先日、実用新案関連の裁判例の一つとして、実用新案技術評価書を得ていたものの、これを提示することなく、広告宣伝及び製造,販売行為を中止を要請する通知書(警告書)を送付した事件(平成26年(ワ)第5064号 実用新案権侵害差止請求権不存在確認等請求事件 大阪地裁)についてブログにした。
 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/080/085080_hanrei.pdf


 何故、実用新案技術評価書を提示せずにいきなり権利行使したかというと、評価「2」の進歩性無しだったので、カッコ悪くてそんなもの提示できるかと、いきなり権利行使に及んだのではないかと、勝手に想像している。


 出来れば、評価「1」から「5」の実用新案技術評価、無かったことにしてほしいよ。

 だって評価「6」以外は実用新案技術評価書を提示して権利行使出来ないから。

 上記事件の実用新案権者、こんなふうに思っていたのかもしれない。

 


 実は、上記事件の10年以上前にもそんなことを考えて訴えを提起した実用新案権者がいた。

 実用新案技術評価の取消を求める事件(平成11年(行ウ)第216号 東京地裁 平成12年(行コ)第22号東京高裁)である。
 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/419/013419_hanrei.pdf
 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/151/013151_hanrei.pdf

 

 東京地裁、高裁も、
「実用新案法29条の2は、実用新案技術評価書を提示することを、実用新案権者の権利行使の一要件としているにすぎないのであり、当該実用新案技術評価書に記載された実用新案技術評価が「1」から「6」までのいずれかの評価であること(例えば、評価6であること)は、該権利行使の要件とはされていない。」と判断。

 すなわち、「実用新案技術評価自体は、実用新案権者の権利行使に何ら影響を及ぼすものではない」と、判断。

 


 まあ、実用新案技術評価が「1」から「5」のいずれであっても、無効審判で無効と審決されない限り、実用新案権は有効なので、権利の行使は可能。

 

 また、たとえ実用新案技術評価が「6」であっても、実用新案権は必ずしも有効というわけではない。

 別に権利が保障されたわけではない。


 無効審判で無効にされれば、権利行使により与えた損害の賠償責任を負う(実用新案法29条の3第1項本文)。

 ただし、実用新案技術評価(評価「6」)に基づき権利を行使したときは、負わなくてもよい(実用新案法29条の3第1項ただし書き)。


 まあ、相手方が、実用新案権者の権利行使が相当な注意を怠るものであることを立証出来れば、実用新案権者は損害賠償責任を負うことになるけど。

 

 

 実用新案技術評価をあまり気にする必要はないのでは?


 いずれにしても実用新案権を行使する際にはそれなりの注意を払う必要があり、それは特許・意匠と何ら変わらないのでは?