身の方向を制御する。






The Sting EO fire control radar and electro-optical tracking system 
plus the Oto Melara 76mm/62 super rapid naval gun.

写真は、海軍テクノロジーという下記サイトより引用した。



火器管制レーダーは、射撃をして命中するか否かの精度に直結するので、
技術革新が著しく、近年は、GPSなどの偵察衛星と連動している。

偵察衛星も射撃目標の位置を捕捉して、
戦闘機、戦艦などの銃器にその位置情報を伝達している。

「火器制御用レーダーの進化」という関連記事は下記リンクです。



レーダー照射:証拠公開へ 中国否定に防衛相「映像ある」


 中国艦船が海上自衛隊の護衛艦などに火器管制レーダーを照射した問題で、小野寺五典防衛相は9日午前のTBS番組で「中国側は通常のレーダーしか照射していないと言っているが、証拠はある。出せるデータと出せないデータがあるが、普通の人が『なるほど』と思えるような説明を心がけたい」と述べ、自衛隊が持っている資料の一部を証拠として公開する考えを示した。
 小野寺氏は同じ番組の中で「通常のレーダーはクルクル回っているが、火器管制レーダーは船が動くときにずっと指向して当てていく。動きが全然違っており、しっかり映像と写真で撮ってある」と説明。その後、記者団の取材に対し「中国艦船のどのレーダーが火器管制レーダーなのかも分かっている。それが一定期間、ずっと我が方の船を追いかけていた」と述べた。
 また、小野寺氏は同日の読売テレビの番組で「(レーダー照射を公表した)5日以来、尖閣諸島周辺の中国公船の動きが収まっている」と指摘。問題の公表が、中国側の動きを抑える効果があったことを強調した。【青木純】