通常実施権者の地位

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(問題)

特許権者AがBに通常実施権を許諾した。通常実施権は登録されていないし、登録する予定も無い。
このとき、

1. Aが当該特許を第三者Cに売却した場合
2. Aが他の企業に買収された場合
3. Aが他の企業と合併した場合
4. AがB以外の第三者Dに専用実施権を設定登録した場合
5. Aが倒産した場合

に通常実施権者Bは当該特許発明の実施を継続できるだろうか?

答え

1. Bは実施を継続できない。継続するためにはCから再度実施許諾を受ける必要がある。A-B間の実施契約はA-B間でのみ有効だからである。

2. 買収された場合は包括承継になるので、A-B間の実施契約も承継されると考えられる。したがって、この場合は、実施を継続できる場合がある。ただし、買収交渉中に実施契約を打ち切られることはありうる。

3. 2.と同様、包括承継になると考えられ、実施を継続できる場合がある。しかし、合併の条件による。

4. Bは実施を継続できなくなる。

5. Aの破産管財人から差止め請求を受ける可能性があり、実施を継続できない。


以上の場合、BはAに対して通常実施権の実施契約の債務不履行としてAに損害賠償ができるか?実施契約でAがBに対して、契約期間中は第三者に売却しないとか、一定期間、一定の条件で実施することを保証(あるいはそのような期待を抱かせる行為、言動等があれば)していれば可能だが、その条項がない場合は違反する条項が無いので、債務不履行にはならず、損害賠償を取ることは難しいと思われる。


上記を考慮すると、通常実施権を受ける場合は登録するような特約を付けて契約を締結すべきと思われる。

とはいえ、現実に通常実施権を許諾する際に登録の特約をつけることはまれではある。